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ロウハ「はぁ…やったか?」 ブラスト「少なくともかなりのダメージを与えたはずだ!」 カオス「まず…一人」 ブラスト「あ、あぁ…ウワアアアアアアアアアアアアアッ!」 第77話 恐怖 前回のあらすじ ブラストモンとロウハモン、2人の戦士と混沌の魔人との戦いが始まった。 2人の攻撃はカオスモンには全く通用せず、苦戦していた。 そして、カオスモンはロウハモンの体を貫いた。 カオスモンの側には倒れた友の姿。 彼は感じ取ってしまった。身近に忍び寄る『死』の存在を。 ブラスト「アアアアアアアアアアアアアッ!」 ブラストモンはあたり一面に撃ち続ける。 当然カオスモンには当たらない。 それはただ部屋をどんどん破壊していくだけだった。 カオス「ふん…感情的な攻撃では意味が無いのだがな…」 カオスモンは瞬時にブラストモンの後ろに回る。 そしてロウハモンを貫いた腕で突いてきた。 ブラストモンは瞬時に腕の銃を盾にしてそれを防ごうとした。 しかし、それは意味を成さない。 銃は粉々に砕けブラストモンは壁へと突き飛ばされてしまった。 ブラスト「ガハッ…」 ブラストモンはゆっくりと砕けた銃を構える。 しかしそれは震えており狙いが定まらない。 ブラスト「動け…動け…動かないと…嫌だ…死ぬ…」 そう、彼は恐怖していた。 思えば『浅野龍』がこの世界に来てから、彼は死を身近に感じたことは無かった。 過去に4回、目の前で死を見たがそれが自分に来るとは思っていなかった。 それゆえに今恐怖する。自らの死を恐れて。 カオス「抵抗しなければ楽に死なせてやったものを…」 カオスモンは腕を構える。 その腕に水と風が纏われていく。 カオス「ならば徹底的に潰してやろう…消滅せし混沌<カオスブレイク>!」 その一瞬、その一瞬で彼の心は粉砕された。 辺りに音が無くなる。 辺りに色が消えていく。 その場に立っているのはただ一人、この部屋の主のみ。 銃士は動かず、剣士はその場に倒れたまま。 結果はすでに出ている。 勝負は混沌の魔人の圧勝に終わった。 そう、終わってしまった。 カオス「…終わりか、あっけないものだ」 魔人は悲しげに呟く。 彼が待ち望んでいたもの、それを今簡単に壊してしまった。 あまりにも簡単すぎた。だがそれゆえに彼の心は晴れない。 彼はその場を後にしようとした。 『死にたくない…』 それは、彼に残された想いの強さだったのか。 それとも彼に残った執念の強さか。 その時、銃士はまだ生きていた。 いや、生きていたというべきかどうかはわからない。 唯一つ言えるのは彼の『心』はすでに死んだということだけ。 彼にはもはや考えるだけの理性がない。 彼に残されたもの、それは死への恐怖と生への執着。 生きることにしがみつく生物が持つ本能のみだった。 『しにたくない…』 故に彼は力を求める。 死を恐れ、恐怖に押しつぶされ心が死んだその銃士は力を求める。 敵を倒す力、死を逃れる為の力。 自身の命のみを生き残らせる力。 それは、初めて自分自身の為に望んだ力だった。 『シニタクナイ…』 近くには先に倒れた剣士の姿がある。 それは重症であったがまだ助かる見込みがある。 だが彼はもう駄目だ。彼の心はすでに壊れてしまった。 彼はすでに倒れた友のことなど考えることが出来ない。 だから彼は求める。『自己』を代償とした力を。 だから彼は求める。『自己』を変化させた力を。 自らを変えてでも生き残る力を。 そうして、『浅野龍』はこの世界から消え去った。 セイレー「…これって…」 城の内部で戦っていたセイレーモンたち。 彼等もその『異常』を感じ取っていた。 オピュクス「剛輔、これは…」 ヴァング「あぁ…さっきから感じてた大きな気が二倍になった…」 ハイドロ「一体どうなってるの?」 ヴァング「唯一つわかることは…奥で何かがおきたということか…」 セイレー「…龍君、大丈夫だよね…」 そして、『ソレ』は現れた。 混沌の魔人がその『異常』を感じ取ったのは何時だったか。 気が付くとその部屋には見慣れない存在があった。 黒い鎧を纏い、大きな剣を持つその姿。 カオス「…なるほど、お前もその道を選んだか」 そう呟くカオスモンの顔から笑みがこぼれていた。 カオス「お前…名は?」 カオスモンはその漆黒の存在に問いかける。まるで答えを知っているかのように。 カイザー「…我はカイザーモン、闇を滅し光を征すモノ」 第77話 完 次回 帝王

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