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夜刀神参仕

夜刀神 参仕(やとがみ さんじ/Yatogami Sanji)

本名 天宮志郎(あまみや しろう/Amamiya Shirou)


年齢:24 学年/職業:警備員 性別:男 レベル:14
メイン:戦士 サブ:錬金術士 エクストラ:悪魔使い 追加サブ:異能者・学徒 上級:暗黒騎士 種族:人間
参戦回数:19回 アライメント:善 表の顔:警備員 身長:181 体重:76 PL名:みこみこ アイコンイメージ:大倶利伽羅(刀剣乱舞)


「俺の正義でお前を守れれば、俺はそれでいい」


「俺が誰かって?夜刀神参仕……正義の味方とでも思っておけよ」




+夜刀神の日記帳 <最後のページ>
※関連シーンNo.3 アトラ
※関連日記 008


俺は『正義の味方』を目指していた。
一度現実に絶望し闇に堕ちてからも、たくさんの仲間に支えられて
再び『正義の味方』の夢を掲げた。

そしてその夢は叶った。
実際この街で誰かの為になれたはずだ。
その為に俺はここまで体を鍛えてきた。
守りたいものを守りたくて──だが、
俺の正義は本当に守りたいものの為にはなれなかった。
特別な人の為にどれだけ必死になろうとも手が届かなかった。
何が本当に守りたいものなのか分からなくなった。

夢は、追いついた時点で夢じゃなくて現実となる……そうアトラも言っていた。
結局、俺の正義は我儘で、自分勝手で、エゴなんだろう。
『正義の味方』である限り『誰かの味方』にはなれない。





それでも、正義が我儘だろうと、自分勝手だろうと、
それできっとどこかで助かった人たちがいる。


アトラはそれを誇りなさいと言った。
アトラが認めるなら……俺も誇っていいのだな。

以前俺は、アトラにアリスを救った事を誇っていいんじゃないかと言った。
そしてアトラは「あなたが誇ってもいいと認めるなら、誇るわ」と返した。

そのアトラが言うんだから、俺も誇ろう。


俺は多くの人を救ったのだと。




ああ。
ようやく分かった。


俺が本当に守りたいものは……この想いなのだな……







【これまでとこれから】

夜刀神参仕(本名、天宮志郎)は
1990年*月、福岡県**市に生まれた。
夢見がちな幼馴染の影響から、そしてその幼馴染を守りたいという願いから『正義の味方』を目指した。
大学卒業後すぐに警察官となった。しかし、就職2年目で一般人殺害の不祥事により退職。
「自分に『正義』を名乗る資格は無い」と言い残し、以後「夜刀神参仕」と名前を変えて裏社会に生きた。

201*年*月、北海道九城市にて対悪神組織【モノクロ】に所属。
初めは『正義の味方』の夢を捨て、ただの組織の下僕として戦っていたが、
組織仲間からの影響により、人の為に生きるという目的を見つけた。
さらにその後、自分の為に人を守ると決め、『正義の味方』の夢を再び掲げた。
そして特別な人の為になりたいとも願った。
しかしどんなに頑張っても叶わなかった。

2016年4月、悪神は消滅。【モノクロ】は解体した。
『正義の味方』の夢は叶った。しかし満たされなかった。
本当に守りたいもの、欲しいものが分からなかった。


だが、長い長い戦いの果てに、多くの友との交わりの末に、やっと見つけた。
それは──誰かを救ったという誇りだった。


全てを救おうとして何もかもを取りこぼした天宮志郎は
何かを守りたくて足掻いて何も掴めなかった夜刀神参仕は
最後の最後に、本当に守りたいものを見つけた。



どちらも正しかった。正しかったのだ。
ただ結末が、願ったものとは違っただけ……
悔いしか残らなかったとしても、その過程に多くの理想を果たせたのなら……





2016年*月、大切な仲間達の旅立ち、或いは眠りを見送り、
友を象った人形と日記を抱えて世界に旅立った。
『正義の味方』として、世界中の人々を救いに行った。

友への『想い』と、守ったものへの『誇り』を胸に
彼は今も世界のどこかで誰かを救っている。



守りたいものを守れる強さ
それを信じられなくなる弱さ
守れたものを守れなかった辛さ
何も信じられなくなる脆さ

立てなくなっても
守りたいものを守れるのなら
全てを受け入れて 未来を探す

重ねた涙の果てに光を見つけた
祈りは時を超えて


その意志は夜明けを灯す

──Brave Shine──







以下、過去情報


+記憶ノ欠片
記憶ノ欠片 ~ 正義喪失

+補足
時系列は夜刀神が警察に入ってから辞めるまでの間。〈欠片前〉は7~9歳の頃。
〈欠片五〉のみ一人称、他は三人称。
〈欠片四五六〉は秘密〈子供殺し〉の対象のトラウマ。あまり自分から話したがらないが、強く押される等、流れ次第じゃ話す。


+欠片零
欠片零 到達

彼はある名家の長男だった。
正義感が強く、子供の頃からよく困ってる人を助けていた。
時々無茶をしたが、日頃の行いが良いからと温かい目で見守られてきた。
独り善がりな正義になる事無く、時には失敗をしながらも誇り高く立派に育った。
大学卒業後すぐに警官になった。警官はずっと夢の職業だった。


+欠片一
欠片一 失望

彼は憧れの警官になった。だがそこでは腐った現実が待ち受けていた。
いくら必死に犯罪者を捕まえても

 「勘弁してくれよお巡りさんよお!後で親父が金出すんだからよ!」

保釈金ですぐに釈放されたり、

   「はっはっは、若いな君は。はて、指紋?足跡?何の事かね?」

証拠を偽装したり賄賂を流したりで無罪放免。
彼らはそうやって何も反省せずに犯罪を繰り返した。

  「なんで私だけこんな目に会うのよ!主犯はあいつなのに!」

 「俺はタダのアルバイトなんだよ!信じてくれよ!」

一方で金も権力も無い貧乏人は彼らのスケープゴートにされ、必要以上の処罰を背負わされた。


金と権力が全てだという世の中に失望した。
何よりも彼が失望したのは、彼自身もそうやって親の金と権力で守られてきたと言う事だ。
自分の正義が全ての人に認められたと思っていたのは間違いだった。



+欠片二
欠片二 消耗

それでも彼はめげなかった。
困ってる人を助けたいという気持ちは間違いじゃないはずだと、己の正義を貫いた。
彼は魔法使いになった。
理由は違法使いに対抗する為というのもあるが、それ以上に人を守りたかった。

しかしその気持ちは長くは続かなかった。
何をやっても上手く行った学生時代と違い
何をやっても上手く行かなかった。
罰するべき人には何もできず、守るべき人は守れなかった。
そもそも権力者に独りで勝てるわけが無かった。味方は一人もいなかった。
疎まれ、呆れられ、咎められ、笑われ、それでも耐えていたものの、
懲戒処分をきっかけに彼の気持ちは冷めていった。


+欠片三
欠片三 守レズ

「ねえ!まっ……」

青年が人通りの少ない道を歩いているとそんな声が聞こえた。
青年はその声に聞き覚えがあった。
声の出処に向かうと、以前関わった少女、少女を殴り引き連れようとする少年がいた。
少年が少女をいじめているようだった。少女は口を塞がれていた。

「おい、何をやっている」

「くそっ……何だよお前」

「その女に何をしている。今すぐやめろ」

「うっせえな引っ込んでろよ!」

「やめないなら貴様を……」

「そういやお前どっかで見た事あるな……警官か?あっはーなるほどね」
「俺が悪い事してるってわけ?ひゃははは!」
「こいつが俺を怒らせるからこうしてんだよ。俺は悪くねえ!」
相手が警官と気付いても悪びれるどころか開き直った。
ふてぶてしく青年に正面から立ち向かった。

「明らかにやり過ぎだ。それ以上は止めろ」

「うっせえなあ警察風情が!」
少年は苛立って少女を壁に叩き付けた。少女は物言いたげな目を青年に向けていた。
「俺に勝てると思ってんのか!俺は代議士の長男だぞ!」

その言葉に青年は顔を歪めた。こいつも親の力で好き勝手やってる連中かと、少年を憎んだ。
こいつを逮捕しても無駄だからせめてこの場を収めようと思った。
「犯罪は犯罪だ。その女を解放するまで俺はここを動かないぞ」

「…………ちっ!糞が!」
数秒睨み合い、そして少年は少女を乱暴に突き放して何処かへ行った。

少女に怪我は無かった。だがようやく解放されたのに未だに青年を睨んでいた。

「ねぇ……なんでもっと怒らなかったの?」

「言っても聞かないなら仕方ないだろ」

「なんであいつを捕まえなかったの?」

「あいつは捕まえても無駄だからな」

「だったらもっと叱ってよ!」
「前に言ったわよね!?困ってる人は助けるべきだって!」
「人を困らせちゃいけないってあんなに言ってたじゃない!」
「なんであいつを叱らないのよ!」

