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スーツェーモンに頼まれたクエストを即刻終わらせて帰ろうとして、歩いていた孝治。
そのとき、突然笛を吹く音がしたのだ。
「何だ?この音…」
気になった孝治は帰るよりも先に、その笛の音がするほうへ向かった。

Evolve11『自由のテイマー
                               力比べの戦い』

そして、そこには旅人的な格好をしている自分とほぼ同い年の人間が小さなピンク色の妖精と共にその場にいた。
周りには子どもたちとそのパートナーのデジモンたちが集まって「笛を吹いて」と言ってる。
「お兄ちゃん凄い!何でも吹けるんだね!」
「ハハハハ、いやぁ…それほどまでじゃないよ」
子どもたちもデジモンたちもその少年も楽しそう。
孝治はその姿を見て、過去の自分を思い出した。
幼稚園の頃、友達と鬼ごっこをして遊んでいる自分を…。

~鬼さんこっちだ!~

「クッ!…違う!俺は…」
孝治は頭を押さえて自分に言い聞かせた。

~俺はもう本当の笑顔を捨てたんだ~

「お兄ちゃん!じゃあこれ吹いて?」
一人の子どもがリコーダーを渡した。
「これかぁ…僕苦手なんだよなぁ…」
そう言いつつ、少年はリコーダーを吹いた。
それは、とても上手いものだった。
「凄い!お兄ちゃん!!」
「いやぁ…ハハハハハ」
子どもたちも少年も本当に楽しそう。
孝治はその場から去ろうとした。
そのときだった。
「君のデジモンは…なんて言うの?」
「え?」
少年が孝治だけに聞こえるように言った。
「ごめん。僕、もう行かなきゃ」
『えぇ~!?』
子どもたちもデジモンたちも息を揃えていった。
「僕はこの人と話がしたいんだ」
子どもたちとそのパートナーのデジモンたちはしょんぼりした顔でその場から去った。
「…話って何だ?俺と御前は初対面の筈だろ?」
孝治は少年に言った。
「自己紹介がまだだったね。僕の名は木戸歩って言うんだ。そして…」
ピンク色の小さな妖精が歩という少年の肩に止まった。
「コイツはパートナーのピッコロモン。僕たちはバイフーモンっていう西方を守護しているデジモンのユニオンテイマーなんだ」
「俺は瑞樹孝治。スーツェーモンのユニオンテイマーだ」
「スーツェーモンか…結構性格厳しいって聞いたけど、どうなの?」
「俺は別にそこまでじゃないと思うが?」
「君がスーツェーモンと性格が似てるからかい?」
「どうだろうか…」
「ま、僕たちは旅を楽しんで、この世界の知識を得て、クエストが来たらすぐに行けるようにしてるだけなんだ。別にキングテイマーなんてどうだっていい」
孝治は雰囲気からして思ったが、吐く台詞も他の者とは全く違うと思った。
「今まで出会ってきた奴とは…違うな」
「え?」
「今まで出会ってきた奴は皆キングテイマーになろうと必死で頑張っていた。必死になりすぎて消えた奴もいた。けど、御前はのんびりとしていればそれだけでいいと言った。雰囲気も他の奴とは違ってた…」
「僕も、君ほどクールな人はあったこと無いよ」
歩は笑いながら孝治に言った。
「そんなにクールな理由は何かあるんだろう?」
「特に無いが…?」
「そう…さっき僕や子どもたちが楽しそうにしているとき、君は何かを思い出して、表情が引きつった。何か過去に辛いことがあったんじゃないのかい?」
「クッ!!」
「ま、そんなことはどうだっていいけど。…僕は君の実力が見てみたい」
「ッ!?」
孝治は驚いた。
競い合いを好まず、のんびりとしていることだけを好む者からそんな言葉が出ることに…。
「安心して、今じゃないから。30分後にこのエリアの崖で待ってるよ」
歩はその一言だけ言って、その場を去った。
「どうするんだ?孝治…」
「…とにかく、スーツェーモンに報告しに行こう。クエストが終わったことを…」
孝治はポータルへ急いだ。

