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海岸


時は夜。街の中には明かりが溢れ、都会ならではの美しい夜景が広がる頃。
俺は海岸に突如として現れた誰かと、暫く対峙を続けていた。
その『誰か』……それは、単なる人間などではなかった。
まるで、邪悪な心を人型に表したような、黒い化け物。
例えるならば、悪魔そのものなのだ。

「退け。さもなくば、お前の命も土産として貰おう。」

その相手が実に気に入らない……いかにも悪な発言だ。
勿論、人の命を狙う奴の言う事なんて聞く訳がない。
と言うか、男である以上は女を守るべきなのだ。
男子諸君なら、誰だってそう思うだろう?俺自身もそう思う、それが真の男というものだ。

「ッハ、俺の命を奪う?それでも脅しのつもりかよ。
いきなり来た奴に脅されて、人の命を捨てるとか……
俺はそんな薄情者じゃねえし、臆病者でもねぇよ。」

相手に怯む事無く、俺は相手の命令を否定した。
その横で、ノゼライは心配そうに俺を見てくる。ジャンは威嚇するように、食い縛った歯を相手に向けていた。

すると、相手は俺達の態度が頭に来たのだろう、
広げた手の平から紫色の光弾を作り出した。
攻撃体勢という事なのだろう……
その光は見るからに禍々しく、燃え上がる火のように揺らめいていた。

「我々に刃向かおうとは、なんと愚かな奴等だ……」

相手は、光弾を空にかざす。

「……良いだろう、その挑戦を受けてやる。」

俺は、懐の剣を引き抜き……

「お前達に、選択を誤った事を後悔させ……」

そして、俺は立ち向かった。

「全員まとめて、地獄に叩き落としてやろうっ!」


???


その頃、ヘブンシティの何処かでは、何者かが海岸を見詰めていた。

「来た……どっちが勝つんだろうな。」
背の高い少年は、街並みの向こうで戦うサザロス達を見て、ぽつりと口を開いた。
その顔は、不安でも抱えているように暗かった。

「さぁな。戦いがどうなっても、責任者は アイツ だろ?」
背の高い少年に続き、ガッシリした肉体の少年も呟いた。
すると、その発言に苦笑いを浮かべた背の高い少年。しかし彼は、再び顔を微かに歪めた。

「これで失敗したら、 全部水の泡 だよな……」
それを聞くなり、筋肉質な方の少年も顔をしかめた。
そして二人は、海岸のサザロス達に再び目を向けた。


海岸


俺達は、未だに敵と戦っていた。
……と言っても、ノゼライには安全確保のために岩陰に隠れてもらっているし、ジャンは相手の攻撃を避ける以外の術が無いのが現状。
実質的に、俺の力だけで戦っているわけだ。

しかも、戦う相手は『悪魔』と呼ぶに相応しい力を持っており、昔から修練を積んでいた剣技でも、国に伝わる炎の魔法でも、相手の力に及ぶ事は出来なかったのだ。

俺の魔法はまだまだ未熟で、炎を出すにも威力が出ない。
接近戦に持ち込もうとすれば間合いを空けられ、直後に光弾が飛んでくる。
俺が丹精込めて磨いた剣を振れば、辛くもそれを弾き返せるのだが、それが無数に向かってくるのだから恐ろしい話だ。

おまけに、この光弾は地面に着弾した瞬間、黒い爆発が起きる。
こんな得体の知れないエネルギーで身を包まれては、恐らく身を焼かれるだろう……
すると、俺は突然呼び掛けられた。
「サザロス、上だ!」
ジャンの呼びかけが聞こえたが、俺は反応しきれなかった。
見上げれば、そこには悪魔の光弾。それも、此方に向かって飛んできている。
非常に危険な状況に対応出来ず、剣を構えられなかった俺。
そして、目の前に迫る光……
「ヤ……ヤバっ……!」








……ん?






どうしたものだろう……爆発が起きない。
しかも、俺は死んでないし、痛くもない。





俺は、知らない間に背けていた顔を前に向き直した。


そこにいたのは……

「私の前で……私の事を助けてくれたこの人達を……」


「傷付けるなああぁっ!!!」



ーノゼライだった。



彼女は、何処か悲痛な叫びをあげると同時に、俺の前まで駆け寄った。そして俺の目の前には、
なんと氷の壁が立ち塞がったのだ。

「壁!?……まさかコレ、お前が……」
呆然としている俺の前に現れた壁は、迫り来る光弾を防いでくれたのだ。
攻撃を遮られた相手は、そんな馬鹿なと言わんばかりの表情で、意味深な言葉を放った。
「くっ…… まだ力が残っていた のか」

そして、俺やジャン、果ては相手の悪魔までもが驚く中、ノゼライは静かに呟いた。


「サザロス達は、私を助けてくれたんだ……」

「絶対、死なせてたまるもんか……!」


ー続くー