「……俺の役目じゃ無い」


「………………信じてたのに」


そう言って少女は去った。感謝の言葉は無かった。
後にその少女は死体で発見された。
少年にマンションから突き落とされたようだ。
決定的証拠が複数あり少年は逮捕され、少年の父親である代議士は辞職した。
罰するべきものには罰を与えられたが、失ったものは元に戻らなかった。


+欠片四
欠片死 殺メル

青年は惰性で過ごしていた。
目の前で守れるものを守れなかった自分を責めていた。
以前持っていた熱血的な正義感はその様子からは欠片も見られなかった。
そんな時、通報があった。
「監禁されている。助けて欲しい」という少女からの通報だった。

青年は誰よりも真っ先に監禁現場に駆けつけた。
もう二度と守れるものを失いたくなかった。
そこでは炎に包まれる中、刃物を持った少年と素手の少女が無防備に蹲る少女を追い詰めていた。
知識の弱い青年でも二人は魔法使い、戦士と魔道士だと分かった。炎は魔法のものだった。

(守れるものを失うくらいなら――)
青年は二人を殺そうと刀を抜いて突っ込んだ。
考えるより先に体が動いた。

「なっ!?」

右側の少年を袈裟斬り。

「いやっ!?やだっ!!」

続いて隣の少女を切り上げる。
二人とも一撃で倒れた。
未熟な魔法使いでは背後からの奇襲には対応できなかった。
かくして監禁された少女は救われた、はずだった。





+欠片五
欠片誤 堕チル

俺は二人を斬った後すぐに女の子の元に駆け寄った。

「おい!大丈夫か!俺は警察だ!」
「うぐ……怖かったよぅ……」
目立った傷は無かった。安心した。今度は守れた。
震える少女を強く抱きしめた。
「大丈夫だ……大丈夫だ……っ!」
少女を抱きながらそんな言葉を繰り返した。
少女を安心させる為に。
自分を安心させるように。

できればずっとこのままでいたかったけど、ずっとここにいるわけにはいかない。
「よし、安心しろ!今すぐ病院……に……っ!」
この子を安全な所に連れて行こうとしたその時だった。
体が動かなかった。
まるで体が固まってるようだった。
何をされた?さっきの魔道士の仕業か?
そう思い、命令を聞かない体を力ずくで動かし後ろを振り返ろうとした。

「ぐっ!!」
少女から目を逸らした瞬間に頭に衝撃が走った。
何が起こったのか分からなかった。頭が上手く回らなかった。
「このっ……!」
左手で頭を支えて必死に意識を保つ。
この攻撃は何だ。ただの魔法攻撃じゃない。
じゃあ精神攻撃?異能者がいる?まだ共犯者がいたのか?
なら殺さないと駄目だ。
よろめきつつも刀を握り、
がむしゃらに体を捻って背後を斬った。

――この子を守りたい。
  この子は俺が守らなきゃいけない。
  ここでこの子を守れなかったら……!――



しかし、何も斬れなかった。
後ろには誰もいなかった。
血を流した二つの死体しか無かった。
「どういう……ことだ……」
意識が朦朧としてきた。

まとまらない頭を無理やり回そうとしたら
体中を壁やドアか何かで挟まれるような痛みが走った。
否――押し潰された。
「がああっ!!」
体中、指の先まで潰された。
この魔法には覚えがある。
「こいつはシャドウボックス!!」
空間を圧縮して敵を押し潰し恐怖を与える魔法。
以前受けた事があった。その威力も。その恐怖も。
そして攻撃された方向も分かった。
この方向は――後ろだ。
だが後ろにはあの子供しか――
駄目だ。怖い。それ以上考えちゃ――




「何をしてるバカ!早くそいつを逮捕しろ!」

それは同僚の声だった。

二つの死体の傍らで蹲ってる俺にそいつは――





 「加害者は一人の女性!被害者は――

                ・ ・ ・ ・ ・
               二人の男女だ!」







「うあああああああああああああああああああ!!!」









+欠片六
欠片録 ソレカラ

監禁犯は捕まらなかった。
あの少女はパラライズとデストラクションを駆使して弱い魔法使いを攫う違法使いだった。

麻痺と放心と恐怖に囚われながらトラウマを負った彼は数日間廃人状態だった。
退院後、罪無き子供を二人も殺した責任を問われて警察から追放された。
本人も警官を続けたいとは思わなかった。
身も心も堕落した。悪魔と契約しチンピラになるまでにそう時間はかからなかった。

今ではとっくに熱血的な正義感は無くなっていて、組織の命令に従う事だけが夜刀神の全てとなっていた。
守るべきものを守れないどころか、自分の手で殺めた彼に正義を名乗る資格は無かった。






+欠片前
欠片善 憧レノ全テ

「KEEP OUT」のバリケードテープが広げられた、どこかの地下の構内。
たくさんの野次馬が蠢く傍ら、人が通らない柱の下で
十歳にも満たない男の子が高校生の少女に抱きしめられていた。
是は彼の欠片。
是は彼の全て。
是は彼が進み始める前の記憶。
是は彼が覚えた最初の想い。


「うぐっ……えぐっ……ひっく……」
「ええぇん……よかったですぅ……ぐす……」

「おいおい……おちつけって」

「坊やが生きてて……えう……本当によかった……えぐっ……」

「抱きつくほどじゃ……」

「だってっ……君には……死んでほしくなかったからっ……」
「今までずっとっ……君を探してたんですっ!」
「うわああああん!」

「い、痛いって……なんでお姉ちゃんがそんな事したんだよ」
「母さんか父さんの知り合い?」

「いえ……さっき道に迷った時に……うぐっ……君が案内してくれたんです」
「坊やに案内されなかったら私、逃げ遅れてました……」

「ああ……さっきの」

「だから……坊やは無事でいてほしいって、心配でっ……ぐすっ」

「……それだけで俺を」

「はいっ!……私……今まで誰かに助けて貰った事ってあんまり無くて……」
「ドジ踏んでばっかりだし……何やっても全然上手くいかないし……」
「だから坊やだけは助けたいって思ったんですっ!」

