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サザロスがこの街に来てから3日の時が経った。
彼以外のノゼライ達もこの街に少し慣れたようだ、というわけで
「さて……サザロス、ノゼライ、アル、エレヴィン。」
「「「はいっ!」」」
街に慣れてきた皆を、良い所に連れてきてやったぜ。その名も……」



ノア・パーク


(side:サザロス)

素晴らしい。ジャンの心遣いに敬礼。いやマジで。
俺とノゼライ、ジャン&ブラザーズにリーナ、アルにエレヴィン……
ジャンはこのメンバー総勢をある場所に連れてきてくれた。
そこはまさしく遊びの理想郷(ユートピア)……
「この街唯一にして史上最高の遊園地、ノア・パーク!」
「「「おぉーっ……!!」」」
ジャン、今までジャンの事をシスコンだとばかり思っていた。
でも、まさか俺達のために全員分のお金を払ってくれるなんて……
すっごい仲間思いな男だったんだな、ジャン!
「ミリフィアのために経営者と裏で取引したから永久無料だ。グヘヘ」
前言撤回。コイツは人類の底辺に墜ちていた……ってか笑い方おい。
「なーんてな。おっさ……ゴホゴホ、ある人物に助けてもらった」
『おっさ……』って秀吉さんじゃないか。おっさん店長は何者なんだ。

「それじゃ、早速行こ「待て。」
反応早っ。
「男女比率が整っているからな……折角だから、」
「なっ!?貴方まさか……!」
「男女でペアを組む……って訳ですか?」
「おっ、アルは冴えてるな。そういう事だぜ、エレヴィン」
「っ……(プイッ)」
男女でペア……なるほど、確かに男女の比率は整っている。
でも、ジャンはどうして皆で行こうとしないんだろうか?不思議だ。
「やったぞリーナ、俺達でワンペア組もう!」
「もちろんオッケー、寧ろ大歓迎!」
……これはやっぱり大親友?それとも所謂バカップル?
何はともあれ、ジャンの提案に反論をする者は居なかった。

(side:ジャン)

「(よし、全員が上手に男女ペアが組めそうな割合だな。
俺の計算通りに事が進めば、全員の フラグ が建つ筈だ……
元々カップルだらけなノア・パークだから雰囲気も飲み込み易いだろ。
アイツらは一緒に過ごす仲間だ……もっと仲良くしていて欲しいからな。
……最も、俺の楽しみは一段上の階段 フラグ建設 だけどな。
俺も誰かのキューピットって奴になってやりたいもんだ)」


(side:サザロス)

何だろう、ジャンが『暖かいけど怪しい』目をしている。
かなり気になるけど……まぁ、何でもいいや。

「ねぇ、エレヴィン」
「っ!?……ふぅ、アルだったのね……どうしたの?」
ジャンの目線を気にする様子も無く、アルはエレヴィンに声をかける。
……ん、アルがタメ口を使った?アルにしては珍しいな。
エレヴィンはアルに信頼されているんだろう、微笑ましい限りだ。
と言うかエレヴィン緊張し過ぎじゃないか?
「あのね、僕と組んで欲しいんだけど……駄目かな?」
「えっ……?」
アルって今年で何歳?可愛い年頃の子供にしか見えないんだけどな。
……そう言えば、おっさん店長が言っていたような気がする。
「アルって奴ぁショタだな。ショタボーグって名がお似合いでぃ」と。
……さてさて、エレヴィンの反応がすんごく気になるな。
『自分より背が低い』『ショタっ子に』『上目遣いで』って状況……
俺には魅力が分かんないが、店長曰く「一部の女にはウケる」。


「私は……それが良い、 かな……
すんなりOK。彼のショタ力が効いたのだろうか?




