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「爺さん・・・!」
「すまない・・・。オウルドラモン・・・・・・わしの不注意で・・・」
「いや、俺の不注意だ・・・!」
オウルドラモンはもう一度ゲンナイの方に向き直る。
彼の瞳には何が映ったのだろうか・・・?
今の彼の目は、苦しさの目だ。そして悔しさの目だ。
その瞳には光と闇の球体が映っている・・・。
その中にゲンナイが閉じこめられていた。
「デッド・オア・アライブか・・・!」
ルーチェモンは顔を上げた。
「ご名答、です。」

 第三十四話 感謝の言葉は

ルーチェモンが笑みを浮かべる。
「ではこうしましょうか。選択肢は2つです。
 一つは、お爺さんを殺し、あなたは私を殺す。私も体力が残っていませんからね・・・。
 もう一つは、あなたを殺す代わりにお爺さんを助けましょう・・・。」
ルーチェモンはフフフと声をあげてせせ笑う。
「悪くないでしょう・・・?お爺さんを助けたければあなたが代わりに死ねば(デリートされれば)良いんですよ。」
オウルドラモンは舌打ちをしながらゲンナイとルーチェモンを交互に見る。
オウルドラモンは自分の額から冷や汗が頬をつたり、地面に落ちるのを感じた。
「爺さん・・・。」
オウルドラモンは爺さんをチラッとみた・・・。
そして・・・
「今まで世話になったな。爺さんが“俺たち”のパートナーで良かったぜ。」
そして照れくさそうに一言。
「あんがとな。」

こんな事、初めて言ったぜ・・・。
長い間ずっと一緒にいたのになぁ。
あ・・・あれ・・・・・・

オウルドラモンの目尻から、一直線に涙が走っていた。

おかしいな・・・
俺、なんで泣いてんだろ。
かっこ悪ぃな、畜生。
恥ずかしいじゃねぇか・・・。
んんぐぅ・・・・・・
畜生・・・畜生・・・・・・!
涙が止まってくれねぇ!!

そんなオウルドラモンの頭を長い年月の思い出が横切る。

「ねえ爺ちゃん! 俺の獲物みてよ!シェンロンモンよりでけぇぞ!」
そしてシェンロンモンがふくれっ面になり、
「何言ってるんだよぉ!僕のほうが大きいに決まってんだろ!」
じりじりとにらみ合う2匹。
「「ねぇ爺ちゃん!」」
「うるさいのぉ・・・どっちのもチビじゃ!」
そう言い、ゲンナイは自分の獲物を2匹の前に投げる。
「「デカッ・・・!」」

そしてまたある日・・・

「ハクリュウモン、僕さぁテイルモンをお嫁さんにするって決めたんだ♪」
「ブァーカ。“嫁”っちゅーのは人間が持つモンだろ?それにテイルモンと結婚して嫁にすんのはこの俺だ。」
「なんだよ、人間が持つモンじゃないの?!ずるいぞ、テイルモンは僕のモンだぁぁあ!」
「んだとコラァ!」
ガサガサ・・・
そこにテイルモンが草陰から表れる。
「「あ!テイルモン!!」」
ガサガサ・・・
さらにゲンナイが表れる。
「次はどこいきましょうか、ゲンナイさん♪」
「そうじゃなぁ・・・」
「「マジかよ・・・」」

やっと分かった。
この涙、俺たちの“思い出”だったんだ。
だから止まらない。
だから沢山出ちまうんだな。
俺たちはいつも一緒だった。
離れたことなんて一度も無かったんだ。
だからこの涙は止まんない。
いや、止まっちゃいけないんだ!

「全く・・・」
ゲンナイが口をひらいた。
「これだから若造は困るんだ。なにが『あんがとな。』だ。俺たちは死ぬみたいな言い方しおって。
 格好付けはほどほどにせんかぃ、馬鹿共。」
それをゲンナイが言い終えた瞬間だった。
バシュッ
ズワッガアアアアアアアアアア!!!
「!!」
「ふふふ・・・時間切れです。」
オウルドラモンは言葉が出ない。

    デッド・オア・アライブの球体が破裂した。

俺が死ぬはずだった。
爺さんの「未来」を奪ってしまった。

    “俺が奪った”

「ぅうわあああああああああああぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!」
そんな中、ルーチェモンは瓦礫から腕を出し、耳をふさぐ。
「・・・うるさいですよ、静かにしてください・・・。」
オウルドラモンは膝をガクンと落とし、地面についた。
「・・・・・・俺が・・・俺がやったんだ・・・俺が・・・・・・!!」
ルーチェモンはフゥッとため息をつく。
「あなた、目はついてますか?せっかく天から授かったのですから、もったいぶらずに使わないともったいないですよ?」

「そうじゃな、宝の持ち腐れだな。」

!!
この声
この感じ――――――

「爺さん?!」
球体が破裂した所に、ゲンナイが立っていた。
そして一回咳払い。
「まぁな。」
そしてオウルドラモンが混乱しないうちにルーチェモンが立ち上がり、言う。
「つまりですね、これはあなた達の“テスト”だったんですよ。選ばれし子どもの守護にふさわしいかどうかというものです。
 そのお爺さんは途中で気づいてしまったので、アイコンタクトで黙ってもらっていたのです。」
「お前たち、ルーチェモンの攻撃が一回一回途切れてていたのに気づかなかったのか?普通、あのようなスピードを持つなら、連続攻撃で攻めるはずじゃろう。」
オウルドラモンはバトルを思い返す。
「・・・・・・」
そしてなんだか急に顔が熱くなるのを感じた。
なんだか恥ずかしい。
自分たちだけ気づいていなかった。
それに普段言えない事まで言って、ゲンナイに涙まで見せてしまった。
「さすがの私も、伝説上のデジモンと戦うとは思いませんでしたよ。正直焦りました。・・・それに、私があんなに汚いバトルをするはずがないでしょう・・・ふふふ・・・。」
ルーチェモンはサァッと髪をかき上げる。
オウルドラモンはジョグレスを解除する。
「・・・あいつのまわりに薔薇が見えるのは俺だけかなぁ・・・」
「いや、僕も見えるよ。しかも妙にキラキラと・・・。」
そしてゲンナイが何か思い出したかのように、慌てて口を開いた。
「ルーチェモン、ベルフェモンはどうなったのじゃ?!」
「「!!」」
ルーチェモンのまわりには、相変わらず薔薇がきらめく。
「とっくに復活してますよ、半年ほど前に。
 さ、もう行きましょう。向こうでお嬢さんが待っているでしょう。お嬢さんにはリヴァイアモンから説明があるでしょうから・・・。」
「「あっそ」」
2匹はあきれている。
そんな2匹を見ながらゲンナイは、優しく微笑むだけだった。