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 The 34nd talk ~蜥蜴と…子猫~

まだ月光が空を駆ける中…その物体は暗がりの町を駆け回っていた…
【スパッ!!】彼の持つ鋭い爪は、走っている途中に一瞬触れた草木をも切り裂いているほ程鋭く…
【ヒュッ!!】彼の鍛え上げられた体は、ほぼ無音の状態で…且つ俊足に行動を成し遂げて行く…
『・・・』
目の前の物言う肉片にその爪を振るう…
【ドサ・・・】そして痛みを感じる事無くその者は倒れ込む…しかし絶命させた訳ではない…
『・・・!べビィ…』
彼の目の中…暗がりに僅かに映るその者に対し彼は火炎弾を放つ為、充填を開始する…だが…
『ッ…!?』
彼は必死に成りながら顔を逸らす!!そして確かに敵の爪が頬を掠めた事を確認する
そして距離を取る…
『…フレイム!!』
そう言って彼は火炎弾をその化物に放つ…だが…
【バサ!!】何かの羽ばたきだろうか?それとも敵御自慢の爪を振るったのだろうか?
雲に月が隠れなければ彼でも確認出来たのだろう…しかしそんな事を考えている暇は彼には残されていなかった
『くうぅ…』
差が有るのだ…その鋭利な刃が振り翳される高さからして彼と同じ位の身長なのだろう…しかし…
【ザッ!!】彼が一歩下がるのなら敵はその間に2歩進む様…妙な感覚に彼は襲われていた
そしてジワリ…ジワリと毒が流し込まれるかの様に彼は追い詰められて行く…
それは彼自身が分かっている事であった…故に彼は時を待っていた…

~そしてその時はゆっくりと近づいてくる…~

一歩…又一歩と後ろに押し出されて行く…そして壁際にまで押し込まれる…
微かに見える敵の頬に勝算の笑みが浮かんだその瞬間…それを彼はずっと待ち望んでいた…
そして口の中でゆっくりと溜め込み…高温の業火と化すまでの充填には十分すぎる時間であった…
『べビィ…バーナー!!』
焼き払う…まさにこの事なのだろう…油断…戸惑い…これらの要素は結果的に一つの答えを導き出す…

~逃げ切ろうと焦り…ワンパターンの行動をする…~

予測通りであった…後ろに飛びながら空中で姿勢を保とうとする…
高度では有る物の基本的な対応であると同時に答えが簡単すぎる…
そして悪魔はニタリと嫌味な笑みを浮かべる…次の瞬間…悪魔は口から炎を吐き出すのを止め…そして…

~残酷な程に美しい…その爪を敵に振り翳す…~

彼は内心で【勝った】と思った…しかしそれが命取りと成った…
何が起こったとも分からぬ一瞬の出来事…分かるのは肩に奔る激痛とデータの消え行く死の訪れる感覚だけであった…
そして彼は落下して行く…冷たい作られた石の地面に…土の温もりなき大地に…

『・・・(何処だろう…此処は…何も分からない…でも…とても暖かい…)』
目を瞑っている彼は子どもの様な顔で彼女に抱かれていた…
『こんなに可愛らしい表情なのに…ね…』
彼女の顔が少し曇る…
『私達が居るせいなのかな…やっぱり…私達の存在に触発されてこんな事をするのかな…?』
そう言うと彼の体を抱きしめる…そして呟く…【ごめんね…】と何度も…何度も…
『…ん………だ…れ…?』
何度も繰り返される言葉に漸く彼は目を覚ます…しかしその声は涙で濡れた彼女には届かない…
そして彼は彼女を優しく受け止め…
『ごめんね…泣かせてしまって…』
そう言って優しく抱きしめる…そして彼女の涙をやさしく拭き取る…
『ごめんね…僕の為に泣かせてしまって…そして…ありがとう…僕の為に泣いてくれて…そして…僕を優しく抱いてくれて』

そんな彼らを見る者は居ない…ちっぽけな彼らの存在を見つめる者もこの世には居ない…
それでも…星達と月の明るい眼差しだけは彼らを見つめていた…もしかしたら知っていたのかも知れない…
彼らが出会い…心を触れたこの一瞬は…二度と訪れる事が無く…悲しき運命の輪が回り始めている事を…

~宿命や運命と言う物が有るならばそれは残酷だ…彼らから掛け替えの無い物を…これから奪うのだから