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夜明け・ガリ卓
夜明けはきの卓
夜明け飛鳥卓/神楽坂学園卓
夜明け2014卓/学園卓Mk-2
夜明けぼっち卓/妖怪通り卓
夜明け梅酒卓/新世界卓
黄昏の門
学園卓V3
夜明け2015卓/十四夜会卓
夜明け2015卓/学園戦争卓
夜明け2016卓/悪徳の街
夜明け2016卓/水の都
夜明け2016卓/空島
夜明け2017卓/学園都市
夜明け2017卓/魔境都市
夜明け2018卓/悪徳の街2 色彩戦線
夜明け2018卓/常夏島
夜明け2019卓/大魔城学園
夜明け2019卓/戦国劇場卓
夜明け2019-2020卓/次元旅団
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+ | データ |
アイテムデータ
├消費アイテム ├道具・乗り物 └装備品 ├通常武器 ├通常防具 ├マジックアイテム:片手剣 ├マジックアイテム:両手剣 ├マジックアイテム:槍 ├マジックアイテム:斧 ├マジックアイテム:短剣 ├マジックアイテム:弓 ├マジックアイテム:盾 ├マジックアイテム:鎧・服 ├マジックアイテム:装身具 ├マジックアイテム:特殊・砲 └マジックアイテム:銃と魔弾 |
+ | 活動記録 |
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+ | カルテ |
共犯者。エキノコックスに注意。
偏食の傾向あり。希望の中毒には気をつけろよ。
ただの常識知らず。
要注意。九城出身者。肝臓の検査が必要。考えが読めない。これだから探偵ってやつは。
零落神。栄養不足の可能性あり。国生みは私のいないとこでならやってくれていいぞ。
苦労人。サービスしておいた。
警戒。ああいう目は見たことがある。
暁月市出身者。過去の思い出にすがりついても何も変わらねえんだよ。
バカなガキ。人を見る目は養ったほうがいいぞ。
青いガキ。早死にしないうちに帰るんだな。
死神、安楽死が得意、悪魔使い。役満だ。
詳細不明。注意。
無知。暴力に訴えやすい。
英雄志望。素質はある。
元男性。死亡する度に何かを奪われていく。
大食い。健康体。
最大警戒。ランデル勤務。可能な限り近づくな。警戒はされていない様子。この調子を継続する。
警戒。ランデル勤務。猫。アイスを食う時はゆっくりとだ。
要注意。傭兵気質。警戒されているようだ。薬学の知識あり。
狐っぽい。エキノコックスに注意。
冷静。使える人物になりえる。
少年に見えるが老成している。本質はどんなものやら。
警戒中。飄々として見えるが実際は異なる。
……よく、分からない。建築系の魔法なのか?
常識人。いい目を持っている。独自の交友を持つ。
警戒。殺人鬼。患者。
不明。妙な違和感がある。
無頼。太刀筋は見事。
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+ | あの日 |
「あの日」は美しい月の夜だった。その横顔を朱に染めることに罪悪感を覚えるほどの。
異端審問組織"オルレアンの火刑台"の一員、ロッソ・シャルトルージュは本日の目的である、教会を思わせる建造物の前で深いため息をつこうとして、慌てて口を閉じた。 そのような府抜けた姿、あのおっかない上司であるセレスに見つかりでもしたら大事だ。周囲に自分以外の人間の姿はないが、気を付けるに越したことはない。 「怒らなければ美人なんだがね……」 ぼやきながら、任務について頭の中で確認を行う。今日の任務は悪魔崇拝の教団の殲滅。いつも通りに処理し、いつも通りに帰って、いつも通りに質素な食事、風呂を済ませて本を読んで就寝する。それだけだ。 そのために、彼は十字架を模した歪な形の銃を構え、ヘッドセットのスイッチを定刻通りに入れた。 「時間だ。アンデレ1はポイントCへAhead。アンデレ2はその場で待機」 「jud.」 凛と張り詰めた声が耳元に響き渡る。予定通りの伝達と応答。指示されたとおりに進撃し、指示されたとおりに古めかしい扉を開ける。 教会裏手の……悪魔教団の拠点を教会と認めたくはないが、裏手の扉を開いた先には一人の男性がいた。 「だ、誰だおま――」 「悪いね」 男性が声を上げる前に、慣れた手つきで首筋にナイフを突き刺す。男の口から風切り音のような声が漏れて、一呼吸後に鮮血が噴き出す。男は何が起こったのかを把握することもできずに一瞬で絶命した。 対魔法使い戦で気を付けることは、相手に状況を把握する時間を与えないことだ。魔法使い、特に上位の相手はいかなる状況に対しても必ず対応してくる。だが、対応できるがゆえに、完璧な対応を行おうとして思考の隙が生まれる。彼ら悪魔・魔法使い専門の異端審問官にとってみれば十分すぎるほどの隙だ。彼らは、人がいれば誰であろうと殺す訓練しか受けていないのだから。