「………………えっと、その……」

「ひっく……どうしました?」

「……ごめんなさい」

「へ?」

「あれは、その、適当に言ったんだ……」
「映画館なんて行ったこと無いし……それに…………」

「それに?」

「……その……嘘でもいいやって……」

「ふふん、大丈夫ですよ」
「嘘でもいいんです!気にしません!」

「え……?」

「だってあなたのおかげで助かったんですから!」

「で、でも……」

「いいんです!むしろ私の方からお礼を言わせてください!」


「私を助けてくれて、ありがとうございます!」






「………………お姉ちゃんみたいな人、見たこと無い」

「え?」

「……みんな嘘をついたら怒るし……それに」
「そんな笑顔は初めて見た」

「笑顔……ですか?」

「うん……お姉ちゃんの笑顔……凄くキラキラしてる」
「お姉ちゃんみたいなキラキラした笑顔、初めて見たよ」

「は……ぅ……」
「……そんな風に言われたの、私も初めてです」
「…………えへへ」

「……俺変なこと言った?」

「いえ、嬉しいです!」

「嬉しいの?」

「はい!とてもとても……嬉しいですっ!……ぐすっ」

「そう……変な人」

「変でもいいです!ありがとうございます!」
「お礼に頭をなでてあげますね!」

「ひ……う……」

「よしよし」

「なんで……」
「なんでそんなに俺と仲良くできるんだよ」

「だって……えっと、お友達だから、でしょうか?」

「友達……」

「あ、もしかして……嫌ですか?」

「嫌じゃ……無いよ」
「うん……嫌じゃ無い」

「えっと、あの、ありがとうございます」
「えへへ、何だか涙が出てきちゃいました」
「あ、でも最初から泣いてるから同じですね、あはは」

「あはは……お姉ちゃんって凄いな」

「へ?」

「だって凄く笑うし、凄く泣くもん」
「凄く面白い」

「そうでしょうか……よく分からないや」

「たぶんそうだよ」

「うーん……まあいいです!じゃあ、私とお友達になってくれますか?」

「うん、いいよ」
「俺もお姉ちゃんの事、もっと知りたい」

「わあい!ありがとうございます!」

「うわっ……お姉ちゃんすぐに抱きつくな」

「だってお友達ですから!」

「そうかなあ……まあいいや」

「うん!じゃあ早速私と遊びましょう!どこがいいですか?クレープなんてどうでしょう!」

「うーん……お姉ちゃんに任せる」

「分かりました!私に任せて下さい!えーっと……」
「そう言えば私達、まだ名前を知らないですね」

「あ……そう言えば」

「まずは名前の交換ですね!」
「私の名前は――――


――――記憶はそこで途絶えている。





+参加記録
参加回数 日時 GM シナリオ名 同卓メンバー ログ
No.1 2/1 梅酒 ゴブリン退治 松田永梨/滑川霧人/餡餅童子/Mr.ジョンソン LOG
No.2 2/6 ぴゃー 【運命のルーレット】 ケラウノス・L・サンダーボルト/ほむーん/ミラ・カーティス/勅使河原・フィン LOG
No.3 2/9 レン 解き放たれしゴリラ 東雲陽翔/デュー/ケラウノス・L・サンダーボルト/ジェネラル LOG
No.4 2/10 梅酒 『こんにちわ赤ちゃん』 アラン・フォスダイク/エカテリナ/玖蘭・アーデルハイト/滑川霧人 LOG
No.5 2/20 FEマン 地下闘技場の謎 Mr.ジョンソン/デュー/エカテリナ/エクレア LOG
No.6 2/21 リース 聖者無き地に咲く桜 2話 東雲陽翔/毒島聖/ベン・ケノービ LOG
No.7 2/24 梅酒 ホムンクルスは無邪気に笑う 滑川霧人/エカテリナ/エル LOG
No.8 2/28 灰人 TARGET:EX 「仇敵」 松田永梨/水野ケイ/ナハシュ=シャホル/ジムゾン LOG
No.9 3/4 スネコ 『【耐性生物駆除】』 松田永梨/オリバー・L・ウォード/ビリー/のらくろ LOG
No.10 3/5 ペンネ 『魔石=300円』 ほむーん/水野ケイ/丹赤朱美/蕪姫 LOG
No.11 3/7 たまこ まどろみ、或いは嘆色の夢 丹赤朱美/勅使河原・フィン/灰空曇/レイン・A=G LOG
No.12 3/14 レン 麻雀物語 玖蘭・アーデルハイト/武也・D・プロドセル LOG
No.13 3/20 レン ヒーロー爆散 玖蘭・アーデルハイト/オリバー・L・ウォード/H・D・エイブラムス/ナハシュ=シャホル LOG
No.14 3/21 梅酒 『クレイジーフェイク』 玖蘭・アーデルハイト/松田永梨/アラン・フォスダイク/滑川霧人 LOG
No.15 3/25 はきの 赤い霧に沈む街:再び 東雲陽翔/灰空曇/武也・D・プロドセル/ケラウノス・L・サンダーボルト LOG
No.16 3/26 比那名居 『Crazy town Crazy life』 アトラ・グリード=グラード/灰空曇/蕪姫/ジェネラル LOG
No.17 3/30 『騙して悪いが仕事なんでな』 彼岸花情/玖蘭・アーデルハイト/灰空曇/ケラウノス・L・サンダーボルト LOG
No.18 4/9 メイト Ep4『言葉事件-SpeakLow-』 武也・D・プロドセル/デュー/のらくろ/毒島聖 LOG
No.19 4/15 リース 聖者無くとも日は昇る ベン・ケノービ/蕪姫/ルーキス・オルトゥス/エカテリナ LOG
+ドラマリスト

+特記アイテム
  • アルケーの帽子
アルケーがこの世界から消滅した時に遺した形見。
ちゃぶ台の上に大切に保管され、
殺風景な夜刀神の家の唯一の装りになっている。
※関連セッションNo.7 ホムンクルスは無邪気に笑う
※立ち絵は能見クドリャフカ(リトルバスターズ)

  • クランのあみぐるみ
クランを象ったあみぐるみ。
不器用なりに(文字通り)魂と愛を、そして黙って死ぬなという想い──願いを込めて作った。
部屋に押しかけてきたクランに別れ際、眠りに堕とされる間際に渡した。
(大事にされていればいいのだが……)と夜刀神は若干気にしている。
※関連ドラマNo.13 クラン(好)
【卓No.17追記】
クランにモノクロメンバーの前でからかわれた。大事にされているのは分かったけど恥ずかしかった。

  • アリスのあみぐるみ
アリスを象ったあみぐるみ。
(アリスとはアトラが依頼中に拾った(買った)人造人間の少女だ。現在彼女の家に住んでいる)
短い手紙と一緒にアトラに贈った。今はアリスに与えられてるらしい。
救われたお礼(アリスを殺さずに済んだ事から)、アリスへの気遣い、そして
短命のアリスを看取るアトラを案じる想いが込められている。
※関連ドラマNo.16 アトラ(好)




+夜刀神の日記帳
+001 <1~3ページ目>
※関連ドラマNo.11 東雲陽翔(好チケ)

俺には自分というものが無い。
……と言えばまたあいつに笑われるんだろう……いや笑いはしないな。あいつなら怒るか。
兎に角俺は過去を捨てた……違う。過去を捨てたい。捨てて割り切りたい。
だが俺は割り切ったつもりでいて未だに割り切れていないようだ。あいつに言われた通りにな。

ああそうだ。俺は過去に囚われている。あの醜悪な地獄に囚われている。
だがあの地獄を後悔はしない。
あれは馬鹿げた正義に取り憑かれた俺に相応しい最悪の末路だ。あれは昔の俺には当然の結果だ。

いや。
そうじゃないな。
俺が本当に割り切れるやつなら、昔の地獄を地獄だとは思わない。
そうだな。俺は未だに後悔している。あの地獄を、そして俺がやってきた全てを後悔している。
きっと俺はそれを永遠に後悔するのだろう。
忘れたくても忘れられないのだろう。
それを戒める為に俺は日記をつける。まあそれだけが理由では無いのだが。

どんな地獄を経験してきたかなどには意味が無い。それが地獄であったと言う事実が重要だ。
なのでそれについては筆録しない事にする。
まあ、簡潔に記せば、監禁犯を被害者と勘違いし、無実の子供を2人殺したのだ。
あの監禁犯は精神を犯す魔法を使って俺の動きを封じ込めた。あれで俺は暫く廃人状態になった。ああ忌々しい。

本当に書きたい事を忘れそうなので話を戻す。
どの道過去には戻れない。あいつらエリートは俺のような落ちぶれた輩は相手にしない。
これからの事を記す。
これから残せるもの……陽翔は人と過ごした時間と思い出だと言った。
たかが思い出に何の意味がある、と、以前の俺ならそう言って吐き捨てただろうな。
だが今の俺は、不思議とそれを捨てられない。

俺の知り合いに残り1年で死ぬホムンクルスの少女がいる。
あいつの事を想うと思い出がとても大切なものに思えてくる。
あいつが何も楽しい思い出が無いまま死ねば、あいつはきっと最期まで悲しく寂しいのだろう。
そう想うと何故か胸が苦しくなる。
どうせ1年で死ぬと言うのに、何を気に病んでいるんだろうな俺は。
しかし陽翔に言わせればそれも強がりらしい。自分を誤魔化しているらしい。

ああ。
そうだ。
俺はあいつに死んで欲しくないのだ。
あいつには1年と言わず何年でも生き続けて欲しい。

だがそれは叶わない願いだ。
ならばせめて最期まで幸せのままで居て欲しい……と言うのは俺の我儘だろうか……


眠くなった。
続きは明日だ。
既に消えたホムンクルス。
いずれ死ぬホムンクルス。
善性の使徒であり、悪を怨む怨霊でもある少女。
人間では無く、人間らしい、人間以上に輝くあいつらの事も、いずれ記すとしよう。


+002 <4~9ページ目>
(文字を消したり、ページを破った跡がある)
(破られていないページには松田やほむーん、アルケー、陽翔の事が箇条書きに書かれている)

日記というからにはすらすら書けるものだと思っていたが、思うように書けない。
そもそも思い出や記憶をまとめるノートは日記と言えるのか怪しい。
これはきっと日記では無く備忘録なのだろう。
忘れた時の為に備える記録。
備忘録にしては長すぎるノートになるが、
過去も未来も今も何もかもを置き去りにしてきた俺には丁度いいかもしれない。
なら連日書かなくても問題無い。しかしこのまま貯めておくというのもバツが悪い。
貯まった課題は早めに消化しておきたいものだ。


+003 <10~12ページ目>
※関連ドラマNo.12 クラン(好)

暫く続きを書けないでいたが、ようやく書けるようになった。
今日は依頼で知り合った女に会った。
会ったとは言うが、自分から会いに行ったのでは無く向こうから押しかけてきた。俺の部屋に勝手に侵入してきた。
何とも非常識な奴だ。不法侵入罪で訴えてやりたい。ここに警察はいないが。元警察しかいないが。
名前は伏せておくべきか。あいつのように誰かに覗かれないとも限らない。
……いやいいか。俺の日記を覗き込む奴など、人の心にズケズケと入り込む奴など、あいつくらいだろう。
しかし俺に恨みのある奴に見られたら不味いな……簡単には見られないように隠しておかなければ。
どうせこの日記帳の存在を知ってるのはクランだけだ。

