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デジモンマスター第三十八話」(2007/08/09 (木) 08:46:56) の最新版変更点

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「・・・彼奴は今どこにいるんだ?」 「「・・・・・・」」 「?」 暗くなった2人の空気にベルゼブモンはついて行けない。 「・・・スカイマウンテンにいるよ・・・。」 神楽が言った。 「そうか。あそこは景色が・・・」 「死んだんだよ!!!」 ギアモンはベルゼブモンの言葉を遮り叫んだ。 「お前も戦った仲だから言っておく・・・!鏡花は死んだんだよ、この俺の手の中で!!」 そう言い、ギアモンはがむしゃらに駆けだした。 「ギアモン!」  第三十八話 静かな夜 クソォ・・・・・・ クソォ・・・! 鏡花が死んだのだって、俺の無力のせいだ! 俺が・・・俺が・・・ 「私・・・・・・ギアモン・・・の・・・・・・役に・・・たてたよ・・・・・・ね・・・・・・?」 こんな時に鏡花の言葉が・・・ 馬鹿言うなよ、役に立つも何も、お前は俺のパートナーだったじゃないか・・・! 鏡花を必要としていたのは俺だ・・・全部俺なんだ・・・ 「・・・・・・ギア・・・モン・・・・・・、後は・・・頼んだよ・・・・・!」 そして、鏡花はゆっくりと目を閉じていった。 あの時の状況が目に浮かぶ。 俺は固く拳を握り、ひたすら足を前へ前へと進ませた。 俺には何が出来るんだろう・・・ 俺こそ、鏡花の役に立てたのか今でも不安だ。 「後は・・・頼んだよ・・・・・!」 頼んだよって・・・・・・・・・ 俺は何もしていない。 鏡花との約束を果たせていない。 あれから後の事は全て任せられたんだ。 しかし俺に何が出来るんだ・・・?! ドンっ! 「あでッ?!」 俺は何かにぶつかった。 頭をさすりながら上を見る。 「ふぅ・・・」 翼がいた。 翼はそのまま俺の頭をなで回す。 「やっぱりね」 ・・・?? 俺は翼の言っている事がよく分からない。 タマモンが翼のポケットからひょこっと顔を出し、俺をジッと見つめる。 「・・・?」 すると翼は俺の肩を掴み、無理矢理回れ右をさせる。 そして背中をポンッと叩いた。 「な・・・なんだよ・・・」 「なんだよって・・・、みんなの所に戻るんだよ。」 翼はしゃがみ、俺と目線を合わせて言った。 「・・・・・・。」 そいや、なんで俺、走って来たんだっけ? ・・・・・・・・・・・・。 そうだ、鏡花の事を聞かれて、勝手に熱くなっちゃったんだった。 するとなんだか翼と目を合わせられなくなってきた。 そんな俺を見て、翼はフッと笑う。 「僕達ね、ギアモンを待ってたんだよ。」 続けてタマモンが言う。 「あの後3人だけ残ったでしょ?僕ら2人はわざとそうしたんだ。」 え・・・・・・? 何のためにわざわざそんなことを・・・ 「3人にお互いの事を知ってもらいたかったからね。」 「そこで、鏡花の話が出たときに、今みたいな事が起こるだろうと推測して、待ってたんだよ。」 俺のために・・・ そうか。 ちょっと自分勝手だったな、俺。 少し反省してから俺は、タマモンと翼に言う。 「ありがと」 それからスクッと立ち上がる。 翼も立った。 なんだかさっきより翼が低く感じる・・・ 気のせいだよな、きっと。 「ギアモン、帰って来ないな・・・・・・」 「ええ・・・」 「ってかさ、翼とタマモンもいないな。」 隆達も戻り、たき火を始めていた。 隆が帰ってくるついでにもう一つ丸太を見つけてきてくれたので、椅子を増やした。 ・・・・・・ しかし、会話がそれ以上弾まない。 というか、全体的に空気が重いのだ。 すると 「・・・お・・・おう、悪ぃ」 ギアモンが木の間から現れる。 右手を挙げ、作り笑いをしている。 神楽はそんなギアモンを見て 「バカッ!」 と叫んだ。 だがギアモンは、その「バカッ!」という言葉を聞いて、やたらと安心できた。 続いて翼とタマモンが現れる。 「ったく、どこ行ってたんだよ。夕食の準備出来てるぜ。」 隆が声をかける。 