とある遺跡の中…。
「ほぅ…アビスモンがここまでボロボロにされるなんてね…」
「LOADよ。次は俺が行く」
「大丈夫なの?」
「アビスモンがボロボロになった理由。それは、敵を見縊っていたことにある。俺はいつだって本気で戦う。だから敗北するなんて事はまずありえない!」
「でも、そうやって力を無駄にするっていう欠点もあるけどね」
「そ、それは少ない攻撃回数で敵をしとめられれば、それだけ力も消費しなくて済む。と、ともかく、次は俺に出させてくれ!」
「でも~…」
「わかった。御前に期待している」
もう一人のLOADが言った。
「おぉ!!有難い!」
真っ黒なデジモンはバーニアのようなもので、飛んでいった。

                 Evolve20『不完全な大地のパワー
                           ガイアモンの一撃』

ここは、西部のテイマーユニオン。
孝義はバイフーモンに呼ばれて、オブサーバールームへ来ていた。
「来たね?今回シルバーテイマーに最も近い君たちに、頼みたいことというのは、空中庭園と呼ばれる、スカイガーデンを調査して欲しい」
「調査って何かあるの?」
「ウィルス反応が現れたんだ。何があるか分からないから、気をつけてくれ…」
「分かった。行ってくるね」
孝義は、ポータルに乗り、スカイガーデンへと向かった。

到着してみるが、特に変わったことは無い。
それどころか、ウィルスがあるとは思えないほど、平和だった。
歩いていると、花畑があり、そこに一人の少女と一体のピンク色の雛鳥のようなデジモンがいた。
「ねぇ。何をしてるの?」
孝義がその少女の話しかける。
「蝶と話してるの」
少女は楽しそうに言った。
「何を話してるの?」
孝義は優しく聞く。
「いろいろ」
少女は楽しそうに言った。
孝義がガオモンの方を見ると、ガオモンはピンク色の雛鳥のデジモンをじっと見ていた。
「君の名前、聞いてなかったね。僕は飯野孝義っていうんだ。コイツは僕のパートナーでガオモン」
「私は桑原樹里っていうの。この子はピヨモン」
しかし、ピヨモンは花に夢中だ。
「あ、あの~…」
ガオモンが恐る恐るピヨモンに声を掛けた。
「何?」
「あの…もしよければ、この後俺…いや、私と一緒にティーなんかいかがでしょうか…?」
ピヨモンには「?」しかつかなかった。
しかし、突然大地が大きな揺れを感じたのだ。
「な、何だ!?」
空から真っ黒なデジモンが降りてきた。
「こんな奴等に負けたのか?アビスモンは…」
その真っ黒なデジモンは呆れた。
そして、機械獣のような足が地面に着くと、一瞬大地は大きく揺れた。
「何だ御前は!」
孝義が聞いた。
「俺の名はガイアモン!大地を司るデジモンだ!」

~データ解析~
ガイアモン
世代:究極体
種族:特異型
属性:ウィルス種
詳細:カオスドラモンとムゲンドラモンのジョグレスにより生まれた、不完全なデジモン。右腕にはムゲンブラスト、左腕にはカオスブラストがある。背中の4つの砲台からクレーターを軽々作り出すほどのパワーを持つ弾が発射される。上段の砲台は後ろに回転することが出来、それで空を素早く飛ぶ。
必殺技:オーバームゲンキャノン、ジェノサイドミサイル、デストロイミサイル、ダブルレーザーエッジ、∞キャノン、ハイパームゲンキャノン

「ガイアモン…?…まさか、ウィルスっていうのは御前か!?」
ガオモンがガイアモンに指を刺して言った。
「ウィルス?人をウィルス扱いしやがって…。まぁいい、俺は不完全なジョグレスだからウィルス扱いされても可笑しくは無いか…」
「ここに何のようだ!」
「用も何も…俺はLOADの命により、このエリアを支配しに来たんだよ!」
「なるほど…デリートしなければならない相手って事か…孝義!」
「ウン!分かってる!『プログラム発動!―メタルアップ!』」
ガオモンの両手が硬化した。
「早くここから出て行け!『ローリングアッパー!!』」
「正面から突っ込んでくるとは相当俺を嘗めてるのか?」
ガイアモンは背中の大砲の銃口を、迫ってくるガオモンに向けた。
『∞キャノン!!』
下段の大砲から、エネルギー波を放った。
「何!?」
ガオモンは思わず、攻撃を中断した。
「ウアァァッ!!」
「ガオモン!!」
ガオモンは∞キャノンに飲まれた。
∞キャノンはそのまま孝義たちの方へ向かってくる。
「危ない!!」
孝義はピヨモンと樹里を連れて、それを避けた。
「フッ!ちょろいもんだな…」
「ちょろい?俺はまだ死んでないぞ」
ガオモンがガイアモンの懐に入って言った。
「いつの間に!?」
「穴を掘っておいたのは正解だったな」
「穴を…?まさか!!」
「そう。ローリングアッパーで御前に少しずつ近づきながら、穴を掘ってたんだよ」
「クッ!くそぅ!!」
ガイアモンはガオモンを踏みつけようとするが、ガオモンは大きくジャンプしてそれを避ける。
「今度はこっちから行かせて貰う!『ダブルバックハンド!!』」
重い一撃が何度もガイアモンを襲った。
「グゥッ!!」
ガイアモンはそのまま後ろに倒れた。
「よし!孝義!ピヨモンは大丈夫か!?」
ガオモンが孝義の方に向いて言った。
「あぁ…」
「お花が…」
しかし、精神的には大丈夫でもなかったようだ。
樹里は焼き焦げた花たちを見て唖然としていた。
「皆…死んじゃったの…皆…」
「樹里…」
ピヨモンは跪く樹里の方に手を乗せると、ガイアモンを鋭い目で睨んだ。
「うぅ…なんて重い一撃なんだ…頭がくらくらするぜ…」
ガイアモンが立ち上がって頭を押さえながら言った。
しかし、口で言ってるほどダメージは無いようだ。
『マジカルファイアー!!』
緑色の炎が渦を作りながらガイアモンに迫ってきた。
「ウヒョ~!!」
ガイアモンは変な言葉を発しながら飛んでいった。
「ピヨモン…」
「樹里を泣かす奴は…許さない!!」
「な、なんだ!?今の!」
ダメージは全くなかったものの、ガイアモンは相当びっくりしているらしい。
『ローリングアッパー!!』
ガオモンの重いアッパーがガイアモンの顎に命中した。
「グワァッ!!」
ガイアモンはそのまま打ち上げられた。
『マジカルファイアー!!』
「グフゥッ!!」
ガイアモンの腹部に直撃し、そのままスカイガーデンの外に飛ばされた。
「やべぇ!俺としたことが!油断したぁ!!」
ガイアモンはノーダメージのままその場を去った。
「花が…皆…」
まだ樹里は精神的に壊れている。
「皆で植えなおそう」
孝義が優しく樹里に言った。
「え?」
「皆で手伝えばすぐに元通りになるさ」
ガオモンも優しく言った。
「ウン!!」
樹里の目からは今度は悲しさの涙ではなく、嬉しさの涙が溢れた。
孝義たちはこうして、長い時間を掛けてスカイガーデンの花を咲かせる準備を整えた。
「それじゃあ俺はバイフーモンに報告してこなきゃいけないから」
「ウン。またね」
孝義は樹里のアドレスを貰い、帰っていった。

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最終更新:2007年08月09日 08:55