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「・・・彼奴は今どこにいるんだ?」
「「・・・・・・」」
「?」
暗くなった2人の空気にベルゼブモンはついて行けない。
「・・・スカイマウンテンにいるよ・・・。」
神楽が言った。
「そうか。あそこは景色が・・・」
「死んだんだよ!!!」
ギアモンはベルゼブモンの言葉を遮り叫んだ。
「お前も戦った仲だから言っておく・・・!鏡花は死んだんだよ、この俺の手の中で!!」
そう言い、ギアモンはがむしゃらに駆けだした。
「ギアモン!」

 第三十八話 静かな夜

クソォ・・・・・・
クソォ・・・!
鏡花が死んだのだって、俺の無力のせいだ!
俺が・・・俺が・・・

「私・・・・・・ギアモン・・・の・・・・・・役に・・・たてたよ・・・・・・ね・・・・・・?」

こんな時に鏡花の言葉が・・・
馬鹿言うなよ、役に立つも何も、お前は俺のパートナーだったじゃないか・・・!
鏡花を必要としていたのは俺だ・・・全部俺なんだ・・・

「・・・・・・ギア・・・モン・・・・・・、後は・・・頼んだよ・・・・・!」
そして、鏡花はゆっくりと目を閉じていった。

あの時の状況が目に浮かぶ。
俺は固く拳を握り、ひたすら足を前へ前へと進ませた。
俺には何が出来るんだろう・・・
俺こそ、鏡花の役に立てたのか今でも不安だ。
「後は・・・頼んだよ・・・・・!」
頼んだよって・・・・・・・・・
俺は何もしていない。
鏡花との約束を果たせていない。
あれから後の事は全て任せられたんだ。
しかし俺に何が出来るんだ・・・?!

ドンっ!

「あでッ?!」
俺は何かにぶつかった。
頭をさすりながら上を見る。
「ふぅ・・・」
翼がいた。
翼はそのまま俺の頭をなで回す。
「やっぱりね」
      • ??
俺は翼の言っている事がよく分からない。
タマモンが翼のポケットからひょこっと顔を出し、俺をジッと見つめる。
「・・・?」
すると翼は俺の肩を掴み、無理矢理回れ右をさせる。
そして背中をポンッと叩いた。
「な・・・なんだよ・・・」
「なんだよって・・・、みんなの所に戻るんだよ。」
翼はしゃがみ、俺と目線を合わせて言った。
「・・・・・・。」
そいや、なんで俺、走って来たんだっけ?
そうだ、鏡花の事を聞かれて、勝手に熱くなっちゃったんだった。
するとなんだか翼と目を合わせられなくなってきた。
そんな俺を見て、翼はフッと笑う。
「僕達ね、ギアモンを待ってたんだよ。」
続けてタマモンが言う。
「あの後3人だけ残ったでしょ?僕ら2人はわざとそうしたんだ。」
え・・・・・・?
何のためにわざわざそんなことを・・・
「3人にお互いの事を知ってもらいたかったからね。」
「そこで、鏡花の話が出たときに、今みたいな事が起こるだろうと推測して、待ってたんだよ。」
俺のために・・・
そうか。
ちょっと自分勝手だったな、俺。
少し反省してから俺は、タマモンと翼に言う。
「ありがと」
それからスクッと立ち上がる。
翼も立った。
なんだかさっきより翼が低く感じる・・・
気のせいだよな、きっと。

「ギアモン、帰って来ないな・・・・・・」
「ええ・・・」
「ってかさ、翼とタマモンもいないな。」
隆達も戻り、たき火を始めていた。
隆が帰ってくるついでにもう一つ丸太を見つけてきてくれたので、椅子を増やした。
しかし、会話がそれ以上弾まない。
というか、全体的に空気が重いのだ。
すると
「・・・お・・・おう、悪ぃ」
ギアモンが木の間から現れる。
右手を挙げ、作り笑いをしている。
神楽はそんなギアモンを見て
「バカッ!」
と叫んだ。
だがギアモンは、その「バカッ!」という言葉を聞いて、やたらと安心できた。
続いて翼とタマモンが現れる。
「ったく、どこ行ってたんだよ。夕食の準備出来てるぜ。」
隆が声をかける。
「ああ」
3人は席に着く。
気づけば空は赤くなり、一番星が一人で輝いていた。
そのせいか、たき火が前より赤く見える。
たき火の回りにはエアシグナルソードで磨いだ木に魚が刺され、焼かれていた。
そしてそのたき火の横に、腐った木が1本落ちているのは神楽しか知らなかった・・・。
魚は全部で9匹焼かれ、完全にたき火を覆い尽くす。
地面には大きな葉の上に、美香とアンナモンが集めた木の実がおいてあった。