あいつは人を誂うのが好きなようだ。
「風の吹くまま気の向くままに」と俺に遊びに来たようだが、余程退屈なんだろうか。
音も無しに勝手に侵入するのはどうかと思うが……
しかし見られて困るものは無い。家財も装飾も大してない殺風景な家だ。
勝手に覗かせておけばいい。
アレはアレで面白い奴だ。普段煽られるのは鬱陶しいが、あいつには悪い気はしない。
暇で退屈ならいつでも俺に遊びに来いと言ってもいいくらいには気を許している。
まあ、とっくにこれを覗かれたから手遅れとも言えるが……好きにさせておこう。
きっとあいつも退屈なんだろうからな。

さて本題だ。
今まで他人との繋がりを避けてきた俺はその借金を返さなければいけないようだ。
女慣れ以前に人慣れ。俺は初歩的な問題から始めなければいけない。
己の過去を捨て、己を切り離してきた俺には当然の義務なのだろう。
……義務というのもどうなんだかな。
俺はそれを義務だと思ってやりたいのか?違うな。
俺は好きな人の為に生きたいのだ。これはそうする為に必要な責務であり、
それをなおざりにしてきたツケだ。
相手の望み、意志、傍にいる事、言葉で言えば簡単だが、俺には困難だろうというのは想像に難くない。
果たして俺にそれが務まるのだろうか……意識はしておくが……
そう言えば「焦りは禁物」とも言われたな。ならばあまり強く意識しない方がいいのかもしれない。
まあ……何とかやっていこう。気長に学んでる時間は無いかもしれないが、他にやる事も大して無いのだ。
月が流れるようになだらかに進めばいい。
明けない夜は無いが、夜はまだ長いのだから。

……こう書いていると、俺よりクランの方が俺の事を知っている気がするな……
それはそれで不甲斐ないのだが……まあ自分の事は他人の方がよく見えるとも言うしな。
気にしてもしょうがない。だから気にしないでおこう。
きっとそれがいい。


+004 <13~18ページ目>
※前半 関連セッションNo.13 ヒーロー爆散
※後半 関連セッションNo.7 ホムンクルスは無邪気に笑う

「心が変われば態度が変わる」とは誰の言葉だったか。
「見方が代われば態度が変わる」とも言ったか。もしかしたら逆かもしれない。
まあどうでもいい。兎に角変わったのだ。
オリバー・L・ウォード。ナハシュ=シャホル。
以前一度会ったはずだが、全く印象が違って見えた。
ナーシアは以前は鬱陶しい奴だという印象だったが、今回は機敏に動ける器用な奴という印象だ。
それに観察眼だか洞察力だか……まあ中々できる奴だな。口数の多さは玉に瑕だが。
オリバー……あいつは子供という印象だった。
猿を連れているがむしろ猿に飼われているんじゃないかと思うくらいにガキだ。
まあその猿の実態は悪魔だが。そう、ガキだ。正しく子供。
異常への覚悟、恐怖や悪への警戒心、そんなこの街にいるならあって当たり前のものがあいつには欠けているように見える。
まあ、その印象は今でも変わらないが、あいつにも意地を張るくらいの度胸はあるようだ。
猿を飼い慣らす程度には成長したのかもしれない。

俺が変わったのか、見えていなかったのか、或いはあいつらが変わったのか。
いずれにしても面白くなったものだ。この灰色にくすんだ凡庸な街も中々に彩られているようだ。
俺やエイブラムスという黒も、あいつらを引き立てる色と言えるのかもしれない。
彩りと言えば、あの赤い奴らは無事に生き返ったらしい。
仲間も殆ど生き返った。悪魔に操られた亡霊少女は救われた。
あいつらもまたこの街を彩るのだろう。

……まあ仲間の1人は俺の仲間が殺したのだが。
あいつはあいつで無鉄砲過ぎる。とんだお転婆少女だ。
少しは自制を覚えるべきじゃないか?まあ煩く咎めるつもりは無いが。
仕事の邪魔にならないように見張っておく必要はあるかもしれない。ドジを踏む可能性が万が一にもあり得る。
………………
一人じゃない、か。
本当に好き勝手やりやがって。あいつめ。

しかし以前から惹かれた奴らの事は未だに上手く書けないな……そう昔の事でも無いんだが……
昔の事より今持っている印象を書くべきか。昔の事に囚われるべきでは無いだろう。
今回のようにあいつらにまた会えば違う印象を持つかもしれないしな。
それにしてもあいつらには久々に会いたいものだ。長い間会っていないように感じる。


ざっと3人の事をまとめよう。
既に死んだホムンクルス、アルケー。
いずれ死ぬホムンクルス、ほむーん。
善性の使徒であり、悪を怨む怨霊、松田永梨。
あいつらの記憶を手短に書く。

アルケーは以前依頼で護衛を任された奴だ。
護衛、と言うよりはベビーシッターに近い。
白い髮に青い目。俺の肘下程度の身長で、まあ、美しい少女だ。
何よりもずっとにこにこと微笑む奴だった。それは陰りが無く純粋で、何かを偽るものでも誤魔化すものでも無く、
ただそれをありのままに見て綺麗だの楽しいだのかっこいいだのと素直に思い微笑むような奴だ。
きっとあいつはあらゆるものを受け入れるのだろう。
悪を拒まない。どんな悪でも受け入れる。
何でも受け入れると書くとまるでシスターや女神のようだが……あながち的外れでは無いんだろう。
マスターの理想。神の領域に至った理想のホムンクルス。
そのせいで3日しか生きられない儚い子。
偶然産まれてしまったと聞いたが、まあそんな情報は些細な事だ。
あいつは俺の過去を覗いた。憐れみや同情はしなかった。恐怖も無かった。
ただ楽しそうに無邪気に、興味のあるものをもっと知りたいという純粋な子供のように俺の心を覗くのだった。
あいつは…………完全体だった。
シスターどころか女神と言ってもいい程に、理想のホムンクルスだった。

あいつは最期にお姉ちゃんといつか会えると告げた。
お姉ちゃんとは子供の頃によく遊んだ、まあ、幼馴染のようなものだ。
よく笑いよく泣く、子供みたいな奴だった。俺より7,8つ程度は年上なのだが。
数年間付き合って、というか遊んで、じきに進級か何かの事情で会わなくなった。
あの頃の記憶は殆ど曖昧だが、まあ、楽しかった。
人を助けて泣くような奴など、あいつくらいだろう。
この落ちぶれた身ではもう会う事は叶わないと思うが、それでもアルケーは会えると言ってくれた。
もしかしたらそれは俺への慰めで、本当は会えるのか、そして繋がってるのかは知らないのかもしれない。

だが、救われた。
俺の闇一色の過去の中で唯一楽しかった思い出がそれだから。
俺は、救われた
アルケーは、俺と2人しかいない場所でそう告げて……そして、消えた。







ああ。
消えたとも。

あいつは。
神の領域に至ったから。
だから、消えた。









「よかった」
「もう 寂しくない ね」

それがあいつの最期の言葉だった。
それだけは今も忘れていない。






哀しくないと言えば嘘になる。
これが哀しくない訳が無い。
哀しいに決まっている。

それでも俺は前を向くしか無いのだ。
過去には戻れない。
未来は見えない。
ならば今を大事にするしか無い。

アルケーには3日と言わず、俺が死ぬまでずっと生きていて欲しかった。
いや、死ぬまでと言わず俺が死んだ後もずっとずっと生きていて欲しかった。
だがそれは叶わない願いだ。
だから俺はせめてアルケーの事を忘れないでいく。
アルケーと過ごした事、アルケーと遊んだ事、そしてアルケーの最期も、
一生手放さない。
一生忘れない。


ああ。
俺は一生後悔するのだろう。
何も守れなかった俺の生涯を一生悔やみ、嘆き、哀しむのだろう。
だが、それでいい。
俺には今がある。
今があればそれでいい。
今の幸せがあればいい。
例えそれがこの先無くなってしまうとしても。
何かを失うとしても。
失い続けるとしても。
そこに幸せだった証は残っているのだから。
それがあれば、今が無くても、何も掴めなくても、
生きていける。

……生きていける……はずだ。



時間をかけ過ぎた。もう寝ないと明日に支障が起こる。
今日はここまでにする。


+005 <19~23ページ目>
※関連セッションNo.14 クレイジーフェイク

この間の依頼は正直堪えた。
守る権利を奪われるわ女にされるわで調子が狂う。
恥じらう余裕も無かった。
オッサンは腑抜けになるし松田と滑川はノリノリだしクランは参るし散々だった。
戦闘の時こそクランを奮い立たせる為に威勢良く怒声を放ったが、あれは俺の為でもあった。
守る権利を奪われた俺の身ではああでもしないとあいつらを守れなかった。
魂を削ってでも意地を張らなければ誰も守れなかった。
ああ、物凄くきつかった。
おまけに麻痺と重傷の呪いで体を縛られる。
終いには神の雷に灼かれる。
生きてるのが不思議なくらいだ。
あの体が痺れ鈍る感覚と雷撃──ありとあらゆる細胞が破裂し神経を悉く焼き尽くし焦がすような痛みは今も忘れられない。
もう二度とあんな羽目にはなりたくないが、それであいつらを守れたなら、
俺はそれでもいいと心から思う。