なんて事をからかうように思っていた時、
「ねぇ、サザロス」
寝る前に毎回聞く問題的台詞を耳にした。
いや……まぁ、この言葉自体は特に何とも無いんだけどさ。
その後にくる言葉が心配なだけであって。
「こんな所までは悪魔も幽霊も来ないだろ、だから盾にするのは……」
「そうじゃなくて、一緒にペアを組みたいだけなんだよ?」


え?あ、そうなのか。盾にしようとしていないのなら問題無い。
「別に良いけど他の男は……あぁ、残ってるのは妹を愛する男(ジャン)だけか」
やれやれ。いつもは万能なイケメンなのに、妹がいると気が廻らない。
おまけにジャンは案の定ミリフィアと組んだ。お決まりのコンビだ。
「だから、ね?それに私、サザロスが一番話しやすいから助かるの」
「ふぅん……いつもは俺を盾としてしか扱ってくれないのに?」
「盾、……」
しまった、ノゼライが黙り込んでしまった。
本人も少しは「悪かった」と思っていたのだろうか……
となると、そんなノゼライに追い討ちをかけてしまった事になる。
仲間を傷付けてしまった、と思うと自分の無神経さに苛立つ。

「えっと……ほ、ほら!時間は限られているんだ、早く行こうぜ!」
「んえっ?ちょ、待っ……!?」
自分の明るさで皆を元気にする、そんな人に俺はなりたいんだ。
俺はノゼライの手を引き、ノア・パークの門を潜り抜けた。




「おっ……サザロスめ、手まで繋いでやがる。遂にフラグが建ったか?」
「ねぇ、お兄ちゃん!早くーっ」
「っと、悪い悪い……それじゃ、俺達も行こうぜ」
「うん!」



ノア・パーク お化け屋敷


(side:アル)

「ねぇ、これって面白いのかな?」
「お化け屋敷ね……度胸試しといった所かしら」
僕とエレヴィンは、入場門から少し歩いた所にある建物に着いた。
ボロボロになった病院っぽい建物で、何だか怖そう……
「ハローハロー!二名様ですネ、では楽しんで下サーイッ!」
「「えっ!?」」
誰この人!?
いかにもカツラな金髪のおじさんが、強引に僕達を連れていく。
もちろん、その先は……お化け屋敷の扉の中。
「やめなさいよ、小太りのおじさん!アルが嫌がってるじゃない!」
「誰が小太りのおじさんでぃ……っと。デハ、イッテラッシャーイ!」
「「今の人……まさかっ!?」」
エレヴィンが止めようとしてくれた、あのおじさん……もしかして?

「やぁ秀吉、よくやったね」
「よぉティブル、こりゃ面白くなりそうだなぁ?」
「フフッ……彼等にとって良い思い出になれば良いな」
「おぅよ、楽しんで欲しいもんだぜ。カッハッハッハ!……」



でも、そんな事は気にしていられない。
中に入るなり、冷えた空気が不気味に降りかかる。
耳を澄ませば、聞こえてくるのはお客さんの悲鳴。
見渡せば、薄暗い廊下に点滅する『手術中』の赤いランプ……
「こ、此処……怖すぎるよ……!」
「だっ 大丈夫……アルは私が守ってあげるから……!」
エレヴィンにしっかりと手を握られ、少しだけ気持ちが落ち着いた。


……のに、

バターンッ
ドンドンドンドンド ン ド ン
「わああああああぁぁあああああああっ!!!!??」
「ア、アル!?アルッ!しっかりして、アルーーーー!!!」
エレヴィンが抱き締めてくれてもね、怖い物は怖いんだよ……

最後に見たのは、僕を抱き寄せるエレヴィンと困り顔のスタッフだった。





(side:サザロス)

「ア、アル!?アルッ!しっかりして、アルーーーー!!!」
「あの、お客様……ギブアップですよね?」

後ろから聞こえる、機械音の悲鳴と悲しい叫び。
どうやらアルとエレヴィンも『アイツ』の罠に掛かったみたいだ。
それにしても……
「おっさん店長め……今度会ったらタダ食いさせて貰うからな……!」
「暗いし怖いし寒いし……もう嫌……サザロスぅ……!」
おっさん店長め、よりによって幽霊嫌いノゼライに目をつけるとは。
金髪カツラで片言口調を使うスタッフ、怪しいと思った瞬間これだ。
まずはギブアップを要求する。でなきゃノゼライが冗談抜きでヤバイ。



