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希望は前へと進む力となる。
希望は明日を目指す道しるべとなる。
希望はすべてを可能とする心になる。

デジタルバスター外伝 星の戦士たち
第五章 射手座

城内のとある部屋。
そこには仮面を付けた天使がいた。
その名はジェミニモン。
かつて最初期の一人としてスターレジェンズを結成し、今はそれを裏切りここにいる。
「…やっと来てくれたね、サジタリモン」
部屋の戸がゆっくりと開く。
それを開けたのは弓を持つ人馬。
「やはりお前は一人か…」
「君こそ、よく一人になれたね」
だが人馬は答えない。
いや、答える必要が無い。
それはジェミニモンも理解していること。
以前の仲間であった彼等の考えはよくわかっていた。

『サジタリモン、貴方には特別任務を言い渡します』
他の皆が持ち場に付いたとき、アリエスモンは僕に伝えた。
おそらくこの城にジェミニモンもいること、ジェミニモンを相手にすればただではすまないこと。
『ですからあなたにはジェミニモンを探し出し足止めをしてもらいたいのです』
正直僕は唖然とした。僕にジェミニモンを相手にさせてもらえるとは思わなかったからだ。
『あなたは精神的にも強いですからジェミニモンを前にしても興奮したりはしないでしょう。ただし、あくまでも足止めですからね。無理は禁物ですよ』
それは、僕に与えられたチャンスだったのかもしれない。
僕はしっかりと頷いた。
無論、足止めで終わるつもりはない。
僕の手で…あいつを倒す。
そう決心した。

「まぁいいや…さっさと始めようか」
そう言いつつ天使は構える。
「それはいいが…お前、片腕はどうした」
初めから疑問に思っていたことを問いかける。
ジェミニモンの右腕は千切れたように無かった。
「これかい?これはタウラスモンが持っていったんだ…治せるって言われたんだけど、このまま残してある」
「そうか…なら、手加減なしで良いんだな?」
「君が手加減する余裕があるんならね…」
お互いに向かい合い、その気をためる。
もはや彼等に情けなど無い。
彼等はすでに敵同士となったのだ。
ならばただ戦うのみ。それしかない。
「では…行くぞ!」
すぐさまサジタリモンは矢を放つ。
だがそれは波動の壁により防がれた。
「たとえ腕が一本無かったとしても…僕の鉄壁の防御にはそんな攻撃効かないよ…」

ジェミニモンが最強といわれている理由の一つにその鉄壁の防御がある。
そもそも彼は防御を主体とした戦法をとる。
相手を寄せ付けずに腕から発する波動によって外へと弾き飛ばす。
そうすることによって無傷で敵を倒すことが可能なのだ。
故に彼は最強であり続けた。タウラスモンとの戦いまでは。
タウラスモンとの戦いで初めて彼は傷を負った。それも重症である。
だが彼はそれを治そうとはしなかった。
彼が何を思っていたのかはわからない。だが…それでも彼は無敗だった。

「グゥ…」
それはサジタリモンが相手であっても例外ではない。
彼が放つ矢をこのごとく弾き波動を浴びせる。
「…随分耐えるんだね」
だがそれでも彼は立っていた。
決して諦めることなく、その目に闘志を宿して。
「僕は…負けるわけにはいかない…タウラスモンのためにも…皆のためにも…」
だがそのダメージは多く足元もふらついている。
あと一撃も食らえばそこで終わりそうなほどだ。
「君は足止めだろう?何故そこまでして戦う?」
ジェミニモンには彼の考えていることがよくわかっていた。
それでも尋ねる。彼自身の言葉が聞きたいが為に。
「決まってるさ…僕は…戦士だからな」
彼は別に憎しみで戦っているわけではない。
あくまで戦士として、平和の為に戦っているのだ。
そのためならどんな相手でも勇敢に立ち向かう。
それが彼の強さだった。
「でも…君の攻撃は僕には届かないよ?」
「確かにな…でも、希望が無いわけでもない!」
彼はジェミニモン目掛けて駆けていく。
決して止まらず、前だけを見つめて。
本来彼は矢を放つために射撃戦をする。
この行動はジェミニモンにとって予想外だった。
「フ…でも君は僕のところへは辿り着けないよ」
すぐさま波動の壁を作り出し彼を拒む。
だが彼は弾かれること無くその場に踏ん張っていた。
「接近すれば…こっちのものだ…」
「何を言っているんだ…」
迫りながらも弓を構える。
決して迷うことなく、希望を信じて。
「確かにあなたの防御は鉄壁だ…でも、その防御にも穴が開いていることに気づいているのか?」
「な…まさか!」
そう、無くなった右腕である。
両腕から発していた波動が片方消えたことにより死角が生まれた。
そして迫り自分自身を波動で防がせることでその死角をフォローするのを防いだのだ。
「タウラスモンは無駄じゃなかった…僕に勝利の可能性を残してくれた…」
その矢は放たれる。ジェミニモンの体目掛けて。
ジェミニモンはそれを防ぐことが出来ない。
矢は体に突き刺さった。
その衝撃でジェミニモンが一瞬怯む。それを彼は逃しはしなかった。
「これで決める!『ジャッジメントアロー』!」
その一瞬の隙をつき放った矢はジェミニモンの仮面に当たり…
「あ、アァアアアアアアアアアッ!」
二つに割れて落ちた。
途端にジェミニモンは頭を抱えて苦しみだす。
その結果は彼にとって予想外だった。
「アアァ…ウグゥゥゥ…」
だがこのままにしておくわけにもいかない。
この場で止めを刺さなければいけない。
ジェミニモン目掛けて弓を構える。
「…これで終わりだ」
ゆっくりと彼は矢を放った。

彼がスターレジェンズに入ったのはそう昔ではない。
彼は本メンバーの中では一番若い存在だった。
故に彼は知らなかった。ジェミニモンの恐ろしさを。
そして誰もが知らなかった。天使が内に秘めた魔を。

「サジタリモン!」
部屋の前で合流し中へと踏み込んだライブラモンとアリエスモンは信じられないものを見た。
部屋の中にいたのはサジタリモンただ一人。
だがサジタリモンの体には風穴が開いていた。
「どうしたのです!一体何があったんですか!」
「あ…あいつは…何なんだ…」
彼の傷は致命傷だった。意識も朦朧としていて声が届いていないようだった。
「悪魔…いや違う…あれは…ば、化け物…あいつの中に…化け物…」
「…もういい、喋るな」
「あ…あが…」

そうして、希望を信じた戦士は死を迎えた。