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戦いが激化するにつれ、無事ではすまないことは覚悟していた。
だが、まさか…このような結果になるとは思わなかった。
まさか…かつての味方にやられるとはな。

デジタルバスター外伝 星の戦士達
第一章 蠍座

「ふぅ…この先にバルゴモンたちがいるのか…」
とある町の付近の草むら。そこに一匹の蠍がいた。
彼の名前はスコピオモン。かつてはさまざまな町を荒らしまわっていた。
だが今の彼はこの世界を守る戦士達の一人である。
「しかしスターレジェンズが全員集合とはな…決戦の日が近いということか」
聞いた話によると現在子供達はとある拠点を目指しているようだ。
そこを制圧することが出来ればこちらに有利に運ぶことは間違いない。
だからこそ、こうして戦力を集結させようとしていたのだった。

「よく来てくれましたスコピオモン」
「遠路はるばるご苦労だったな」
町の中に入り、彼の仲間である二人と合流することができた。
バルゴモンとアクエリモン。二人の平和を愛する仲間達だ。
現在彼等は同じ組織の一員として活動していた。
「…で、お前がここに来たということは」
「あぁ、戦力を集結させて近々攻めることになるらしいな」
「そうですか…とうとう最後の戦いが始まるのですね」
そう、これから最後の戦いが始まる。
そうなれば自分とて無事ではすまないだろう。
だがこの命、すでに覚悟は出来ていた。
「他の方々にも報告は?」
「あぁ、ジェミニモンの方にはタウラスモンが向かっている。カプリコモンの方にはレオモンだな。あとは…」
「行方不明になったキャンサーモンとパイシーモンか」
以前、カオスモンの拠点の一つに潜入操作をした。
その際に帰ってこなかった者たちがいたのだ。
今彼等がどうなったかはわからない。だがそのために計画が失敗してはならない。
なぜなら彼等は世界の為に、苦しむものたちの為に戦っているからだ。
「わかりました、では早速参りましょう」
「正直時間が惜しいからな」
「そうだな、そうと決まれば…」
その時、何処かで轟音が聞こえた。
場所はそう遠くは無い。おそらく町の中で何かがあったのだろう。
彼等はすぐさまその場へと急行した。

そこにいたのは巨大な鋏をもった者と魚人。
そう、彼等のかつての仲間であった。
「キャンサーモン…パイシーモン…」
「答えろ!何故貴様等がこのような真似を!」
アクエリモンはすぐさま彼等に問いただす。
だが彼等はニヤニヤと笑っていた。
「決まってんじゃねぇか、俺たちはあんた等の敵って訳だ」
「正直こちらについた方が得策だと思ってね、簡単に言えば裏切りって奴かな?」
「貴様等…」
彼等の動揺は計り知れない。
かつての仲間が自分達を裏切ったのだから無理も無いだろう。
だが、その中で一人冷静なものがいた。
「…一つ聞かせろ」
「ん?どうしたスコピオモン?」
「貴様等は…一体何をしている」
「そんなの決まってるじゃないか。僕たちは混乱させるために町を襲っているんだよ」
「そうか…ならば情けを掛ける必要はないな」
スコピオモンの周りにオーラが現れる。
それは怒りか、それとも悲しみか。
それでも彼は依然冷静なままだった。
「随分冷静じゃねぇか。もっと動揺するかと思ったんだがな」
「裏切られるのは慣れている…それに裏切った経験もあるのでな」
「ま、別に僕たちの相手をしてもいいんだけどさ?それでいいのかな?」
「どういうことですか!」
「今反対側に兵士が向かってる。早く行かなきゃ町がどうなるか…てめぇらならわかるだろ?」
「貴様等!」
「アクエリモン!」
辺りにスコピオモンの叫びが響き渡る。
その一言でアクエリモンは冷静になれた。
「アクエリモンとバルゴモンは向こうに向かってくれ」
「で、ですがあなたは…」
「俺はここで奴等を食い止める。だから早く!」
無論、彼にもこの行動が無謀であることは理解していた。
自分と互角の相手が二体いる中自分ひとりだけ残るというのだ。
「お前…」
「俺たちの目的は苦しむ人々を守ることだ。ここを見捨ててカオスモンを倒したところで意味は無いんだ。だから…」
「…わかりました」
「バルゴモン!」
それは、あまりにも重い決断。
彼を犠牲にしなければならないという冷たい現実を受け止めた結果だった。
「ですが、あなたも無茶だけはしないでください」
「…フ、わかったよ」
バルゴモンの願いにようやく彼はその顔に余裕が出てきた。
「スコピオモン…」
「アクエリモン、後は頼むぞ」
「…わかった。行くぞバルゴモン!」
「えぇ!」
二人はこの場を後にし町の反対側へと向かっていく。
この場には二人の敵、そして一人の戦士が残った。
「へぇ…一人でどうにかなると思ってるの?」
「少なくとも…貴様等になら時間稼ぎにはなるな」
「へっ!俺たちも舐められたもんだぜ!」
二人は戦士へと向かう。その殺意を剥き出しにして。
「言っておくが…この俺を甘く見ないことだな」
そして、その戦士は吼えた。