ガチャッ
ヒョコッ
………
ポテッ


「イヤアアアァぁあああああああっ!!!!!!」
「あ゙あ゙あああ゙っ……!!のゼライッ、離レ……ガクッ」

可笑しいな。
恐怖が募ったノゼライに思いきり抱き締められただけなのに酸欠。
ジャン(夜遅くに帰宅した時)も後ろのアル達(鏡に映ってた)も、
たかが抱擁で酸欠になる事なんて無かったのに。
どれだけ威力があるんだ……ノゼライ……




「……あのぅ」
「あ、はい。ギブアップで宜しいですね?」
「……はい、是非それでお願いします……」





ノア・パーク サービスカウンター


「ん、ぐぅう……   ハッ!?」
しまった。寝てしまっ……じゃなくて気絶していたのか?
何はともあれ、生きているんだし気にする必要は無いな。

「あっ、サザロス起ききゃあああああっ!!?」
「は!?」
遠くから駆け寄って来たノゼライ……は地面へと消えた。何故!?
「何だ何だ、ノゼライの奴は何処に行ったんぎゃあああああっ!!!」
遠くから駆け寄って来たノゼライに駆け寄って行った俺まで落ちた。
これは……まさか、こんな使い古しのイタズラが……!?
「落とし穴か!!」
誰だよ、これ掘ったの。遊園地に落とし穴を作るなんて前代未聞だぞ。
恐らく相手は友達の居ない大人か近所のチビっ子だろう。
……って推測を打ち破る、上からの声と日を遮る影。
「フフン。引っ掛かったわね」
ざまあみろ、とでも言うような言い方で言葉を放ったその人。
その人は、背が低く閉じ気味の目……言わばジト目の女の子だった。
黒く長く多い髪を左に纏め、黒と白のグラデーションに染めている。
……大人でもなければチビっ子でもなかった。同年代くらいか?
「おいお前!どうして落とし穴なんか掘ったんだぁっ!!」
「何だって良いじゃない。アンタには関係無いもん」
アイツ……!許さない、おっさん店長の次に許さない!!
小生意気なソイツは、落とし穴の中の俺を偉そうに見下ろしている。
落ち着け、サザロス。まずは相手の情報を調べよう。
「くそっ!お前は何て名前だ!?」
「ふん。答えるとでも思う?」
落ち着け、サザロス……ひとまずノゼライから助けて貰おう。
「あーっもういい!俺はいいから、隣の穴の女を助けてやってくれ!」
「やだ。」
落ち着け……サザロス……まずはこの状況を何とか……!
「誰かを呼んでくれるだけでいいから!!」
「他人に頼まず一人で何とかすれば良いじゃない。」


「畜生!!!もう我慢ならない、喰らえっ炎の星屑(スターダストファイア)!!」
「ん、何……!?」
しまった!思わず手が出てしまった……!
大きな弧を描いた腕からは炎が出てきて、玉を形成する……
と同時に、炎の玉は相手の方へと飛んでいく。
相手は普通の少女だ、当たってしまえば大火傷はほぼ確定……!
ムカつく程に生意気なコイツだけど、流石に怪我をさせるのは嫌だ。
相手が誰であろうと……人を傷付けるような人間にはなるものか!



ーふぅん、格好良い事言うね。その言葉に免じて、力をあげよっかなー






耳で聞こえた訳ではなく、頭から直々に伝わってきた声。
誰の声かは分からないけど……力をあげる、と言っていたな。なら……
「炎の玉を斬滅……これ、いける!!


決まってくれよ……太陽の剣(アポロンズソード)!!」

頭に送られてきたイメージは、炎の玉を真っ二つに切り裂く炎の刃。
そこに自分の理想像を重ね合わせ……

俺は、燃えたぎる炎の剣を生成した。

「おらあああっ!!!」
この剣をじっくり見てみたい所だが、そうはいかない。
『この生意気な少女に怪我をさせる事だけは避けなければ』
その思いは剣に宿り、俺自身に語りかけてくる。
「俺を振るえ」と。「どんな人も傷付けてはならない」と。
そして振るった剣は火の斬撃波を生み出し、炎の玉を貫く。

そして、イメージ通りにいった。
この生意気な少女を怪我させずに済んだのだ。

……と、此処までは格好良かったんだけどな。

『オチ』ってやつがあるんだよ……

ー続くー