異端審問組織"オルレアンの火刑台"。
大聖堂直下の暗部組織であり、公に知るものこそいないが存在だけはまことしやかにささやかれている。 その任務はただ一つ。魔法、悪魔に関するものを全て殺しつくすこと。 それは目撃者とて例外はなく、彼らの処理した事件が伝わるのは、失敗したときだけだ。 その組織の一員たるロッソは、人を一人殺した後だというのに表情一つ変えることなく交戦を報告して周囲を確認する。 件の悪魔教団の人数は14人。たった殺害したのが仲間だとするならば、残り13人。 もっとも、彼らにとって数は意味を成さない。何故ならば、彼らの殺害対象は「この場にいる自分たち以外の全員」なのだから。 周囲に見えるのは釜土に大鍋、包丁など。水場もあり、どうやら厨房のようだ。 悪魔的儀式に使えるようなものも見えるが、いかに悪魔崇拝教団といえど、外部からドア一枚隔てた場所で儀式を行うことはないだろう。ならばやはり厨房か。 視界内のクリアを確認し、彼は二つある扉の片方を選択し、先へと進む。施錠されていたが、たやすく解除する。 経験上、厨房の付近には悪魔儀式場が多い。「生贄」をより楽に保存でき、「解体」も容易だからだ。先に儀式場を潰すために、彼は教会の中央へと向かうルートは選択せずに端を回るような扉を選択した。 ビンゴ。正直言うと当たってほしくなかった。地下へ続く階段だ。鍵がかかっていたことからも分かっていたが、どうやら儀式場か生贄の保管所が近いらしい。血と鉄、そしてカビの混ざり合った嫌な臭いが深淵を思わせるような深い階段の底から湧き上がってくる。 慎重に階段を下りる。一歩降りるごとにひんやりとした空気が体を冷やす。 「頼むから何も出ないでくれよ……」 先ほど一人の人間を躊躇無く殺した人間と同一人物とは思えない、情けない声を出しながらゆっくりと降りる。狭い階段では前後からの奇襲に気を付けなければならない。同時に襲い掛かられでもしたら最悪だ。慎重に慎重を期すぐらいでちょうどいい。 結果だけ言うのならば警戒は杞憂に終わった。彼は拍子抜けするほどにあっさりと最下層にたどり着き、周囲に敵影が存在しないことを確認した。 そう、敵影は。 「……敵であったほうが、助かったんだけどね」 呟きながら覗きこむのは鉄格子の奥。地下は鉄格子がいくつも並ぶ空間になっており、どう見ても地下牢だった。床にこびり付いた黒色の染みの意味は、考えないほうがいいだろう。 その牢屋の一つの中にいたのは、一人の全裸の少女。年のころは12,3歳といったところだろうか。 頬はやせこけており、元は美しかったであろう黒髪も、脂が浮いてギトギトになっていた。 落ち窪んだ赤い瞳は、ロッソのことすらも視界に入らないというように虚空を見つめている。 そして何よりも目を引くのは、病的なまでに白い肌を持つ背に浮かんだ、火傷の跡。 「生贄の刻印、か」 生贄の刻印。それは、悪魔使いが用いる禁術の一つ。魔法に適性がある子供に刻み込むことで、悪魔との親和性を高める忌むべき魔術。刻み込まれた対象は通常1か月も持たずに発狂して死亡するが、彼女の状態を考えると幸いにも……幸いといっていいのかは分からないが、親和性は高かったらしい。 「…………」 ロッソは、支給品の銃に魔弾を込める。魔弾の名は"獄炎弾アイム"。26の軍団を率いる公爵、アイムの力を封じた魔弾であり、その殺傷力は彼の持つ魔弾の中で最も高い。 せめて、苦しまずに――。神の信徒である前に背教者であるロッソが彼女のために祈れることは、それだけだった。 "オルレアンの火刑台"の掟に例外はない。出会ったものは、一人残らず殺す。悪魔の生贄として連れてこられた一般人であろうと彼らが躊躇うことはない。それも刻印持ちとなれば猶更だ。