※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

周りに草原が広がり、広大な自然がある世界。
俗に言うファンタジー世界にいけたらいいなと思ったことがある。
だけどまさかさ…
『以前行ったことがある』とは思わないだろ普通。

第5話 ghost ~亡者~

前回のあらすじ
野宿を繰り返していた真とヴェルモンだったがやっとのことで町に辿り着く。
だがその町はテッカモンによって支配された町だった。
ヴェルモンたちはコスモモンと協力してテッカモンを倒し、町を後にするのであった。

最近あいつが付き合い悪い。
そう思ったのは何時だろうか。
気が付くと彼はいつも一人でごろごろとしていた。
「ったく…最近いっつもすぐ帰るし…何やってるんだあいつ?」
ひたすらごろごろする。他にすることもなし、勉強なんてもってのほかだった。
「あーあ…こんなことならファンタジーの世界に行ってみたいよ…」
だがそんなことあるはずが無い。
それは彼自身知っていることだった。
ただ…『覚えて』はいなかったが。
「良平~何か届いたぞ~」
「あぁ今行くよ父ちゃん!」
その少年…成川 良平(なりかわ りょうへい)は居間にいる父親から荷物を受け取りすぐさま部屋へと戻った。
当然彼に心当たりがあるわけではない。
だからこそ、彼は少々期待していた。
「さーて、何が出るかなっと…」
荷物をあけてみるとそこに入っていたのは一つの携帯であった。
「何だこれ…携帯?」
手を伸ばしてそれを掴む。
…何故か彼の手に良くなじんでいた。
すると突然その携帯が光りだした。
良平は声を上げる暇も無いままその光に飲み込まれた。

「で、ここ何処よ」
彼が気が付くと、そこは薄暗い森の中だった。
辺りには誰の姿も無く、唯一人そこに立っていた。
「確かにさ…ファンタジーの世界に行きたいって言ったけどさ…何も本当に行くこと無いじゃないか…ってかここ本当にファンタジーか?」
だが彼自身、困っているわけではなかった。
それどころか、どこか『懐かしい』気持ちが渦巻いている。
「…まぁいいや、とにかく歩くか」
観念した彼はとりあえず歩いてみることにした。

歩いても歩いても出口につく気配がない。
薄暗く、ジメジメとした森の中で、ただ彼の体力だけが消耗していた。
「あーもう!何で全然外出れないんだよ!」
イライラしてきて叫ぶもその声はただ森の中にこだまするだけである。
「…駄目だ、疲れた」
体力も限界に達していた彼はとうとうその場に座り込んでしまった。
「ったく…いきなりこんなところに来て…どうなってんだこの携帯…」
これまで余裕が無くて見ることの出来なかった携帯を見つめる。
見つめているうちに何か『懐かしさ』を感じていた。
「何だよこれ…僕はこいつと似たようなものを知ってるのか?」
疑問に思いながらも携帯を操作してみる。
操作していく内に見たことの無い機能が見つかった。
「これって…」
だがそのとき、何処からかうねり声が聞こえた。
突然のことに驚いた彼はその方向をじっと見つめる。
その先には何匹かの生き物がいた。
それらは皆目に生気が無く、ふらふらと彼の方へと向かっていた。
「お前等…何なんだよ…」
「アァ…」
「ウグゥ…」
襲い掛かってくるものたちから彼は必死で逃げる。
森の奥へ、奥へ、必死で逃げる。
幸い動きはそれほど早くなかったので捕まることは無かった。
だが…
「数が多すぎだろこれ!」
そう、数が多すぎた。
逃げても逃げてもその先に奴等がいる。
体力も消耗していた彼は次第に追い詰められていた。
「このままじゃ…やられる」
再び彼に向かって飛び掛る。
だがそのとき突然、彼の下の地面が抜けた。
「え…」
彼はその穴に落ちていった。

「った…今度は何だよ…」
彼が落ちていった先。そこは広い空間だった。
そこには先ほどまでの木は無く、土で出来た洞窟のようだった。
「ここは…洞窟か?」
『誰かいるのか』
何処からか声が響く。
その声の先へ向かって歩いてみる。
暫くして行き止まりにつく。
そこにはボロボロの体で片腕を無くした天使がいた。
「お前は…『ジェミニモン』…」
何故か、その名前が出たのかわからない。
だが自然とその名前が出た。
「…君はこの地に降り立った子どもの一人か…」
「お前…なんでこんなところに…」
「いろいろとあってね…今はこうして彷徨っているわけだよ」
ジェミニモンは自嘲するかのように話す。
その目にはもはや希望は感じられなかった。
「…『亡者』どもから逃げてきたのだろう?」
「亡者?あいつ等のことか?」
「ここは『亡者の森』といってね…ここに迷い込んだものは生きる意味も無くし亡者となるんだ」
「それって…お前は?」
「時間の問題だね…亡者となれば死ぬことも出来ずただこの森に囚われる…僕もいずれは彼等と同じになるんだ」
魂を無くし、志をも失った戦士。
その声は暗く、そして寂しい声だった。
「…お前はそれでいいのか?」
「この僕に何を望む?仲間に牙を向け、友を失い、何も出来なくなった俺に何を…」
「お前は諦めるのか?!こうやってまだ生きてるのに!努力もしないで諦めるのか?!」
彼には理解できるはずも無い。すべてに絶望した者の心など。
だがだからこそ彼には納得できなかった。
「…若いな、君は…君ならこの森も無事に出られるだろうね」
その叫びにジェミニモンは呟くように答える。
「でもね…僕にはもう何かをする気力も無いんだ…僕にはもう、何も無いんだよ…」
「…わかった、だがお前をこのまま亡者にするわけにはいかない」
強い意志をその目に秘めた少年は持っていた携帯…『D・フォンⅡ』を構える。
「ちょっとまだ頭が混乱してるけど…それでも今何をすべきかが何となくわかった」
「君は…どうするんだ?」
「お前の遺志は…僕が受け継ぐ。お前が果たせなかった正義を僕が貫いてやる!」
「君が…そうか、なら…」
次第にジェミニモンの目に生気が戻ってくる。
それは消える前の輝きであろうか。それでもジェミニモンはその瞬間だけ魂を取り戻した。
「なら僕のすべてを…君に託そう」
「よし…デジタルデータ、ロード!」

それから暫くして。
彼はやっとのことで森を抜け出すことが出来た。
あの洞窟が外へと繋がっていたのだ。
彼は今、遺されたタマゴ…デジタマを抱えていた。
胸にはジェミニモンに託された遺志。
D・フォンⅡにはジェミニモンに与えられた力。
そしてデジタマにはジェミニモンが繋いだ命があった。
「さてと…これからどうするかなっと…お?」
そのとき、デジタマが突然震えだし、ヒビが入った。
どうやら新たな命が誕生するようだ。
そしてとうとうデジタマが孵った。
「んー!…っと…誰だお前?」
孵ったのは丸い体に羽が生えた奇妙なデジモンだった。
「…成川良平」
「そうか!僕はフラモン、よろしくな、良ちん!」
こうして、DWに舞い戻ってきた少年成川良平とデジタマから孵ったフラモンとの奇妙な旅が始まった。

第5話 end
次回 armaments ~武装~