そして、スーツェーモンに報告し終わると、すぐにテイマーホームへと帰った。
グリムモンはいつもとは違う孝治を心配していた。
「…本当は戦いたくないんだろ?あの歩って奴と…」
「………」
孝治は黙っている。
黙ってD-サポートを弄っている。

30分後…。
歩とピッコロモンは待っていた。
「ぴ~!!」
「え?遅いって?いや、彼等は絶対に来るさ」
そして、孝治とグリムモンが到着した。
「ほらね?」
「歩!御託なしで来い!」
「分かってるよ…。こちらから先制を取らせてもらう『プログラム発動!―サウザウンドスピア!』」
ピッコロモンが空に槍を投げた。
すると、それが無数になって振ってきた。
『プログラム発動!―レザーウィング!』
グリムモンは翼を羽ばたいて、黒い嵐を呼び起こした。
「クッ!ピッコロモン!」
ピッコロモンはしっかりと歩にしがみついた。
無数の槍は黒い嵐により吹き飛ばされた。
「なるほど…やるね…『プログラム発動!―グランドスピア!』」
ピッコロモンが地面に槍を突き刺すと、今度は岩の飛礫が無数に飛んできた。
「クッ!」
「孝治!この程度の攻撃ならプログラムを発動させるまでも無い!『コールヤンマ!!』」
グリムモンが電撃を放った。
その電撃は一番手前の飛礫に直撃し、他の飛礫と連鎖して砕けた。
更に電撃はピッコロモンと歩に迫ってきた。
『ビットボム!!』
ピッコロモンは爆弾を飛ばして、コールヤンマを消した。
しかし、孝治とグリムモンの姿が無い。
「何!?」
「ウォォオオオオオオ!!」
孝治が後ろから現れたのだ。
「いつの間に…!?ピッコロモン!こっちだ!」
「ぴ~!!」
ピッコロモンは空かさず歩に飛びついた。
「そこだぁ!!『プログラム発動!―鬼人拳!』」
『覇王拳!!』
グリムモンの右手から覇王拳が放たれた。
『プログラム発動!―サウザンドスピア!』
歩はギリギリでプログラムを発動させた。
しかし…。
「グアァッ!!」
歩はその後すぐにピッコロモンを抱えて庇ったため、覇王拳は歩に直撃した。
「何!?」
そして、天から降り注ぐ槍も孝治の体を掠った。
「ウアァァァァァッ!!」
「孝治!!」
お互いに素早く距離をとった。
「ハァ…ハァ…ピッコロモン…あの技を使おう…これで全てを終わらす」
「ピ~!!」
ピッコロモンも覚悟を決めて彼等の方を向いた。
「孝治…奴等…なんか大技使ってきそうな雰囲気だぞ。どうする?」
「一つだけ…対抗手段がある」
「何!?」
そして、孝治とグリムモンも覚悟を決めた。
「行くよピッコロモン!『プログラム発動!―スターライトエクスプロージョン!』」
『ピクトトリック!!』
ピッコロモンは槍を振り回して、星を何個も出現させた。
ピッコロモンが槍を止めると、星がその一点に集中して集合した。
そして、巨大な星が現れた。
「こ、孝治!!どうするんだ!?」
「分かってる!『プログラム発動!―ギガンティックドリル!』」
巨大なドリルがグリムモンの両手から出現した。
「ピ~!!」
ピッコロモンは槍から巨大な星を放った。
そして、二つの技がぶつかった。
「ウォォオオオオオオオオオオ!!」
「ピィィイイイイイイイイイィィィィ!!!」
そして、二つの攻撃は凄い爆発を起こして消えた。

そして、暫くの間、沈黙が続いた。
「孝治君!君の実力、分かったよ…」
「俺も、御前の力を理解した。ここまでやられたのは始めてた」
「フフフ…ハハハハハハハ!」
「…フフ…」
孝治も笑みをこぼした。
グリムモンは孝治の本当の笑顔を見たのでびっくりした。

暫く、彼等は自分の今までのことを語り合った。
そして、もうそんな時間もすぐに過ぎてしまった。
「もうこんな時間か…。行かなきゃ」
「そうか…」
孝治は歩のアドレスを貰った。
そうして、孝治と歩は別れた。