それに、俺は死ななかったしな。
悪魔から押し付けられた呪いで俺は死ななかった。
不死の呪い。
死を許されない呪い。
代償は魔力と信仰──想い。
想いの強さ。信じる力。
俺は──あいつに想われた。信じられた。
俺はこんな所じゃ死ねない、終われないと。
いや……それだけじゃないな。
あの時、クランに抱きとめられていた時、微かに聞こえたものがある。
焼け爛れた体でも、焦がし尽くされた意識でも、あいつの想いは聞こえた。
あの時は頭が焼けていてよく分からなかったが、今なら分かる。
あいつは俺に、死んで欲しくないと、生きていて欲しいと、
願った。そして叶った。
ならばこれは願いなのかもしれない。
不死の願い。
ああ…………悪くないな。
願われるなら、生きてやろうという気になる。

はあ。
俺はあいつに背負われてしまったのだな。大して何も持って無い癖に。
まあ、お転婆娘なあいつなら俺が死んでも案外ケロッとしてるのかもしれないが、
しかし全く平気とはならないだろう。あいつはあいつで平気そうに振る舞っておきながら内面で気にするように見える。
もし俺が死んだらあいつはどれだけ哀しむんだろうか……考えても仕方ないな。
それにしても妙にあいつの事が気にかかる。
割りと話しやすいし、気を許してるし、教えを請うたり助けられたというのはあるが、それだけでは無い気がする。
親近感、慕い、敬い……どれも近いが何か違うな。
何よりあいつの場合、近くにいると安心すると言うより不安になる。
何故だろう。嫌では無いのだが……


さて。
話を切り替える。
久々に会いたいと思っていた松田に会えた。
先程も名前を出したが、今回の依頼のメンバーだった。
まあ、会えた。会えたはいいんだが……筆舌に尽くし難い。
状況が状況だし、俺は調子が狂っていたし、松田は変なノリだったし、戦闘では俺も松田も皆夢中だったし、
色々ありすぎて書く事がまとめられない。
いや、無理。マジであの異界はおかしい。正気の沙汰じゃない。イカれてる。
とてもじゃないがついていけない。

……ああ、でも松田に話がしたいと言ったんだったな。
確か夢中になってる最中に言ったはずだ。
女の声だからいまいち自分で言った感覚がしないんだが……まあ、言った。
近いうちに会いに行こう。それまでに俺の感情を整理しておかなければ。
でなければまたあいつの思いを聞き逃してしまう。
それと俺と会った時にあいつが何を思っていたのかもなるべく振り返るとしよう。
……やめだ。人の気持ちを考える余裕が無かった頃の俺の心象など当てにならない。
まあせめてあいつの言葉だけでも可能な限りまとめておくか。

しかし眠い頭でやる事じゃないな。
焦ってはいけない。
落ち着ける時に考えよう。
続きはそれからだ。


+006 <24~28ページ目>
※関連ドラマNo.14 松田永梨(好)

最後に日記をつけたのは何日前だったか。長らくつけていない気がする。
と言うのも最近は色々あった。
それにある事に集中していた。
まあ、編み物なのだが。
何故編み物なのかと言えば、人形を作りたいからだ。
人形があれば消え逝く人の形を忘れないで済む。
人造人間やホムンクルスを作るという手もあるが、俺はその手の魔術には通じていないし、
何より、体は作れても魂は再現できない。
死んだ者はもう戻れない。再現出来たとしてもそれは元の魂に似た別人だ。
それは一番やってはいけない事だと思う。
なので俺は人形を作る。
何も俺は人間を作りたいとは思っていない。人の形を忘れたくないだけだ。
ちなみに編み物で作れる人形はあみぐるみだ。
人型の編み方を覚えればあとは毛糸の色や太さを変えるだけでアレンジが効く。細かい装飾が必要なくらいだ。
編む技術も一旦コツを覚えてしまえばどうということはない。
まあ……そう容易くは無かったが。
基本独学だ。この図体で手芸教室とやらに行こうものなら門前払いだろう。
肝心な所は永梨の伝手で学んだ。永梨がいなければ出来なかった。


さて、その永梨だが、この前話をした。
得られたものはいくつかあるが、まずは永梨の事について綴る。
結論から言えば、上手く行ったと思う。
俺の言いたい事を言えたし、永梨の本音を聞けた。
やはり永梨は迷っていた、と言うより、今も迷っているらしい。
しかし永梨はそれでもいいらしい。
人は迷うものだから、迷う事自体が人として大切な事だから、と。
願わくば俺はその迷いを振り払う手伝いをしたいのだが、あまり考えない方がいいだろう。
迷っているのに無理に答えを出させれば、きっと余計なお節介になる。
俺に必要な事は傍に居て支える事なのだろう。
いざ永梨が迷いに押し潰されそうになった時に助けられる事。
いざ倒れそうになった時の支えとなる事。

しかしいざという時に永梨の傍に誰もいてやれなかったら永梨は誰にも頼れない。
誰しも常に永梨の傍に居られるとは限らないから、その可能性は常に残る。俺とて例外では無い。
だが永梨なら俺以外にも助けを借りる事ができる相手がいる。
俺が傍に居られないならそいつらが、そいつらが駄目なら俺が傍に居ればいい。
永梨を助ける役目は俺では無いのかもしれないし、俺かもしれない。
はたまた誰も永梨を助けられないかもしれない。
考えれば考える程キリがないが……まあ、考えても仕方ないのだろう。
永梨は大丈夫だと言った。ならば俺はその言葉を信じよう。
陽翔もいる事だしな。案外、俺が思っているより永梨は大丈夫なのかもしれない。
心配御無用。それならそれで気が楽になる……物足りなくもあるが。
……まあ、大丈夫だろう。
迷いを迷いと言い切った永梨の事だ。
今の永梨なら、大丈夫じゃない時はそう言うと思う。
その時に手を貸せばいい。
もしかしたらまたあの夜のように意地を張るかもしれないが、その時は手を引っ張ってやる。
まああの時は上手く行かなかったが……今度は上手くやるさ。





ここで今日の日記を終わらせてもいいんだが、俺はあと1つ書かなければいけない。
自分の事。
壊れたもの。失くしたもの。

今まで俺は何を失ってきたんだろう。
正義、意志、命……
色んなものを失ってきたように思う。
だが、それでも
本当に大切なものは失っていないらしい。

人を想う事ができる心。

消えない罪にずっと縛られる必要は無い、と、
永梨はそう言って俺を受け入れた。

この気持ちはどう表したものか……


+007 <29~32ページ目>
※関連ドラマNo.15 東雲陽翔(好)
※締め括り 関連ドラマNo.13 クラン(好)


陽翔と話してようやく分かった。
俺は不安なのだ。
再び正義を張る事が不安。
どれだけ強く仲間を想っても罪は消えない。
子供殺しの罪。
ああ、これは不安じゃないな。
恐怖だ。
再び子供を殺す羽目になる事を恐れているのだ。

これが迷い、か。
そうか。
忘れていた。
ずっと自分の事、正義や意志を捨ててきたから
迷うような事が今まで無かった。
いや、迷うような事を捨ててきた。
迷いを放棄していた。


迷い。迷いか。
永梨や陽翔もこんな気持ちだったのか。
何となく分かった気がする。
どれだけ悩んでいたかは想像つかないが、まあ分かる。
分からないけど分かる。
こいつは重い。
重すぎる。
置いていきたくても体に引っ付いてくる。
死ぬまでずっと背負わなければいけない十字架のようだ。
考えれば考える程重みを増す。
体が押し潰される。

だが、背負わなければいけないんだろう。
俺が俺である限り、こいつを背負って前を向く。
迷う事自体が人として大切な事だから、
こいつを前では無く背中で背負う。

何、いざとなりゃ仲間の肩を借りればいいさ。
独りでやってどうにかなるもんじゃない。
だからあいつらがしたように、壊れそうになればあいつらに助けて貰えばいい。


本音を言えば、誰かに背負わせたく無いのだがな。
それだと陽翔に怒られる。
そう言えば前に陽翔に言ったのだった。
「お前に全てを救う力は無い」
それは俺とて同じだ。
それに、陽翔にも心配かけちまったからなあ。
あまり無茶をしてはいけないか。
不死の呪いだって限界があるのだから、程々にしなければな。
仲間を頼るってのも、まあ、悪くない。



俺も誰かに頼られるような奴になれてりゃいいんだがな。
なあ?お転婆娘。
独りで背負い込むくらいなら俺の元に来い。これは俺の我儘だ。
お前に何があったのか、何に迷っているのか分からんが、まあ、いつか聞かせてくれればいい。
独りで死ぬな。
生きろ。俺も生きるから。


