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此処は、冷たい夜風が吹く海岸。
俺達に襲いかかって来た敵は、ノゼライが放った光線によって、海の向こうへと消えていった。
その後、俺達は敵を倒した喜びに浸ろうとしていた。

しかし……



「やったなノゼライ!お前ってスゴイじゃ……?」

「……」



俺がかけた言葉に反応しない。
此方に背を向けて立ち尽くすノゼライの肩を、俺はポンと叩いた。すると……



                 ドサッ



彼女は鈍い音と共に、まるで力を失った柱のように、冷たい砂の地面へと崩れ落ちた。

「ノゼライ……?おいノゼライ、おい!おいっ!!」





スレイド家


俺達は、倒れたノゼライをジャンの家に運んだ。
……否。ジャンの家と言っても、
「俺の家……実は母さん達が単身赴任でさ。帰ってくるって知らせが来るまで、此処をサザロスの家って事にしてやる」
と言われたから、実質的には俺の家でもある。
ソファに寝かせたノゼライをチラチラと気にかけつつ、俺はTVの『ニュース』とやらを見ていた。

「……今日も、街の中での奇怪な現象が確認されています。二つの人影の出現、食料品の紛失。これは、エデンの例の事件が……」

何だ、このニュースは……内容がさっぱり分からない。
そのニュースの中で紹介されていた映像に、二つの怪しい影が映っているのは分かる。
その影についてのニュースだったのだろう。

と、そこに待ちわびた声が聞こえた。

「ん、うぅん……鞭はやめて……」

また寝言、それもシュールな寝言だ。
可笑しな寝言を呟きながら、ノゼライはソファの上で目を覚ます。
悪夢でも見ていたのだろうか、ノゼライの表情には明るさが無く、曇った表情をしていた。
……まぁ、鞭が出てくるような夢なんて見たら、誰だって目覚めが悪くなるとは思うが。


それは置いといて、ノゼライはかなり疲労していたのではないか、との話だった。
確かに、先程の光線は威力が絶大だったが、その反動を受けるリスクもあったのだろう。
それに、あの海岸に来る前にも何かあったのかもしれない。
それで疲労が溜まり、体力の限界に達した……
ジャンは、そう推測していた。

そんな長い推測を聞いていると、キッチンから物音が聞こえた。それと同時に、何かが倒れたような低い音……
その音に真っ先に反応したのは、ジャンだった。

「ミリフィアッ!?」
ジャンは妹の名を叫ぶと、有り得ないスピードで駆けつけた。流石は兄である。
俺とノゼライも、ジャンの後に続いてキッチンへと向かった。
そこで見たのは、青ざめた様子で床に腰を下ろすミリフィアと、何があったのかを必死に聞き込むジャン、そして空っぽの冷蔵庫……

「……それで、何があったんだ?俺に言ってみろ」
どうやらミリフィアが大丈夫である事は確認したらしく、ジャンの様子も落ち着いている。
そんな彼に、ミリフィアが言った言葉……



「れ……冷蔵庫が空っぽで……まさか、って思って窓を見たら、ゆ……幽霊が……」

幽霊……冷蔵庫……その言葉を聞いた俺は、頭にあるものを浮かべた……そう、先程のニュースだ。
ジャンもそのニュースを見ていたからか、少しも驚いてはいなかった。寧ろ、「やっぱりか」な歪んだ表情だ。
そんな俺達に対して、ニュースを見ていなかったノゼライとミリフィアは息を飲んでいた。何度か身震いをしており、脚も微かだが小刻みに震えている。
そこへ、……




            ……ガチャッ


「ん?」 「なっ!?」 「……?」 「嫌っ!?」

俺達は、様々な反応をキッチンに響かせた。
そこに入って来たのは……


「兄さん!俺ら、遂に見たんだ!」
「ゴースト・アンド・サイボーグは実在するのよ!」

キッチンに押し掛けて来たのは、ミリフィアの双子の兄であり、ジャンの弟でもあるエルフィア……それと、洒落た格好の少女も一緒だ。
彼等はキッチンに入るなり、焦りを見せながら俺達に話し出す。
って言うか、そこの少女さん誰だよ。

なんて事を口に出す前に、彼女自身が紹介をしてくれた。
「貴方達とはハジメマシテよね。私はエルフィアの親友リーナよ、これから宜しくね?」

親友を自称するとは、なかなか自信に満ちているものだ。……そもそも、二人一緒に入って来る辺り、最早親友と言うより恋人同士にしか見えない。


それにしても……
ゴースト・アンド・サイボーグとは、何なのだろうか。




その頃、街外れの廃墟の前に、『あの少年』が立っていた。

「少しの間、我慢して欲しい…… アル 。」


ー続くー