41st moment ~帰結~

大草原の中、龍也は立っていた。
なにやら視界が低い(?)。
不思議に思っていると、なにやら紫色の毛並みをした小さな生物がこちらを見上げている。
「ねえ、遊ぼうよ!!」
その小さな生物は、目を輝かせて言った。
「君は誰・・・?」続けて質問が来た。
「僕はね、たつやっていうんだ。・・・君は?」
「・・・・だよ。よろしくね、えへ。」・・・聞き取れない。
「うん、よろしくね。いいよ、何して遊ぶ?」

どうやら自分は子どもらしい。5歳になるかならないかの・・・
そして小さな生物と、しばらく遊んでいた。

「あ・・・、そろそろ帰らなきゃ、お母さんが心配してる。」
「お母さんって何?おいしいの?」
「ううん、母さんはね。母さんは・・・あれ?僕もわかんないや。」
「・・・・・・・」「・・・・・・・」
「ははははははははは!!」笑い転げる二人。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「・・・・・・・・・・・・・!!」
地震が起きたかと思うと、爆音とともに上空を埋め尽くすような何かが。
ブウウウオオオオーーーーーーーー!!!
そう、その正体は・・・・・戦闘機?・・・・・いや、デジモン!!?

「・・・・・・・・・!!」
気がつくと目の先には天井があった。・・・寝ていたらしい
「夢か・・・・・」
汗ビッショリ。体を起こし、頭を掻き掻き。
「ふう・・・・。それにしても、やけにはっきりしてて・・・。前に見たような気が。」
「龍也~!!起きろよ!!学校だよ~~!!」ドルモンがデジヴァイスの中で言う。
「まさか・・・な。・・・わかったよ!」
足をベッドから出し、ベッドに座ったまま足を床につける。
「ふう・・・・・」
時計を見る。・・・・・・・・・・
「ぎゃあ~~~~~~~~~!!!」

「龍也~~、またギリかよ。」「うるせえ。」
机に顔を横にして座る龍也に友人の英二が話しかける。隣には勝もいる。
「でもすごいじゃん、龍也君はいままで無遅刻だし。」
紗愛(すずあ)が入ってきた。
「龍也に甘いのね、あんた。」と、綾乃。由奈もいる。
こいつらも・・・大切な友達だ。そしてこのコも・・・。
龍也がいうこのコである紗愛。
ぼんやりとしているが、彼女は覚えているのだった。デジモンのことを・・・
龍也を見る・・・。と、目が合った。
「・・・・・・・!!」少し赤くなる。龍也だけだが。

あの出来事から一週間
普天間米軍基地の室長は辞任。東京にあるレオンさんたち組織の本部へ向かった。
龍也たちに協力した米兵二人も、エマに勧められ組織の一員として東京へ向かった。
デジモンが現れることはない。
しかしいまだに米軍の飛行機は上空を飛んでいる。
オレ達はなにをしにいったのだろう。
ふう、何も変わってないじゃないか・・・。
明日はまたレオンさん達のところで集まるらしい。

しかし、彼らには得たものもあったようだ。
      • その日の放課後

「ねえ、・・・一緒に帰らない?」
勇気をしぼり、えりかはその女の子のグループに声をかけた。
「・・・・・・・・・・・」
おしゃべりが止まり、急に静まり返る。
「やっぱり・・・だめだよね。」
後ずさり・・・。
「いいよ!!」
「・・・・・・・・・え!?」えりかは目を丸くする。
「・・・だから!!いっしょに帰ろうよ!!ね。」
「多いほうがいいし!!」「うん!!」
少し信じれなかったえりか。しかし・・・
「・・・・・・・うん!!・・・その、よろしくね。」
自分で動かなきゃ・・・・、変わらないんだよね・・・。

えりかは、もう少し人を信じれるようになったようだ。

海人が住む沖縄市・・・。
海人は部活前の準備をしていた。

米軍の街として知られる沖縄市コザ。
そこでデジモンが大量出現し、米軍が出動する騒ぎになった。
そのときの激戦の中で龍也のパートナー・ドルモンは完全体メタルドルグレモンに進化し
た。レオンと出会い、彼等と共闘するようになったのもそのときからだった

「ふう・・・・・。」
あの戦いの後、怪獣ブームが起こった。しかし、それは今はもうおさまっている。
というよりも完全に記憶から消し去っているように思える。
きっとレオンさん達の仲間が記憶消去に奔走したんだろう。

ラブラモンが完全体ティーダドラモンに進化したのも自分の生まれ育った沖縄市だった。

オレは二度も自分達の街を守ったんだ・・・誇りに思う。
「ありがとな、ラブラモン。おまえがいたからだ。」
デジヴァイスの中にいるラブラモンに話しかける。
「えへ、そんなことねえよ。」
そして龍也やえりか・・・。仲間達がいたからだ。

「今日、母さんがいないから、インスタントでも食べとけって!!」
その夜、自宅で龍也が言った。
「じゃあ・・・・・・!!」ドルモンはその目を輝かせた。
「ああ・・・・。」
「ラザニア~~~~!!」
かなりの喜びを表現するドルモン。大好物だからだ!!
「最近、母さんがビックリしてるぜ!!急にラザニアをオレが買わせるから。」
「オレのおかげ!?」と、ドルモン。
「いや、そういうわけじゃなくて・・・。」
「こんなうまいもんがあるなんて人間界はすごいぜ!!」
「なあ、デジタルワールドってどんなとこなんだ?」
「う~ん・・・
「いつか・・・話したほうがいいのかな?おまえのこと・・・・」
いきなり龍也は真剣な面持ちになる。
「・・・・わかんない。とりあえず龍也も食え~~~~!!」

「また、集まってもらったわね。」エマが言った。
翌日、龍也達はレオン達のアジトに集合した。

「まず、君達のこれまでの健闘、ご苦労だった。」
と、レオン。
「これでデジモンの事件や出現も収まった。感謝してるぞ。」
と、ロバートだ。
「いえ、こちらこそ・・・。色々、教えてもらいました。」海人。
「レオンさん達がいなかったら、ここまでこれなかったです・・・。」そしてえりか。
「で、なんで集まったんですか?」と、龍也。
「ああ、そうだな。」

本部に報告した。
沖縄のデジモン事件は米軍が関係していたことを。
ひとまず解決だ。
      • あの事件の後、米軍基地内の者も地下の存在を知っているのは一握りだったから、影響はあまりないが。まあ、総司令官の辞任は衝撃もあったようだ。少し気がかりなのが・・・。
「つかまえてなにもかも吐かせるつもりだったのに・・・肝心のエリックは死んでしまったわ。」
エマが言った。
「それと龍也、射殺した者を見たといったな。」
「はい、みました。」
レオンが尋ねると、龍也は答えた。
「エリックは撃たれた。オレは見たんだ。誰かが確かにいた。この目で見た。きっとあいつだ、エリックを撃ったのは。」
結局、何も聞き出すことはできなかった・・・・

一連のデジモン事件。そして米軍は何故デジモンを?エリックだけが原因だとは思えない。
「根元はなんなのか・・・。実際に行ってそれを調べる必要がある。」ロバートが言う。
「・・・・・・・・・・・!!?」
「そこで君達には・・・・・・・・」

“デジタルワールド”に行ってもらう。

それがレオンの言葉だった。

41st moment end

第1部 完

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最終更新:2007年08月21日 23:43