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 「へえええ」
 粕賀はわざとらしく長ったらしい相槌を打った。
「言うことを聞きます、か。それがちはるちゃんの決めた態度な
んだね?」
 相変わらず粘っこい視線をちはるに注ぎながら、これも喉に絡
んだような粘着質な声で訊く。

 ちはるは重々しく首を垂れた。長い髪がばさりと表情を押し隠
す。さっきから唇は強く噛みしめられたままで、そのまま血を噴
きそうなほどに赤く染まっている。

「そうか。じゃあ、まず何をしてもらおうかなあ?――」
 粕賀はキッチンに片手をついて体重を預けながら、またもすっ
とぼけた口調で言う。が、実際のところ内心は平静でもないらし
い。
 いつも脂で濡れ光っているような額がことさら汗でぬめって
いるし、目は充血して獣じみた光をぎらぎらと放っている。

 ちはるは、猛獣の前に引き出された哀れな小兎の心境だった。
 肩を狭め、うつむいたまま途方に暮れたように立ち尽くしてい
る。果たして何を命じられるのか――ある程度の予想はできると
は言え、それだけに待たされる時間は拷問以外の何者でもない。
 と、粕賀は意外なことを口にした。
「そうだな――まずは、料理のつづきをしてもらおうかな?」

「え?」
 と思わず訊き返す。粕賀はにんまりとして、

「おれは独り者だからさ、女の人が料理してる姿に憧れるんだよ
ね。せっかくのご馳走みたいだし、おれのためにつづけてくれる
と嬉しいなあ。なーンて」
 喉を鳴らすような不快な笑い方をする。
 ちはるは一瞬、呆気に取られた。決意と自己犠牲に憑かれてい
た厳しい表情を一転させ、きょとんとした顔にふっと一九歳の幼
さをのぞかせている。
 それほど粕賀の言葉が意外だったからなのだが、「言うことを
聞く」と宣言した以上、実行をためらうわけにもいかない。

 ちはるはエプロンの紐を締めなおしてから、ふたたびキッチン
に向き直った。
 すぐ横で粕賀が見ている。
 なるべくそのにやけ面を視界に入れないよう苦労しつつ、ちは
るは言われたとおり料理を再開した。

 トン、トン、トン、トン……
 リズミカルに音を刻みながら玉ねぎをカットする。
 先ほど温めておいたフライパンでその玉ねぎを炒める。
 手馴れたものだ。

 肉以外の材料をこね合わせはじめたちはるを、粕賀はじっと見
つめていた。
(いい女だ――)
 胸のうちでそっとつぶやく。
 店で見かけたときには現代(いま)風の美人だと思ったが、こ
うして化粧っ気無しで料理に打ち込んでいるエプロン姿の彼女
を見ると、古風な家庭的美人にも見える。

包丁を動かすたび、フライパンを振るたびに、たっぷりとした
胸元がユサユサ重々しく弾み、ミニスカートへ窮屈そうに押し込
まれたヒップが揺れる。
 そのまま後ろから抱きしめたい衝動を必死にこらえながら、粕
賀は辛抱強く視姦をつづけていた。

 ちはるは店の中でもとびっきり目立っていた――というわけ
ではない。
 むしろ最初は地味めで、大人しそうに見えた。
 が、近くで見てみると、目鼻立ちの整った、溌剌とした美人で
あることがわかった。
 化粧と香水の香りで胸焼けを起こしそうなその場にあって、彼
女のほとんどすっぴんに近い美貌と、まだ場慣れしていなさそう
なぎこちない笑顔は、一陣の涼風にも似ていた。

 そのくせその肉体は、女として熟れ盛りを迎える直前の、甘酸
っぱそうな味わいに満ちている。
 豊富と言うほどではないだろうが、男性経験もあるだろう。男
の腕の中で何度か喜びを味わっているに違いない。
 明るい笑い声を出すあの唇で、彼氏の唇を受け入れ、そしてあ
るいは男性器をも含んだことがあるかもしれない。
(このくらいの女がちょうどいい――)
 恋愛を語るタイプでもなく、ましてや力づくで強姦するほどの
悪党にはなりきれない彼にとって、処女など、面倒臭いだけの小
娘だし、変にこなれている女は彼言うところの「高い店」で嫌と言
うほど相手にしてきている。

 ちはるくらいの“普通さ”加減が、彼にとっては貴重かつもっ
とも食指をそそるタイプの存在なのだった。

一方のちはるは、彼の欲情した目つきで眺められていることを
意識しながらも、料理に集中しようとしていた。
 少なくともいまくらいは粕賀のことなど忘れたい――
 そんな思いでキッチンに向かうちはるの背後に、ぬっと黒い影
が忍び寄った。

「あ……」
 唇からそんな声が洩れ出る。
 横からひょいと太い腕が伸びてきたかと思うと、ボールの中で
玉ねぎとあわせたばかりのひき肉をその指でつままれたのだ。
「うん、うめえ。これだけでも充分いけるや」
 いつの間にかすぐ後ろに立っていた粕賀が下品に笑う。
 ちはるは彼からなるべく距離を置きたくて身をちぢこませた。
 彼の言うとおりになると意を決しはしたものの、やはり現実と
してそれを突きつけられると今更ながらに泣きたくなる。
 
 それはスーパーで買ってきたでき合いの合挽き肉ではなく、ち
はるが自分なりの割合を計算して、わざわざ自分で混ぜ合わせた
ものだ。
 それも全ては“彼”のためだった。
 “彼”にただ「おいしい」と言ってもらうためだけにかけた手
間と労力だ。
 それをこんな男に――