+008 <33~40ページ目>
※関連ドラマNo.16 アトラ(好)
※アリスについて 関連セッションNo.16 Crazy town Crazy life

最近は色々ありすぎて何から書こうか迷ってしまう。
しかしそれでもこの日記帳は続けなければいけないと思う。
いや、続けたい。
思いを記録する為に。
想いを確認する為に。
実際、色々ありすぎて何があったのか、何を思っていたのかを忘れかけれてるからな。
落ち着ける今のうちにやっておこう。

主題は大まかに分けて二つ。
クランとアリス(アトラ)。
今日は書きやすい方のアリスについて書く。
クランの事は書きづらいというか、まだ整理がついていないというのが正直な心情だ。
とても気軽に書ける事じゃない。なので一旦置いておく。




と言う訳で、本題だ。
アリス。
正義の象徴、だった人造人間。
後から聞いた話も含めて、まずはアリスと出会った出来事から説明しよう。

アリスは最初は敵として出会った。
あいつは俺達を悪とみなした。
自身を「正義」と名乗り、悪を滅ぼす、正義の象徴。正義の執行者。
故に、アリスに悪と断定された俺達がアリスと戦うのは当然の結果だ。
細かい事情は省く。兎に角、俺達はアリスと戦った。
戦い、そして俺達が勝った。
その後アリスはアトラの家に引き取られた。
今は正義の執行者としての役目を捨て、普通の子供らしく育っている。
まあこの先あいつも正義を貫くようになるかもしれないが、その時はその時だ。
最初に見た正義は余りにも独り善がりだったが、今ならアトラの教育で丸くなってるはずだ。


しかし、独り善がりな正義と書くとどうしても永梨を思い出してしまう。
あの時は永梨の想いや悩みを聞かなかった。いや、聞けなかった。
今回もアリスを止めようと説得したが、上手く行かなかった。
最初はてっきりアリスの主人の絶対命令にだけ従う人形──道具だと思った。
自身の体がいくら傷付いても戦いの手を止めない様子は、まるで絶対命令を課された人形だった。
主人の道具として、正義という名目を与えられ、殺戮を行っているのかと思った。
だが違った。
アリスの主人──"お父様"は、とっくにアリスの手で殺されていた。
アリスにとっての"お父様"とは、アリスの武器の大鋏だった。
あいつは主人からの命令ではなく、あいつ自身が持っていた正義に拠って殺戮を行っていた。
あいつはあくまでも自分の価値観で行動していた。

あいつは自分の正義を持っていた。
しかしそれは余りにも独り善がりだ。
何せ誘拐犯を殺す時に子供まで巻き添えに殺すくらいだ。やり過ぎだ。
それでも、あいつにはあいつの正義があった。
正義を貫き、悪を挫くという意志があった。
それだけでもあいつは人間らしいと言えるだろう。
ただの道具と違って意志があるのだから。



俺はあいつの意志を見抜けなかった。
ああ全く、俺はこういう手合は苦手のようだ。面目無い。
最もあいつがこの街の認識災害に染まっている以上、俺が見抜けないのは当然かもしれないが、
俺は人を見抜く事に関しては半人前、と言うのは認めざるを得ないのだろう。
…………ふむ。
こんな風に書くと誰かに怒られそうだ。
それに、アトラやジョーならひょっとしたら違う事を言うのかもしれないな。
ジョーならきっと「アタシには見抜けない事ばかりよ」なんて言うに違いない。
アトラなら「そんなの当然でしょ」と言いそうだ。
しかし……アトラはジョーとは何か違う気がする。
アトラの場合、ジョーとは違って何かの強迫観念に突き動かされているように見える。
強迫観念か、或いは責任感か。
普段のお調子者っぷりは案外その反動なのかもしれない。(まるでどこぞのお転婆娘だな)
と、考えた所で結局は妄想に過ぎたいのだが。勝手に他人の身で被害妄想をしてるだけだ。
例え責任感で動いていようが、それがアトラの望んだ事なら気にする事じゃない。
それに今回はアトラがいたからアリスが救われた。


そうだ。
アトラはアリスを人間だと見た。信じた。俺とは違って。
だからアリスは人間でいられた。救われた。
アリスが救われた事で俺も救われた。
俺だけではアリスを勝手に道具と断定し、守りたい人を殺す所だった。
また子供殺しの罪を重ねる所だった。
無論、アリスが道具として処分される可能性もあったのだろう。
アリスは殺されても仕方ない事をした。きっとアリスを殺したとしても誰も責めないのだろう。
だが、それでも、アリスを殺さなくてよかったと思う。
そしてアリスが人間として生きていられて本当によかったと思う。
どっちもアトラがいなければ実現しなかった結末だ。
アトラによってアリスが救われ、俺も救われた。

過程がどうあれ、救われた人間がいる。
ならばそれでいいでは無いか。
終わり良ければ全て良し。
文句無しの花丸だ。
いや、犠牲者はいたが……まあ、十点程度の減点にしておこう。
俺には関係無いし依頼人は納得したし、俺にとっては十分ハッピーエンドと言える。

あの後もアトラはちゃんとアリスの面倒を見ている。
アトラも楽しそうだし、あれなら十分アトラに任せられる。
財力も申し分無い。豪邸住まいの金持ちは伊達じゃないな。
最もアリスの教育をアトラだけに任せっきりにするのは気がかりなので
暇があればこれからも様子を見に行こう。ひょっとしたらアリスも喜ぶ……かもな。
喜ばなかったら様子を見に行くのが嫌がらせになってしまうんだが……
やけにアトラに悪いチンピラのイメージを持たれていたようだし……
……まあそのイメージは払拭されたと信じたい。

それに、気がかりな事は他にもある。
アリスは戦う度に魂をかなり削ると聞く。
武器の大鋏が失われた今は戦闘能力こそ低いものの、無茶をする可能性は否定できない。
あいつにだって正義を貫く意志があるんだからな。
まあその点についてはアトラが咎めてると思う。




そして何よりも肝心な事がある。
アリスは人造人間だ。普通の体じゃない。無論寿命も言うまでも無く、短いはずだ。


大切なものを失う哀しみは十二分に知っている。
お調子者なあいつも少なからず哀しむはずだ。
当の本人は自分の死についてどう思っているのか分からないが、
人造人間だからもしかしたらほむーんやアルケーと同様に受け入れてるのかもしれないし、
人間のように早過ぎる死を恐れるのかもしれない。


もし"その時"が来たら、あいつらはどうなるんだろう。
何を感じて、何を想うんだろう。
考えても答えは出ない。出る訳が無い。
"その時"にならなければ分からない。
今壊れていないものを心配してもしょうがない。
ならばせめて、この想いを形にしよう。
今までそうしてきたように、忘れないように、アリスの形を残しておこう。
それが今の俺に出来るせめてもの気遣いという奴だろう。




しかし、アトラにはこの趣味をまだ言って無かったな。
これを貰った時アトラはどんな表情をするんだろうな。
びっくり箱を作っているようで我ながらにやけてきた。

今日の日記はここまでにしよう。
人形作りには気合を入れる必要がある。
とてもじゃないが、日記の事を考える余裕は無い。
上手い人なら余裕を持ってできるんだろうが……俺はこういう手作業は苦手だからしょうがない。
第一俺が手作業が得意な訳が無いだろう。
続きはまた今度だ。
クランの事については、もう少し気持ちを落ち着かせてから書く。


+008~009の間に挟まってるDVDの中の録画データ
No.18 『言葉事件-SpeakLow-』 OriginalExtraScene.『その声を覚えてる』
※これはメインストーリーとは関係無い、個人的なストーリーです。

餓鬼は消えた。やってらんない戦いだった。
力だけしか無い空想の餓鬼が手こずらせやがって。
だがこれで今回の俺達の役目は終わったのだろう。
言葉が真実になる異変も収束している。俺達以外の仲間も役目を果たしたようだ。
時間はとっくに夜になっていた。

ここは我楽街、デューのゲートで帰ってきた場所。
俺の役目は果たした。だが俺にはやりたい事がある。
いや、やらなければいけない事がある。
異変に気付いた時から考えていた。
不死の呪いで蘇ったとは言え、体も心も疲労が溜まってる。魂も魔力も殆ど無い。
満身創痍だ。それでも、それでも俺は────


────ここなら大丈夫だ。人気は無い。
我楽街の路地裏をずっとセンス・オーラを展開しながら走ってきた。何処にも気配は無い。
だが時間はあまり残されていないだろう。
まるであの時みたいだな……

