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夜が更け、溢れていた明かりも次第に消えていく頃。
郊外の不気味な廃墟の前で、あの少年が佇んでいた。
「アルの精神が崩壊しない程度に……そして、
サザロス達が彼の心を壊さないように。」
彼はそう呟くと、パチッと指を鳴らした。すると、彼の姿は消え、代わりに一人の少年が現れた……



住宅街


こんな夜遅くだが、俺達は幽霊を捜索していた。
エルフィアとリーナは都心、俺とノゼライとジャンは街の外れ、と分けて捜索しているから、大きな街とは言えど見つけ易いだろう。
ちなみにミリフィアは、「食べ物が無いままはマズイ」と言って、食料の店が閉まる前に食料の調達に出掛けた。

実はエルフィアの話だと、その幽霊こそは街中の食料を奪った犯人なのではないか、との事。
最近、二つの不審な影と食料の紛失が相次いでおり、その謎に関わるのが幽霊では……と。
実際、最近はサイボーグや幽霊の目撃情報が、食料紛失の報告と同じ頻度で知らされるらしい。
つまりもしかしたら、食料の紛失はソイツらの仕業かも知れないのだ。

食料が無いと言う事は、ご馳走は食べられないと言う事。せっかくジャンの家に住まわせて貰うのに、ご馳走が無いなんて事は断固拒否である。
……と言う訳で、俺達は食料を返して貰うべく、その幽霊を捜しているのだ。

「ご馳走は俺のだ……食べ物を盗む奴は許さねぇ!」
幽霊探しに全力を尽くす俺と、そんな俺を冷めた目で見詰めるジャン、行楽にでも来たように街を見回すノゼライ。
俺達は、道路の端から裏路地、海岸に森林……片っ端まで廻った。
しかし、何処にも怪しげな影は見えない。それどころか、夜中の郊外と言う事もあってか、普通の人ですら見当たらない。
何かが襲ってきそうな、街灯では明るさが足りないような暗い道路の風景が流石に怖くなってきたが、少し歩いてようやく人を見つける事が出来た。


しかし、その人は様子が可笑しかった。
遠くからその人を見てみると、 頭を抱えて妙に怯えている ように見えた。
そして、その近くにあったのは不気味な 廃墟 ……


俺達は息を飲んだ。
まさか幽霊?……俺は、その幽霊を探していた筈なのに、どうしてか近付けない。
ノゼライは俺の後ろに隠れ、ジャンはそれを見て微かな笑みを浮かべて……
……は?ジャンは何を笑ってるんだろうか。
……まぁ、そんな事はどうでも良い。

「怖じ気づいたのか俺、勇気を出すんだ俺……」
そう自分に言い聞かせて、一歩ずつ歩いていく。
そして近付く度に、向こうの相手の姿がハッキリと見えるようになる。
どうやら少年の姿のようだが、あれは……
俺が捜していた幽霊なのだろうか?

幽霊にしては、容姿がそれらしいものではない。
ハイテクと言っただろうか、顔等の肌身にそんな感じの機械的な加工が施されている。
両手には亀裂のような物が入っており、よく見ると弱い電気が漏れ出している。
これでは、幽霊とは全く思えない。どちらかと言えば『 サイボーグ 』である。

そんな相手は、近付く俺達に気付いて此方を向いた。
その目は見開いており、混乱している事を示していた……



「近 付か ない で……ッ!」



震えた声で呟く彼は、此方に右手を向けてきた。
すると、その右手に入っていた亀裂は大きくなり、鈍い音をたてて変形した。

それは黒光りする程の光沢を持っており、
薄い赤色のエネルギーを溢れさせていて、
銃口らしき穴がある……


銃口、それは宣戦布告の証と言う事か。

「誰だか知らねぇけど、俺達と戦おうってつもりみたいだな……」

「ご馳走を取り返すため……こんな所では負けないぜ!!」



俺は懐から剣を抜き、相手に刃先を向けてやった。
そして、状況を把握せず立ち尽くすジャン達を置いて、俺は相手に向かって突進して行った。
相手の叫びには、耳を貸す事もしずに……

「近付かないでって……言ったのにィッ!!!」




廃墟付近


街灯が映したオレンジ色の光の合間を通る影。
足音をたてず、ただただ忙しく道を行く不思議な影は、
延々と闇が広がる道をひたすら進んでいた。

ろくに言葉こそ吐かないその影だったが、
街灯に顔が照らされた瞬間に露となった表情には、
確実に焦りが混じっていた。
この影は果たして何者なのか、どんな目的があるのか。


そして、この街には何れだけの謎が潜んでいるのだろうか……



ー続くー