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 The 33nd talk ~雲…~

『どうして…そんなに悲しい目を…?』
鳶色の揺れ動く目を見つめながら彼女は少年に問う…
『知らないほうが良いんだ…』
そう言って彼はゆっくりと目を閉じる…

~知らない事が有って…気付かないままの方が良いんだ…~

だが次の瞬間少年の右目は開きビルの闇間を睨み付けていた…彼女に悟られぬ様注意しながら…
しかし其処には何も居ない…いや…何も居なくなっていたが正しいだろうか?
そして少年は空を見続ける…何時自分が行くとも分からぬ空を…ずっと…

その頃…

彼の睨みつけた場所から少し離れた場所で一人の人型デジモンが笑っていた…
十二枚の羽…その羽はクリスタルのように透明で何かに染まる事も…染められる事も無い様に思える…
そして彼は口を開く…
『クックック…流石は【カミサマ】と言った所か…』
穏やかな声…しかし何処か冷たさと憎しみが入り混じったその声が聞こえぬ様…独り言を彼は続ける…
『転移の歪みだけで…なぁ…?【偽りの体】じゃなきゃ…同種に成れたのに…なぁ…?』
彼は其処に居ない何者かに問い掛ける…いや…実際は闇夜の暗がりに隠れていただけで…
『それもまた彼が望んだ道です…否定は出来ませんよ…』

~月夜の明かりがゆっくりと彼女の姿を照らし出す…~

其処に居たのは八枚翼の美しい女性で有った…そして彼女は口を開く…
『ですが…彼には居るべき場所に戻って頂かなくては成りません…』
冷徹な彼女の赤い目が怪しく光る…そして左手の不気味な刺青の様な物が呼応するかの様に光を放つ…
『んじゃ…下準備をしますか…【カミサマ】にはそれ相応の場所に居て貰わなくては…なぁ…?』
彼の言葉に一度首を頷かせた後彼女達は消えて行った…暗く…先の見えない闇夜の中に…

『こーひぃー如何ですかぁ?』
バルコニーで話す僕達の下にルナモンは入れたてのコーヒーを持ってくる
『ありがとう』
そう言って僕は彼女からコーヒーを一つ頂く…
『そうね…私も頂こうかしら…』
そう言って彼女からコーヒーを取りゆっくりとカップに口を付ける…
僅かな沈黙の後、僕はゆっくりと口を開く…
『どうして闘いを望むのだろうね…皆…』
呆れた声…馬鹿にした声…その声はそのどちらにも取れ…また…それ以外にも取れた…
『私には…分からないですぅ…でも…』
彼女は少し躊躇った様に成ったがその言葉を続ける…

~でも…私には皆一緒に生きたいけど…生きれなくて彷徨っているだけに見えるんですぅ…~

言うのが怖かった…言ってしまえば楽に成るのだが何を言われるか分からない不安…呆れ声…怒鳴り声…
何が私を襲うのか分からない…そんな恐怖から言う事の出来なかった言葉…
けど彼は私の想像とは違って・・・

~そうだよね…皆…本当は一緒に暮らしたいんだよね…?~

優しい声だった…作り物の声等では無い心からの声と言う奴なのであろう…
しかしそれは彼女にとって唯一の救いで有り…そして初めて自分の事が分かって貰えた気がした瞬間であった…
白い子猫はゆっくりと口を開く…
『私達は…敵同士…でも…同じ思いを持っている…』
彼女がそれに続いて言葉を言う…
『そして…私達は…偶然か…必然か…この場で出会ってしまいました…』
そして僕がゆっくりと口を開く…
『それでも…私達は出会えて良かった…分からないで闘う事ほど悲しき事は有りませんから…』
月光が雲の隙間に見え隠れするその一時を彼らは忘れない…

~某世界…某時刻…荒野の中…~

黄色いトカゲの姿をした生き物が居る…そして目の前の青年に声を掛ける
『アニキィ~…俺…もう待ちくたびれちゃったよ~』
赤髪の青年は荷物を纏めていた…そしてその横には小さな写真が置かれている…
家族写真…のようだ…しかし幼い頃に取られた写真の様でこの青年はまだ少年の姿をしている…
『わりぃなアグモン、もう直ぐ終わるから!』
そう言って残りの荷物を無理矢理?巨大なリュックサックの中に押し込む
だが彼の心は此処にあらずといった状況であった
『(父さん…あの時なんであんな目をしたんだろう…)』
俺がこの世界に来る時…父さんの目…嬉しそうで…寂しそうで…そんな目の中に…何処か…悔しそうな目をしていた…
『それじゃぁ…その真意を見極めて見ますか?』
不意を付くような何者かの声…その声に返答をするまもなく俺達は…深い闇の中へと落ちていった…