誰も居ない場所でケータイを取り出し、ビデオカメラを起動して録画を始める。
空想を、理想を召喚する。


「俺はここにアルケーを召喚する!」
「来てくれ!アルケー!」


正面の空間が揺らめき、変色し、やがてそれは収束し……


「んぅ……」

白いマントを羽織る、幼い少女が現れた。
美しい白髮。青空のような瞳。混じり気の無い純粋な笑顔。
確かにアルケーだ。よかった……本当に現れた。

「また会えたな……アルケー」

「うん」

いつものように、にこにこと笑っている。
アルケーが最期に遺した小さな白い帽子を取り出して被せる。
全身の姿をちゃんとカメラに写す。ああ、こいつには本当によく似合う。

しかし夜の路地裏は体が冷える。こいつは寒がるし俺もまずい。
「アルケーと俺の間を中心とした結界を展開する。光と熱と音を遮断。天辺にはここを明るく暖かく灯す白い光。地面は硝子」
空想は実現した。光と熱が硝子に反射し、辺りが暖かく真っ白な空間に包まれた。まるでここだけ別世界に切り取られたようだ。
アルケーは「わふぅ」と声を漏らした。アルケーも落ち着いたようだ。

「アルケー、自己紹介をするんだ」

「わたし、アルケー」
「マスターの理想だよ」

「ああ、理想だ。神の領域に至った理想のホムンクルスだ」

「えへへー」
嬉しそうに、にこにこと笑ってる。

「俺はお前の声と姿を記録する為にお前を召喚した」
ケータイを見せ付けるようにアルケーの身長に合わせて跪き、カメラをアルケーの顔に近付ける。
「なあ……お前はあと何分ここに居られるか分かるか?」

「えーと……2分38秒かな」

「そうか……短いな……」

「わたしは、何でも知ってるよ」
「ずっとあなたの心の中にいたから」
「わたしはあなたの理想」
「あなたの経験も、理想も、心も、知ってる」

「アルケー……」

「だから、あなたが悲しい事も知ってるよ」
アルケーは俺に歩み寄り、にこやかに、俺のケータイを掲げる手を握った。


「わたしは」
「ずっとあなたの心の中にいるよ」



「っ…………」
「ケ……ケータイは……」
「ケータイはそこに浮く。必ずアルケーの顔を撮る……」
俺の手からケータイが離れる。俺の手が空っぽになって、哀しくて、虚しくて、耐えられなくて────


────ずっと我慢していた。この時の俺はもう自分を抑えきれなかった。
自由になった両手でアルケーを抱き寄せて、全身で強く抱きしめた。
俺の口から言葉が勝手に溢れ出した。
俺にはもう、湧き出す想いを止められなかった。

「アルケーっ……!俺はっ……!」
「俺はっ!ずっとお前に生きていて欲しかった!」
「俺はお前達を護りたかった!護ると決めた!」

「だからお前もっ……護りっ……たかっ……!」
「げふっ!アルケーもっ!生きてっ!!うぐっ!げふっ!がふっ!!」
涙と嗚咽が止まらなかった。
最後はもう、全然言葉にならなかった。


「大丈夫だよ」
アルケーは両腕で俺を優しく包んだ。
こてん、と頭をかしげて俺の顔にくっつけ、体重を俺に預けた。
そして、すぅ、と息を吸って、囁いた。

「あなたの理想は叶う」
「生きて、誰かを守れる」


「っ……!」


「誰かを守れない時もあるけど」
「でも、あなたが守れる人もいるから」
「あなたの理想は無駄にはならない」
「あなたがやる事は無駄じゃない」

「シロウは」
「間違いじゃないよ」


「アルケーっ!でもっ!お前はっ!」
俺にくっついてたアルケーを腕に抱えたまま、お互いの顔が見えるように少し降ろし、
アルケーの目をじっと見つめる。


「わたしは、大丈夫」
「ずっと、あなたの中で生きるから」
へらりと、無邪気に笑って応えた。
そして俺の肩に乗っかっていた手を俺の頬に伸ばし、そっと涙を拭い取った。

「守るために戦うって、いい人なんだって」
「シロウは、いい人」
「いい人だから、みんなを守りたいんだよね」


「アル……ケー……っ!」


「みんなを、守って、シロウ」
「お姉ちゃんにも、会えるよ」


「でも、でもっ!!お前はっ!!」



「わたしは ずっと」

「あなたの中で 生きるよ」



アルケーの姿が、色が、声が、重さが、温もりが薄れていく。
アルケーの手が俺の顔からするりと落ちる。
体が以前のように発光している。
空想の終わりが近付いている。

「まっ、待ってくれ!!」
「嫌だ!!アルケー!!」
「アルケー!!アルケー!!!!」
必死に名前を叫んだ。
子供みたいに泣きじゃくった。





「わたしは 寂しくない よ」

「シロウが ずっと覚えて くれてる から」



最後に、また、にこりと────



「ありがとう シロウ」

「わたしは しあわせ だよ」





────無邪気に、笑った。





………………


…………


……




空想は終わった。
アルケーの体は消えて失くなった。元の空想に戻った。
展開した結界も失くなり、現実が戻った。

かしゃん、とケータイがアスファルトの地面に落ちた。
ざあざあと雨が降っていた。
現実は、暗くて、寒くて、静かな、夜の闇に包まれていた。
冷たい夜の風と雨が、空想の名残を掻き消した。

ただ一つ、空想では無い、アルケーの被っていた帽子だけが残った。


「ぅ……ぁあ……」


「分かってた……分かってた……」


「分かってた分かってた分かってた分かってた分かってた!!」


「分かってんだよこんな事は!!!!」


「ちくしょおおおおおおおあああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」






────────ここは我楽街の路地裏。さっきまで空想が存った場所。
煌々と輝いていた月は雨雲に隠れて見えなくなっていた。

地面に落ちたケータイは録画状態のまま、カメラを天に向けていた。
雨はカメラと、白い小さな帽子を握りしめて蹲る男を濡らした。
雨が降りしきる中、孤独な黒い龍の哀しい雄叫びが、
いつまでも、いつまでも、響き渡った。






+「わたしは ずっと──
「わたしは ずっと──

+──あなたの中で 生きるよ」
──あなたの中で 生きるよ」




+~後日談~
~後日談~

ケータイはアルケーの顔を最後までしっかりと撮っていた。
夜刀神がアルケーを腕の中に降ろした後も、ちゃんと顔が映っている。
現実的に考えれば撮影する位置が夜刀神の頭と被ってしまうのだが、ここは空想の中だ。物理的な現象は無視される。
「ケータイはそこに浮く。アルケーの顔を撮る」という空想が最後まで実現したと言う事だ。


あの後、夜刀神の魂の容量が増えた。
アルケーのおかげ──では無い。

あの異変では様々な理想を召喚できた。
能力の引き上げ、力の増強、自身を襲う攻撃の無力化等、戦いに勝つ為の"理想"を"真実"へと変えられた。
魂を回復する事もできたが、夜刀神の魂の容量は理想の召喚によって増えたのでは無い。
理想は所詮は空想だ。異変が終われば理想は空想に戻るし、
そもそも異変の最中であろうと魂は増やせても魂の容量までは増やせない。

アルケーの言葉通りにアルケーが夜刀神の中に生きた、つまり、
アルケーの魂が夜刀神の中に宿った──わけでもない。
アルケーの魂はとっくに根源へと、魔法の中へと連れ去られた。至った者だから。


ならば何故か、それは────
────アルケーのあの言葉が真実であって欲しいと、夜刀神が願ったからだ。
自分の中にアルケーがいて欲しいと、アルケーが生きて欲しいと、願ったのだ。

だが願いは叶わない。
増えた魂はアルケーのものではなく夜刀神自身のものだ。
いくら魂が増えようとも、アルケーは夜刀神の魂には宿らない。
心の中で生きていようとも、魂の中にはいない。

故に、夜刀神の魂の増加は夜刀神自身の成長だ。
あくまでも夜刀神が自分自身の力で魂の容量を増やしたに過ぎない。
それで願いが叶ったんだ、と、自分を誤魔化している。
或いは「アルケーの言葉を忘れない為にアルケーが生きた証を俺に遺したんだ」と、夜刀神ならそう言うのだろう。

それはきっと"未練"と言うのかもしれない。
そもそも今回の理想の召喚だって"未練"から始まってるのかもしれない。
何故なら夜刀神の真の願望は、アルケーの声と姿を記録する事では無く、アルケーにずっと生きて貰う事だから。
それに夜刀神が召喚したアルケーは本来のアルケーでは無く、
アルケーを取り戻したくて心の中で創造した偽物のアルケーなのかもしれない。
だったら、どんな言葉が真実になろうとも、夜刀神の願望は現実にはならない。



夜刀神の願いは永遠に叶わない事を、本人は知っている。
本人が一番よく分かっている。

それでも夜刀神は諦めきれない。
アルケーの生を願わずにはいられない。



夜刀神は今日も何かを背負う。
消えて失くなったアルケーの体を背負いながら生きている。

果たして彼は、やがて後悔に押し潰されるのか、或いは────────













+009 <41~44ページ目>
※関連セッションNo.18 Ep4『言葉事件-SpeakLow-』
※関連シーンNo.1 東雲陽翔(好)