いずれ、大きな悪魔召喚の触媒にされるか分かったものではない。 だが、引き金に指をかけようとしたところで、狭い地下牢にか細い声が響く。 「……あ」 少女の目に、光が差したように見えた。幻影だ。そう割り切って、ロッソは引き金を引こうとする。しかし、背教者として鍛えた聴力は、続く少女のか細い声までも詳細に聞き取った。 「……帰り……たい」 あと数mm、指を動かせば弾丸は少女を焼き尽くすだろう。だが、引けない。ロッソの頬を汗が伝う。 "オルレアンの火刑台"の掟は絶対だ。背教者としての機密中の機密の力と情報を持つ彼らには命令違反も脱退も許されない。死ぬまで神のために尽くす。それが彼らの選んだ道だ。 罪なき子供を、殺害してでもその道を外れることは、できない。 「長い間、幽閉されていた。正気のはずがない」 「……生きたい」 独り言を。自分を納得させるための独り言のつもりだった。返答されるとは思ってはいない。 「僕は味方ではない。君に終わりを与えに来たものだ。神を信じているのならば、天国での幸福は約束されるだろう」 「死に、たくない」 何故、この少女はこのような状況で、生きる活路を見出しているのだろうか。ロッソには、理解ができなかった。 「どうして生きたいんだ?」 故に、ロッソは問いかけた。肉体も精神も完全に疲労しきっている少女に対して。当然、まともな答えなんて期待していない。どのみち、もう少女を殺すつもりだ。 しかし少女は、小さく蚊の鳴くような声であったが確かに答えた。 「まだ、死んで、ないから」 地下室に轟音が轟く。音は反響し、少女とロッソの鼓膜を揺らす。 ロッソの銃からは煙が立ち上がり、眼前の鉄格子を焼き尽くしている。 煌々とした火の明かりが、少女とロッソの姿を鮮明に照らし出した。 「ロッソ」 「ロッソ・シャルトルージュ。僕の名前だ。君の名前は?」 一言一言、区切るように少女に向かって告げる。屈み込み、少女の手を取って。 「……ヴァネッサ」 「そうか。いい名前だ」 いうが早いか、ロッソはヴァネッサの身体を自分の外套にくるんで肩に担ぐ。人の命とは思えないほどに軽い。 「ああ、セレスに怒られてしまうね。やれやれ、とんだ拾い物だ」 そして、一足飛びに階段に向かって駆け出す。ヘッドセットはその場に放り投げた。カツンといい音がして滑って行った。 「謝罪の言葉を考えておかねばならないか。もっとも、聞いてくれるかは疑問だが」 そう言って走る彼の顔には、闇の中だというのにくっきりとした微笑が浮かんでいた。 |
+ | ある日 |
「三食カップ麺はやめろって言ってるだろ!」
断崖絶壁に周囲を囲まれた丘の上の一軒家。そこに大声が轟いた。 「いや、聞いてくれヴァネッサ。最近のカップ麺は体にいいんだ。そういう研究結果が出ていてね」 「んなわけねーだろ! お行儀よく汁まで飲み干してよお! どんだけ塩分含まれてるのか知らねーのか! 今に高血圧で死ぬぞ!」 「全ての食べ物は神の恵みだ。残すなんてとんでもない」 「飲みたいだけだろ! 都合のいい時だけ神様出すんじゃねーよ!」 子供のように言い合っているのは、50は過ぎているであろう壮年の男性と高校生ほどの年齢の少女。少女の前には食べつくされたカップ麺の空き容器が積まれている。二人の様子を見守るように、石で出来た中型のマリア像は微笑んでいる。 少女は全身を隠すような長い袖のフード服に身を包んでおり、机を叩いて怒りながらもどこか楽しげにしている様子がうかがえる。 「だ! か! ら! 今日からカップ麺禁止な! 神に誓えー! 早く誓えー!」 「!? 待ってくれ、それじゃあ僕は明日から何を食べればいいんだ」 「……わ、私の手料理、とか?」 「主よ……」 「泣くほどか!? 泣くほど嫌なのか!?」 大げさに両手を組んで祈りを捧げる壮年の男性、ロッソ。二人の様子はどこにでもいるような親子にしか見えなかった。 「まあ、仕方がない。ヴァネッサの料理の才能が開花するか、僕の胃が敗北するかのどちらかに賭けるとしよう」 「よっしゃ! 言い方は気に入らねーけど神に誓えよ! 破ったら罰な!」 勝ち誇ったように笑顔で腕を組むヴァネッサ。未だ血色は悪いものの、年相応に成長した体はいまや美人といって差支えのないレベルに達していた。 「罰か。どんな罰かな?」 その言葉を待ってました、と言わんばかりにフフンと鼻を鳴らし、ヴァネッサは意気高く指をロッソへと突きつける。 