「ああ」 3人は席に着く。 気づけば空は赤くなり、一番星が一人で輝いていた。 そのせいか、たき火が前より赤く見える。 たき火の回りにはエアシグナルソードで磨いだ木に魚が刺され、焼かれていた。 そしてそのたき火の横に、腐った木が1本落ちているのは神楽しか知らなかった・・・。 魚は全部で9匹焼かれ、完全にたき火を覆い尽くす。 地面には大きな葉の上に、美香とアンナモンが集めた木の実がおいてあった。 クチャクチャクチャ・・・ ギアモンは、さっきの出来事を忘れたかのように食べ物を口に詰め込んでいく。・・・いや、ギアモン自体が忘れたかったのかもしれない。 その顔は無表情で、はっきり言うと、見ている方は怖い。 無造作に食べ物を口に詰め込み、頬はパンパンになった。 クチャクチャゴクッ、クチャクチャ・・・ 『・・・・・・・・・・・・』 「・・・ギアモン、もうちょっとゆくっり食べれば?」 神楽が声をかける。 「をぉ」 しかし、暴食は止まらない。 「完全にやけ食いだな」 隆が呟く。 「ほら、魚焼けたぞ。」 隆はたき火の回りの魚を一匹取り、ギアモンに渡してやった。 「わんわを(あんがと)」 ギアモンが魚を取る。 ゴックン ギアモンは口の中にあった食べ物を一気に飲み込む。 そして魚に取りかかった。 そんなギアモンに続いて、一同は魚を手に取り、食べ始めた。 「・・・あれ?」 アダーモンが何かに気づく。 「僕達人数分の魚取ってきたのに・・・」 隆も気づく。 「一本余ってる。」 ギアモンはそれを見て言う。 「隆とアダーモンは優しいなぁ。俺のためにわざわざ一本多く取ってきてくれるなんて・・・。感謝の雨あられだぜ!」 ギアモンは魚に手を伸ばす。 ペチッ 「こら!」 神楽が止める。 「あたっ!なんだよ、いいじゃんか!」 ぷりぷり怒るギアモンに神楽が言う。 「これってベルゼブモンのじゃないの?!」 「「ぁあそうだ!!」」 隆とアダーモンが声をそろえて言う。 「俺等ベルゼブモンのも釣ってきたんだ!」 ギアモンはすごすご退散する。 「チェッ!・・・てか、彼奴どこにいんだよ」 一同は辺りをぐるっと見渡す。 見えるのは真っ黒な木々と、夜空と、そこに散らばる星だけだ。 食べる前に寄りかかっていた木にもいない。 「じゃあ食って良いじゃん!いらないからいないんだろ?」 「・・・駄目でしょ。戻ってきたら・・・」 しかしたき火の回りに魚がない。 「ギアモ・・・」 「俺食って無いよ?」 確かに、ギアモンは串も持ってないし、口に入れた様子がない。 「そうやって罪をなすりつけるのは良くないと思うぜ?な、神楽?お前の足下に串が2本落ちてるンだけど・・・?どう思いますかね、この現状」 「え・・・?!」 神楽は慌てて下を見る。 すると驚いたことに串が2本散らばっていた。 「なんで?!」 「なんでって神楽が食ったんだろ?全くさぁ、困るよね。自分が食ったのに俺に罪をなすりつけるんだぜ?」 そこに美香が言う。 「もしかして・・・もうベルゼブモンが食べたか・・・?」 『?!』 「可能性は・・・無いとは言えないけど・・・いつの間に?」 隆の疑問。 「でもベルゼブモンなら・・・」 この答えを知るものはギアモンだけだった。 そんな口論をしている中、少し離れた木の上にいたベルゼブモンは呟いた。 「今度は己かよ・・・」 そして眠りについた。 「あ~・・・食った食った。」 ギアモンは地面に横になった。 「そろそろ寝るか?」 「僕もう寝る~」 アダーモンはゴロンと転がる。しかし次の瞬間、もう夢の中だった。 こうして静かな夜は過ぎようとした―――。 が・・・ 「(ん・・・畜生、眠れねぇ・・・)」 ギアモンだけはまぶたが下りていなかった。 恐らく明日への興奮のせいだろう。 なんと言ったって、明日はドルモンと決着をつけに行くのだ。 「くそ・・・・・・」 ギアモンは悪態つき、寝返りをうつ。 空気はひんやり冷たく、音一つしていない。 それがギアモンには妙に思えて仕方がなかった。  これから訪れる“運命”を知らずに――――――

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