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 The 27nd talk ~十月~ 【コツン…コツン…!】コンクリート作りの道路を僕は歩いていた… 【コツン…コツン…!】僕と向かい合うかの様に…反対側の道路から二つの足音が聞こえてくる… そして足音を響かせる者達が一つの箇所で向かい合う… 『おはようございます…!鈴.レナモン.美保御姉様!』 そう言って僕は一礼する。自らの心の内が表に出ない様に…うまく隠しながら… 『おはよう、銀狼殿.ブイモン!』 まず最初に返事を返してきてくれたのはレナモンだった 『おはよう、銀狼、昨日は良く眠れた?』 『えぇ…それなりには…』 その次に美保御姉様が返事をしてくれる 『あっ…あの…おはようございます…銀狼…君…』 年と言う要らぬ上下関係からなのか?無理矢理に近い感じで君付けをする鈴がそこに居た 『呼び捨てで構いませんよ…?』 『でっ…でも…先輩を呼び捨てにするのは…』 やはり抵抗が有るらしい…その気遣いは無用だと…僕を傷つけるだけだと知らずに… 『じゃぁ…君の呼びたい呼び方で良いよ…!でも先輩とか後輩とか…そう言う関係は無しね!』 そう言った後僕は右手で握り締めていたバックを左手に持ち代える。 『主…ちょっと良いか…?』 ブイモンが僕の方を真剣な目で見て来る…そう…この二つの行動は一つの合図のような物なのだ ~敵が出てきた時は…そっとバックを左手に持つ事にするよ…~ それは利き手を何時でも使える様にする…つまり敵が居る事を示す… そしてブイモンがその合図を元に敵に剣を振るう許可を問う…それが彼の目… 『用を思い出したんでしょ…?なら早く行きなさいな…!』 『すまない…!』 そう言って僕は笑顔で送り…彼は走って何処かへ行く… 『用って一体何なのかしらね…?』 美保御姉様がそっと僕に問う 『彼は何時もお忙しい方ですから…大丈夫ですよ…きっと…』 『えっ…?』 僕の何気無い一言に鈴は敏感に反応する…恐らく…彼女が一番最初に察してくれたのだろう… 先程から僕に憎しみの眼を向け続ける…小さく…そしてとても大きな命が居る事を… 『さて…早く行きませんと…!』 そう言って学校の方を見る…今頃起こってしまっている悲しき事から目を逸らすかの様に… 『銀狼殿…この感覚は…!』 『レナモン…大丈夫ですよ…きっと…』 レナモンが言おうとした事を言う前に言葉を発し…僕は長い長い道程を歩いて行った… 季節は10月…落ちてくる葉が、とても輝く時期…そして一つの命が散っていた……… 学校に着いて見ると…あの日の惨劇を表す者は何も目に映っていなかった… トラックがぶつかった校門はしっかりと修理され…辺りに流れた血は消え去り… 全ては何事も無かったかの様に…無かったかの様に… 【バン!!】打ち込まれる弾丸………何故あの時気付けなかったのだろう… 【キイィィィ…!!】全てを消し去るタイヤの音………もし…逸早く気が付いていれば… 【姉さん…姉さん!!】そして冷たいあの感覚…そう…あの日の僕が…その場でずっと嘆いている気がした… そして… 【あんたが助けなかったからあぁぁ!!】 ・・・胸がとても痛くなった・・・ 泣きたい…たとえ正しき形では無くとも生きている姉を…一度死なせた罪悪感が込上げて来る… あの時から…僕は僕であって僕で無いのかも知れない…今の僕は消して生長しているとは言えなかった… 自らの罪から目を逸らして…唯…恐れて…自らを…無理に変えて… 『銀狼…君…?』 そう言って鈴がそっと肩を叩いてくれる…ふっと…体が軽くなった気がした… 『…ぁ…ちょっとぼうっとして…た…』 『気分が悪いなら…保健室に行かなきゃ駄目よ?…傷は癒えないのだから…』 そう言って美保御姉様は僕の目を見る… 『大…丈夫…!そんなのじゃないですから…!』 そう言って僕は元気に振舞ってみせる…それが唯の空元気だと言う事は自分でも分っていた それでも…僕は笑顔を振り撒く…他者が悲しむ姿は見たくないから… 『そぅ…?でも…気分が悪くなったら早く保健室に行きなさいな…!』 そう言って美保御姉様は校舎の中へ入っていく…気持ちが楽に成ったのかどうか…? 正直今の僕には分からなかった…でも… 『朝日が眩しいな…』 全てを明るく照らす太陽の光がとても眩しく…悲しみすら消し去ってくれている気がした… 『教室に行こう…か…!』 『うん!』 僕の言葉に対し…優しく…何処か守ってくれている様に…彼女はそう答えた… そしてお互いのクラスへ歩んで行く… それは二度と同じ道を歩む事が無い事を…そっと示すかの様なゆっくりとした歩みだった… 【あんたが助けなかったからあぁぁ!!】 その一言が脳裏でずっと響き続ける事を…誰にも悟られぬ表情で…ゆっくりと…

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