この間、大きな異変を片付けた。
言葉が真実になる異変だ。
とは言っても俺達は足止め、本命は別の連中が片付けたらしい。

敵は善神と名乗ったが、「神」を名乗るには余りにも幼稚だった。
『悪を倒す』
その意志は間違いじゃないんだろう。
だがあいつは余りにも独り善がりだ。
目の前に立ちはだかる相手を全て敵……いや、「悪」と見做す。
悪を倒す為なら罪無き人も巻き込む。
それ程の独り善がりだ。

「何故、君達は、僕を願ったんだい」

これが奴の最期の言葉。遺言とも言えるな。
あの時俺には何も言えなかった。
俺に聞かれても知らん、願った奴に聞け、と言いたかった。
何故あんな奴が願われたのだろう。
何故、あいつは善を謳ったのだろう。

今なら分かるかもしれない。
あいつは人を好きではなかった。
『人の為』に『悪を倒』そうとは思ってなかった。
救うべき人の事を考えなかった。
あいつはあくまでも『悪を倒す』だけの機構。
そんな存在が願われた理由は、きっと
『悪への恨み』なんだと思う。

ま、考えた所で仕方無い。
所詮はあいつは空想の産物。『無』から生まれたもの。
あいつが消えた所で『無』が『無』に環ったに過ぎない。



つまり、何が言いたいかと言えば
いくら善を謳った所で、『誰の為か』が無ければ誰も救われないと言う事だ。
それがきっと、俺が得るべき教訓だ。

俺はそれをあいつに言えなかった事を少し後悔している。
独り善がりな奴でも、矛先を変えれば立派な正義になり得たのだから。
まあ、ただの可能性だがな。
あいつが夢の結晶である以上、そう簡単に気が変わるとは思えない。

それにあいつの為以前に、俺の為でもある。
俺はいつの間にか、『俺の為』だけに仲間の事に悩んでいた。
『そいつの為に』と言う事が抜けていた。
そいつが本当は何に悩んでいるのかを知らずに勝手に思い詰めていた。

「一人で溜め込み過ぎ」とはこういう事なのかもしれない。
陽翔に言わせれば「良い奴」らしいが。
そういやあ俺が警察にいた時もこんな風に悩んでいた気がするな……



陽翔と話した事を思い出す。
今まで色んなものを背負ってきた俺を思い出す。
この街に来てから色んな事があった。
陽翔は見違える程に頼もしくなった。
最初に会った時は、確か、そう、子犬のように頼りない奴という印象だった。
よく覚えてないが、みんなを守ると言いながら可愛がられてしまう奴だったような気がする。
でも今は変わった。成長した。
助けたい相手の事を考えながら動けるようになってる。
色々と大人になってるように見える。
言わば、子犬から番犬になったってもんだ。

あいつはきっと今も誰かを護っているんだろう。
誰を護っているのか、誰に護られているのか。
想像は止まらないが、まあ、上手くやっているだろうさ。
アランが死んで6番が行方不明、事態が大きく動いてる。そろそろ何かが終わる気配がする。
色々落ち着いたらたっぷり話をしてみたい。そうだな、あいつが酒を飲めるようになる頃にでも誘ってやろうか。


俺のやるべき事は決まった。
あいつの為に何が出来るのか、それを探しに行く。聞きに行く。
長らく日記に何を書こうか悩んでいた。何をすればいいのか分からなかった。
だがもう迷いは無い。
まあ、不安はあるが、出たとこ勝負だ。


迷いが無くなったならもうこの日記を書く必要は無いのかもしれない。
そしたらこれが最後のページになるのかもな。
捨てるか残すかは後で考えよう。

ああ、そうだ。
最後に、アルケーへの言葉をここに残しておこう。
今言っても遅いかもしれないけど、それでも言っておきたい。



ありがとう、アルケー。
俺はあいつらを護る。
だから見ていてくれよ。
俺もお前を、忘れないから。



+010 <45~50ページ目>
※関連シーンNo.2 クラン+永梨(好)
※回想 シーンNo.1 東雲陽翔(好)

今思えば、クランはきっと『希望』が欲しかったんだと思う。
クランにとっての『星』をそう言い換えれば納得行く。
『希望』……或いは夢か、目標か……まあ、『光』だ

そして永梨はとても眩しかった。
あいつは月どころか、太陽にも及ぶくらい眩しかった。
まさに『希望の光』だった。
以前陽翔を『太陽』と例えたが、陽翔と同じくらいに輝いていると思う。

故に、クランは永梨に惹かれた。
永梨がクランにとっての『星』だった。
クランは騎士として手を差し出し、
永梨は姫としてその手を取った。
最も善神と悪神は未だにいがみ合っているんだろうが……
あいつらは…………何とかなりゃいいんだけどねえ……


そして当の俺はと言うと、またみっともなく足掻いていた。
クランを死なせたくなくて、必死にクランに手を伸ばした。
だがダメだった。
終いには悪竜に睨まれて死にかける始末だ。
永梨……いやアフラ・マズダがいなければ実際死んでいた。
これ以上無くみっともない、悪足掻きだった。

クランはあいつにとっての『星』を見つけた。
でも俺はクランの『星』になりたいとは思えなかった。
直接「お前が欲しい」と告げたけど、本当にクランが欲しかったのだろうか。
ルーキスからはナンパのようだと言われたが……
その気があったら「俺がお前の『星』になる」と言えたんじゃないか?
それにクランが永梨のものになったというのに、俺はどうもしなかった。
まあ、足掻いた所で無駄なのは分かってるが。

俺は逃げるようにあの場から去った。
悔しさはある。でもこの悔しさは何か違う。
俺の手で目標を達成出来なかったと言う事に対する悔しさだ
『嫉妬』とは違う……そんな気がする。
俺は本当に……クランや永梨が好きだったのか?
『迷うことが人として大切』だと永梨は言っていた。
ならばこれが迷いなのか。
あいつらへの『想い』が何なのか。
あいつらと別れる前に整理しなければいけないな。

あいつは『人を想うことができる心が、人として一番大切』とも言った。
ならば俺の『想い』とは一体何だったんだろう。
永梨への想いもクランへの想いも、恋とは違う気がする。
でもあいつらへの『想い』は確かにあった。
何故ならクランが星を見つけて安心したし、
永梨が自分を人だと言った時も同じだ
俺はちゃんとあいつらを想っている。

安心……そう、安心だ。俺はあいつらが心配だった。
庇護欲と言うものか?
これは正義の味方としてでは無い。
しかし、恋でも無い、気がする。

今まで何かを掴んだつもりでいて掴めなくて
掴めていないという事にすら気付かなくて
俺は何をしてきたんだろう。
俺は何の為に、誰の為に、何を想ったんだろう。

安心と言えば、陽翔がちゃんと大人らしくなった時もそうだったな。
あれは俺がアルケーを召喚して風邪を引いた時の事だった。
電話だけで俺の様子を察して食事や看病の用意をしながら俺の家に押しかけた。
陽翔と話した事を思い出す。
そいつの力になってやるとか、ちゃんと話してやるとか。
今思い返すと俺はちゃんとあいつの話を聞いていたのかと疑問に思ってしまう。
アルケーの未練もあったし体調不良でもあったのだが……
まあ自己嫌悪に浸っても仕方無い。
陽翔に怒られるしな。
それに帰り際に何だかんだ褒められたんだよなあ。



「お前は、ほんといいやつすぎるなあ」
「何がだよ」
恥ずかしいのか微妙に目を背けてる
「ちょっと気になった、困ってるかもしれないからってだけでそうやってすっげー気にするし」
「自分みたいになってほしくないからって俺に色々言ってたし」
「いやそこまでじゃ……」
「お前がそう思ってなくても俺が思ってるの!」



ああ。

そうか。
そういう事か。

俺があいつらを心配する理由は、俺みたいになってほしくないからだ。



永梨も、クランも、陽翔も、
俺のように闇に堕ちて欲しくないから、見ていられなかったんだ。
全く、今更になって気付いても仕方無いぜ。
何で気になるんだって、陽翔にも聞かれたのになあ。

しかしそれだけだろうか。
それだけじゃこの悔しさは説明できない。
ルーキスは格好良い所を見せたかったんだろと言ったが……
しかしこれは恋と言うのだろうか。
恋と言うには……幼稚過ぎる。
最も、『正義の味方』と言う夢も幼稚だがな。

結局俺は、子供の頃からずっと成長していないのだろうか。
英雄譚の真似事を、闇に堕ちた後もずっと引きずっていると言うのか。
幼馴染、守れなかった子供、誤って殺した子供、アルケー……失ったものをずるずる引きずりながら。
だったら俺は何の為にこの闇から這いずり上がったんだ。
何の為に、誰の為に……

俺は一体、誰の味方になれたんだ。








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