「魔弾の使い方教え「駄目だ」 最後まで言い切る前に、ロッソの言葉が割り込む。 「何でだよ! 教えてくれたっていいじゃねーか!」 再び強くテーブルに両手のひらを叩きつけるヴァネッサ。テーブルが揺れ、花瓶が横倒しとなる。花が茎まで露出し、澄んだ水が流れ落ちる。 「駄目なものは駄目だ。この技術は、人を殺すためのものだ。絶対に教えられない」 ロッソは強い口調で言い切る。その迫力は、先ほどまでの情けない男性の姿とは違う。威圧感に、ヴァネッサは多少怯んだが、続けて言葉を紡ぐ。 「んだよケチ! 魔弾があれば、悪魔殺せるんだろ!」 「悪魔を殺せるなら、悪魔なんていなければ私は皆とあんな別れをせずに済んだんだ! そうすれば今頃は!」 色素の薄い肌に朱が混じる。明らかに激昂しているが、本人は気が付いていな。それに対してロッソは穏やかな様子で告げる。 「今頃、皆と共に暁月市の事故に巻き込まれて死んでいるだろうね」 ヴァネッサが固まる。赤い瞳に映るのは、言いようの無い憤怒。 構わずに、ロッソは続ける。 「いいかいヴァネッサ。僕は君を犯罪者にするために、ましてや死なせるために助けたんじゃない。君がそう求め訴えた。それに答えたんだ」 「目先の欲望にとらわれてはいけない。その先に待つのは、破滅だ。かつての僕がそうであり、今なお歩んでいるこの道が――」 「くそったらああああああああああ!」 花瓶が、カップ麺の容器が宙を舞う。ロッソをして、テーブルがひっくり返されたのだと気が付いたのは花瓶の水を頭から被ってからだった。 「んだよくそっくそっくそおおおおおおおお!!!」 叫びながら、服の中に手を突っ込んで取り出したのはメスや鉗子などの医療器具。本来はケガや病気の治療に使うそれらだが、乱雑に投げただけでもそれなりの殺傷能力は発揮される。ヴァネッサは遠慮なくそれを全力でロッソに投げつけた。 「ま、待ってくれ、危ないから」 それらを片手でいなすが、数が数であるのでヴァネッサに近づくことができない。 「死んでたって、いいんだよ! あそこに帰れないなら別に、生きてたってなあ!」 叫びながら、メスの一本を投擲する。それは弧を描いて天井にぶつかり、弾かれた勢いでもって軌跡をある方向へとむけた。 部屋の中に静かに陳列されているマリア像へと。 「あ……」 ヴァネッサがそれに気が付くが、既に手を離れたそれを同行することは彼女にはできない。 瞬間、疾風が走る。 ロッソが前傾姿勢をとり、コンマ1秒にも満たない時間でマリア像の前に移動する。そして、片腕をガードするように突き出して、メスを腕で食い止める。 メスは勢いよく刺さり、僅かに血が滲む。 ヴァネッサは、何も喋れないでいた。ロッソがマリア像を大切にしていたことは知っている。だけど、謝ることもできずに口を開いて閉じてを繰り返しているだけだった。 「死んでたっていい、か。その言葉は、聞きたくなかった」 ケガをしているのに、気にした様子一つ見せないロッソに腹が立ったのか。それとも売り言葉に買い言葉、未だ収まらぬ腹の虫を沈めたかったのかは分からない。普段の彼女であったのならば、ロッソ譲りの医療の知識をひけらかすために颯爽と包帯を取り出しただろう。 「ンだよ……そんなに神様が大事かよ」 言ってはいけない言葉だと分かっていても、彼女には止めることはできない。 「いいんだよ死んでたって! 私は、どうやら神様にも見放されてるみたいだしな!」 「くたばれクソジジイ!」 真っ赤になった顔で、瞳に感情を溜めながらヴァネッサは駆け出した。 追いつこうと思えば追いつけるだろうが、ロッソは後を追おうとしない。その事実が杭のようにヴァネッサの心に突き刺さりながら、彼女は自室の扉を開き、全力で閉めた。 扉が閉まる大きな音を聞きながら、ロッソはゆっくりと地面に腰を下ろす。 「やれやれ……年柄もなく興奮してしまったようだ」 興奮した様子など露ほども見せていなかったロッソだが、実際の心境は異なっていた。 彼もまた、ヴァネッサの発言に聞き逃せないところがあったのだ。 「……また、三食カップ麺生活かな?」 ヴァネッサが落ち着いたらまた話をしよう。そう考えながら、ロッソは部屋の片づけに取り掛かった。 |
+ | その日 |
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