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春名「…偵察?」
ドーケ「そうだ…彼等が近づいているという情報が入ってるからな、それを片付けられればそれに越したことは無い」
アクア「でも、そんなこと私達にやらせていいの?」
ドーケ「…心配はない」

第45話 信用

前回のあらすじ
サジタリモンの洞窟を後にしようとした剛輔とスネイクモンだが、サジタリモンによって剛輔は一人で戦うことになった。
そこで自分の状況を自覚し、ポイズンモンの力を制御することに成功した剛輔たちは再びプリズムキャッスルを目指すのであった。

暗い森の中。たとえ空が晴れていたとしてもそこは暗闇が広がっているだろう。
深い深い森の中、春名とアクアモンは歩いていた。
春名「…今のところは何も遭遇せず、か…」
アクア「春名、大丈夫?」
春名「うん、ありがと…」
2人は『裏切り者』。共に旅をしてきた仲間を裏切り、現在は敵の僕として動いている。
そんなことはもはやいつものことだった。
龍たちと会う前から会っては騙し、会っては騙しの繰り返しであった。
沢山のデジモンを騙し、沢山の命を奪った。
2人の心は冷たくなっていた…はずだった。
春名「…なんで」
アクア「春名?」
春名「…なんでこんなに苦しいんだろう…こんなこと慣れてるはずなのに…」
アクア「…その気持ちはわかる、でも…」
春名「わかってる!わかってるよ…でも…」
アクア「春名…」

それから2人はさらに歩き続けた。
途中誰にも会うことは無い。そもそもここ周辺に誰かが訪れることなど滅多にないのだ。
いつの間にか雨が降っていた。2人の体を雫が濡らす。
春名「私は…私は…」
春名は近くの洞穴で雨宿りをしていた。
アクアモンは今も引き続き歩き回っているだろう。
今、春名は一人であった。
春名は携帯を取り出す。その携帯はD・フォン、人間やパートナーに力を与え、またこれを持つもの同士で連絡を取り合うことのできるもの。
春名は電話を掛ける。その相手は…自分が裏切った相手。

春名「…もしもし」
龍『…春名か』
何故電話をしてしまったか、私にはわからない。
でも、何も話さないのも相手に失礼だ。
それがたとえ自分が裏切った相手だとしても。
春名「うん…あ、あの…」
龍『俺に電話してるってことは近くには誰もいないんだな?』
春名「う、うん…」
龍『今俺はお前等のいるプリズムキャッスルを目指してる。そのうちそこに着くから待ってろ』
春名「え、そ、それは…」
龍『大丈夫だ、俺が必ず助けてやるから』
わからない。
何故そんなことが言えるのかわからない。
何故私にそんなことを言うのかわからない。
春名「私は…裏切ったんだよ?『裏切り者』なんだよ?」
何故私なんかを信用するのかわからない。
春名「貴方から情報を引き出す作戦かもしれないんだよ?何でそんな信用するの?!」
私にはわからなかった。
龍『そんなの決まってるよ…仲間だからな』
彼は私に『仲間』と言った。
裏切られた相手に対し彼は『仲間』といった。
春名「…ふざけないで!よく『裏切り者』の私にそんなことが言えるね!あの時だって私は貴方を…」
龍『あの時…お前、悲しそうな顔だった』
え…
私は気づかなかった。まさかそんな顔をしてたなんて…
龍『正直お前が何で裏切ったかはわからない…でも、お前にはお前の事情があるんだろう。じゃなけりゃ俺たちを裏切るなんてしないはずだからな』
…今わかった。
彼はまだ私を信じてくれている。
裏切り、襲い掛かった私を信じてくれている。
その理由は…『仲間』だから、ただそれだけの理由。
意外だった…そんなお人よしがいるなんて知らなかった。
そして私はそんなお人よしを裏切ったことに後悔していたんだ。
気が付いたら私は涙を流していた。
あの時以来、封印したはずの涙が流れていた。
春名「ごめんね…ごめんね…」
龍『俺は皆を助け出す…もちろんお前もだ、だから待ってろよ…約束だ』
春名「…うん」

龍「そうだ、誡はそっちにいるか?」
春名『え、私は見てないけど…』
龍「そうか…じゃ、また後でな」
そう言って龍は電話を切った。
龍「春名とは一緒じゃないってことは…別の所にいるのか?」
龍はそれでも進みだす。
仲間を助けるために…約束を果たすために。

アクア「お待たせ、特に何も無かったよ」
春名「うん、ありがとう」
それからしばらくして、アクアモンは洞窟に戻ってきた。
アクア「…泣いてたの?」
春名「うん…でももう大丈夫だから、心配しないで」
春名の顔は明るかった。まるで悩みが解消されたかのように。
アクア「春名…」
春名「何?」
アクア「…ううん、何でもない」
アクアモンは何かを言いかけたが言うのを止めた。今の春名には必要無いことだから。
春名「じゃ、戻ろう」
アクア「うん」
外はいつの間にか雨が止んでいた。
晴れることは無いが、それでも雨よりはいい。
春名とアクアモンはプリズムキャッスルへと戻った。
…だが2人は知らない。
そこには『水溜り』があったことに。
水溜りの中、一部始終を見ていた者がいたのだ。
???「…なるほど、私を監視役にした理由はこれですか」
???「スコールモン…どうするのだ?」
スコール「このまま報告してもいいのですけど…こちらで楽しみましょう。」
???「そうか」
スコール「貴方にも参加してもらいますよ…グラーグモン」
グラーグ「おう!楽しみだぜ…ヘヘッ」

第45話 完
次回 焦り