「スコピオモンは…大丈夫でしょうか」
その場へ向かう途中、彼等は残していった仲間を案じていた。
「…あいつは精一杯戦うさ、あいつはそういう奴だ」
「何か…知っているんですか?」
「あいつとは以前一戦交えたことがあってな…それ以来の仲だよ」

一つ、昔話をしよう。
かつて、世界各地を荒らしまわっていた盗賊団がいた。
彼等は町や村を襲って金品を強奪し、悪事を働いてきた。
だがある日、その盗賊団の首領ととある戦士が戦ったときから状況は変わった。
首領が突然解散を宣言したのだ。
結果としてその盗賊団は副首領が指揮することになった。
そしてその盗賊団を壊滅させたのがかつての首領、スコピオモンだった。

「チッ…」
スコピオモンはその木に体を預ける。
彼はすでに満身創痍の状態だった。
「一人で俺たちに立ち向かおうってのは少々無謀だったみてぇだな!」
「確かにあまり賢い判断とはいえないよね」
だが敵は彼を休ませてはくれない。
かつての仲間だからこそその力は熟知している。
それは彼であっても同じだった。
「そろそろ諦めない?もう抵抗は無駄だと思うけど」
「そうだな、いい加減に観念しねぇか?」
二人の降伏勧告に彼は答えない。
ただゆっくりと立ち上がるだけだった。
「まだやるのか?もう無理だと思うんだがな」
「黙れ外道が…この俺を甘く見るなよ…」
彼が発する闘気、それはこれまでとは計り知れないものだった。
それはまさに、かつての自分に戻っているような。
「な、何これ…とんでもない力だよ…」
「あいつ…まだこんな力を…」
「たとえ勝てないとしても…ただでは死なんぞ…」
突如スコピオモンがパイシーモンに組み付く。
パイシーモンは抵抗が出来ず動けなくなった。
「てめぇ!」
「ま、まずい!近づいては駄目だキャンサーモン!」
「遅い!『ポイズンピアス』!」
キャンサーモンが近づいた隙を突き彼の尾が突き刺さる。
「グアッ!」
「もう一撃!」
そしてパイシーモンをも尾で刺す。
「グゥッ!おのれ…『ロイヤルデモンズフィッシュ』!」
パイシーモンの口から骨が射出されスコピオモンの体に突き刺さる。
彼はそのまま木に叩きつけられた。
「チッ…舐めた真似しやがって…ゆるさねぇ…」
「でももう無理だね。こいつもう致命傷だよ」
彼が受けた傷はとても深い。
彼はもう助からない、それは彼自身が一番良く知っていた。
もとよりこの結果は予想していたこと。
だからこそ彼は動揺はしていなかった。
「確かにもうすぐ俺は死ぬな…だが、俺は最後まで戦うさ…」
彼は再び立ち上がる。その目には諦めは感じられない。
彼は今、その信念のために立ち上がっていた。
「しぶてぇ奴だよ、お前は」
「なら…徹底的に殺してあげるよ!」
「やれるものならな…行くぞ!」

そうして、信念のために戦った戦士はこの世を去っていった。