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戦いはいつも非常なもの。
そんな戦いに私は身を投じている。
すべては平和の為に。すべては平穏の為に。

デジタルバスター外伝
第四章 乙女座

キャンサーモンとの戦闘の同時刻。
廊下には別の戦いが行われていた。
「へぇ…流石は念動力者だね」
仲間達を裏切ったパイシーモン。
城へ乗りこんだアリエスモンとバルコモン。
彼等の戦いは膠着状態となっていた。
そう、『互角』だった。
本来実力が互角なはずの彼等だが2対1で互角だった。
「大丈夫ですかバルゴモン」
「えぇ…ですが彼は…」
「どうやら何か力を与えられたようですね…」
パイシーモンの体は黒く染まっていた。
パイシーモンが放つ骨を押し返すもその強靭な体に阻まれてしまう。
そして徐々に彼等の疲労は溜まっていた。
「このままでは…こちらが不利です」
「えぇ…ですが、負けるわけには行きませんよ!」
アリエスモンは再び念を向ける。
だがあまり効果が感じられなかった。
「アハハハハ!いい加減諦めたらどうだい!この絶大な力に勝てるわけが無いだろ!」
一方、相手はあまり疲労しているそぶりは見せない。
このままでは勝敗は目に見えていた。
「確かにこのままでは…」
「いえ、決して諦めてはなりません」

『決して諦めてはなりません』
それが私の師の口癖であった。
かつて私が師と共に念修行に励んでいたときよく聞いた言葉だ。
念とは想いの力。だからこそ心が折れるとその力も弱まってしまう。
だからこそ諦めてはいけない。それはわかっている。
だが私の心はそれほど強くは無い。
何時だか師に聞いたことがある。あなたは何故そんなに強いのか。
だが師は私の予想に反したことを言った。
『私自身はそこまで強くありません。ただ私に出来ることは平和を祈るのみですよ』
当然私は理解できなった。師は充分強い。その師が何故そのようなことを言うのか。
『私が強いと感じるならば…それは私だけの力ではなく、私が信じるものたちの力です』
そう言いながら私を見て師『アリエスモン』は笑っていた。

「諦めては…いけない…」
「何だい何だい!まだやるっていうのかい!君達は本当に馬鹿か!」
力に溺れたものにはわからない、強い意志がバルゴモンを動かしていた。
「諦めない…諦めない…」
「待ちなさいバルゴモン!あなたは一体…」
アリエスモンの声も聞かずに前に歩み寄る。
「な、何だよ!何なんだよお前は!止まれ!止まれよ!」
パイシーモンが骨を飛ばすが当たらない。
狙いが全く定まっていなかった。
「何なんだよお前は!馬鹿か!いい加減に諦めろよ!実力の差は歴然だろがよ!」
「あなたのその濁った目ではわからないでしょう…心の強さ、想いの強さが!」
そのまま接近してパイシーモンに組み付いた。
「な、何するんだよ!そんなことしても勝てるわけ…」
「…ま、まさかバルゴモン!あなたは…」
「このまま…転移します」
転移。それは自身の肉体とその周りにあるものを別の場所に転送させる究極の念道力。
だがそれゆえに制御することが難しく下手をすれば異次元に飛ばされてしまう危険な力。
それを今実行しようとしていた。
「で、ですがあなたの力ではまだ無理です!」
「それが目的です…彼ごと、異次元まで向かいます!」
「ば、馬鹿よせ!止めろ!止めろぉぉぉぉっ!」

そうして、平和を愛した戦士はこの世界から消え去った。