「あっ……」
 ちはるはびくりと背中を打ち震わせた。
 粕賀が後ろから身体を寄せてきたのだ。
 男の両手が腰にあてがわれている。

「どうしたの? 料理、つづけなよ」

ちはるの耳元で粘っこい声が囁いた。ふうっと臭い息まで吹き
かけられ、今度は肩を波打たせる。
 男はくすくすと気持ち悪い含み笑いをしていた。
「へーえ。小さくって、可愛い耳だねえ。今度はこっちを食べち
ゃおうかな」

「あ、い、いやっ――」
 耳元に息を吹きかけられ、おまけに粕賀がさらに身体を密着さ
せてこようとするので、一瞬、ちはるはパニック状態に陥りかけ
た。
 激しく首を振り、また、身体を震わせて男の腕の中から脱出し
ようとする。
「やめ、いや、イヤッ――!」
「写真」
 ボソリとしたそのつぶやきが、ちはるをはっと凍りつかせた。
 身体の動きもぴたりと止まる。
 
「料理、つづけなよ? な?」
 身体を硬直させた一九歳の女の頬にちゅっと軽く口づけして、
中年男は笑いかけた。
「…………」
 ちはるの顔色は青ざめていた。
 のろのろとした動きだが、それでも料理を再開する。

「へへ。そうそう。いい娘にしておきなよ」
 粕賀はちはるの長い髪に顔を軽く埋め、くんくんと鼻を鳴らし
ている。
「あー。こっちもいい匂いだ」

夏も盛りを過ぎたとは言え、まだ残暑も厳しい。
 ちはるは料理が終わったらシャワーを軽く浴びるつもりでい
た。汗臭いままで“彼”に会いたくなかったからだ。
 しかし粕賀にとっては、そんな汗の匂いも大好物なのだった。

 飽きもせずに汗の微香を漂わせる髪を嗅ぎまわしながら、腰に
回していた腕をそろそろと身体の前面部へと伸ばしていく。
 自然、身体がもっと密着していく形になる。

「きゃッ……」
 ちはるは軽く声をあげた。
 悲鳴を飲み込んだのだ。男の膨大な熱を帯びた身体が背後から
覆い被さってくる。その中心部がさらに熱くビクン、ビクンと蠢
いているのがはっきりとわかった。

「へへ、大きいかい?」
 ぐいぐいと腰を押しつけてきながら粕賀はそんなことを訊い
てくる。
 ちはるはもう一度唇を噛みしめて返答を避けた。
 暑い。臭い。気持ち悪い。
 いま口を開けばそんな罵詈雑言が次々と飛び出していきそう
だったからだ。

 が、当面のところ、粕賀はいまのままでも充分満足していた。
 ちはるのスカートに押し包まれたヒップはきゅっと上向いて、
小さめだがそのぶん布地を形よく突き上げている。
 その弾力に満ちた若い尻に、こちらも痛いほどにズボンを盛り
上げた勃起をまるで円を描くようにしながら擦りつけていく。

「くっ……」

ちはるは屈辱の熱風を鼻から噴いた。
 一方の粕賀はもう有頂天だ。
 ずっと狙っていた若い娘の尻を、ズボン越しとは言えペニスで
汚してやっている。
 胸を反らして下を覗き見ると、彼の動きのせいで短いスカート
がすっかりまくれ上がってしまい、まぶしいくらいに白い肌が露
出していた。

「へへっ、へ、へへへ」
 粕賀は薄笑いを浮かべながら腰を揺すった。
 きゅっとよく締まった尻肉の中央に筒先をあわせるようにし
て、上下にこすりたてる。
 ちはるが少しでも逃げようともじもじと腰を動かすのが、かえ
って心地いい。
 数枚の衣服越しに擦れ合ったペニスが、早くも汁を噴き上げそ
うになっている。

「お、おお。いいぜ。ちはるちゃん。もっと早くしていい? ね
え、も、もっと早くゥ」
 粕賀は女みたいな声をあげながら、ちはるの腰を両手でがっし
りと固定しにかかった。

「いや、いやン、イヤっ……」
 ちはるはその男の手を掴んで抗議の声をあげた。
 どこか上ずったのは、男の興奮が伝染したためだろうか。
 無理もない。はあはあと男の荒い息遣いが耳のすぐ後ろにある。
ヒップにあてがわれた衣服越しの男性器が自分を求め、上へ下へ
と擦りつけられている。

その動きは激しさを増す一方で、ちはるは「アア」と絶望とも
喘ぎともつかないため息とともにもう片方の手をキッチンに突
き、身体を支えねばならなくなった。

「ち、ちはるちゃん、ちはるちゃん……」
「あ、ああ、あ……」
 男の情けない声に誘われたかのように、ちはるもごくわずかだ
か唇から声を漏れ出させていた。
 なまじどちらも服を着たままなのが、彼女をも不可思議な興奮
に陥れつつあったのだ。キッチンの揺れるがたがたという音がま
すますその興奮に拍車をかける。

 キッチンが揺れるたび、ちはるのエプロンをぱんぱんに張りつ
めさせた乳房がぶるぶると波打っていた。
 粕賀にはこれ以上ないくらい至福の瞬間だ。
 そして、ついに彼は自分をじらすために後回しにしていた箇所
にその欲望の矛先を向かわせようとしていた。

 右手をウェストから外して、量感たっぷりに揺れ動くちはるの
胸元をわしづかむ。

「うォ」
 ずっと狙っていた乳房を掌で包み込んだ。
 服越しだから芯に硬さがあるのは否めないが、しかしそれでも
充分すぎるほどに伝わってくる豊満さと柔らかさに、思わず粕賀
はひと声呻いていた。
 パンツの中で、気の早い粘液がぴゅるっと少量漏れ出たのだ。










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