クチャクチャクチャ・・・
ギアモンは、さっきの出来事を忘れたかのように食べ物を口に詰め込んでいく。・・・いや、ギアモン自体が忘れたかったのかもしれない。
その顔は無表情で、はっきり言うと、見ている方は怖い。
無造作に食べ物を口に詰め込み、頬はパンパンになった。
クチャクチャゴクッ、クチャクチャ・・・
『・・・・・・・・・・・・』
「・・・ギアモン、もうちょっとゆくっり食べれば?」
神楽が声をかける。
「をぉ」
しかし、暴食は止まらない。
「完全にやけ食いだな」
隆が呟く。
「ほら、魚焼けたぞ。」
隆はたき火の回りの魚を一匹取り、ギアモンに渡してやった。
「わんわを(あんがと)」
ギアモンが魚を取る。
ゴックン
ギアモンは口の中にあった食べ物を一気に飲み込む。
そして魚に取りかかった。
そんなギアモンに続いて、一同は魚を手に取り、食べ始めた。
「・・・あれ?」
アダーモンが何かに気づく。
「僕達人数分の魚取ってきたのに・・・」
隆も気づく。
「一本余ってる。」
ギアモンはそれを見て言う。
「隆とアダーモンは優しいなぁ。俺のためにわざわざ一本多く取ってきてくれるなんて・・・。感謝の雨あられだぜ!」
ギアモンは魚に手を伸ばす。
ペチッ
「こら!」
神楽が止める。
「あたっ!なんだよ、いいじゃんか!」
ぷりぷり怒るギアモンに神楽が言う。
「これってベルゼブモンのじゃないの?!」
「「ぁあそうだ!!」」
隆とアダーモンが声をそろえて言う。
「俺等ベルゼブモンのも釣ってきたんだ!」
ギアモンはすごすご退散する。
「チェッ!・・・てか、彼奴どこにいんだよ」
一同は辺りをぐるっと見渡す。
見えるのは真っ黒な木々と、夜空と、そこに散らばる星だけだ。
食べる前に寄りかかっていた木にもいない。
「じゃあ食って良いじゃん!いらないからいないんだろ?」
「・・・駄目でしょ。戻ってきたら・・・」
しかしたき火の回りに魚がない。
「ギアモ・・・」
「俺食って無いよ?」
確かに、ギアモンは串も持ってないし、口に入れた様子がない。
「そうやって罪をなすりつけるのは良くないと思うぜ?な、神楽?お前の足下に串が2本落ちてるンだけど・・・?どう思いますかね、この現状」
「え・・・?!」
神楽は慌てて下を見る。
すると驚いたことに串が2本散らばっていた。
「なんで?!」
「なんでって神楽が食ったんだろ?全くさぁ、困るよね。自分が食ったのに俺に罪をなすりつけるんだぜ?」
そこに美香が言う。
「もしかして・・・もうベルゼブモンが食べたか・・・?」
『?!』
「可能性は・・・無いとは言えないけど・・・いつの間に?」
隆の疑問。
「でもベルゼブモンなら・・・」
この答えを知るものはギアモンだけだった。

そんな口論をしている中、少し離れた木の上にいたベルゼブモンは呟いた。
「今度は己かよ・・・」
そして眠りについた。

「あ~・・・食った食った。」
ギアモンは地面に横になった。
「そろそろ寝るか?」
「僕もう寝る~」
アダーモンはゴロンと転がる。しかし次の瞬間、もう夢の中だった。

こうして静かな夜は過ぎようとした―――。
が・・・
「(ん・・・畜生、眠れねぇ・・・)」
ギアモンだけはまぶたが下りていなかった。
恐らく明日への興奮のせいだろう。
なんと言ったって、明日はドルモンと決着をつけに行くのだ。
「くそ・・・・・・」
ギアモンは悪態つき、寝返りをうつ。
空気はひんやり冷たく、音一つしていない。
それがギアモンには妙に思えて仕方がなかった。

 これから訪れる“運命”を知らずに――――――