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此処はヘブンシティ唯一の教育機関、エデン学園。 孤児を含む少年少女が、生活をしながら学びを深める場所。 此処で暮らす心優しい少年アーロンは、 エレナ、セレン、ラドン、ネオン達と共に一日を過ごしていた…… **エデン学園 教室 (side:アーロン) 「……それじゃあ、先生が戻るまで自習をしておくように。」 クラーク先生は、手に持った書類を机の上でトントン、と整えた。 そしてそれを脇に抱え、足音小さく部屋を出ていった。 「へへっ……ちょっと早いが、休み時間って訳か?」 「な、アンタまた暴れようとしてる訳じゃ……」 不敵に笑みを浮かべるラドンを、僕の隣のセレンが睨み付ける。 (因みに、セレンの考案で僕の席はセレンとエレナの間になった) 何席か離れた所で悪い事でも企むように笑顔を見せる彼は、 このハイクラスに入った数日前から何度となく見てきた。 そしてその度に、学級委員のエレナとセレンが叱りにかかる。 学級委員って大変なんだなぁ……
此処はヘブンシティ唯一の教育機関、エデン学園。 孤児を含む少年少女が、生活をしながら学びを深める場所。 此処で暮らす心優しい少年アーロンは、 エレナ、セレン、ラドン、ネオン達と共に一日を過ごしていた…… **エデン学園 教室 (side:アーロン) 「……それじゃあ、先生が戻るまで自習をしておくように。」 クラーク先生は、手に持った書類を机の上でトントン、と整えた。 そしてそれを脇に抱え、足音小さく部屋を出ていった。 「へへっ……ちょっと早いが、休み時間って訳か?」 「「……(ギロリ)」」 「ヘヘッ、冗談だっての。」 不敵に笑みを浮かべるラドンを、セレンとエレナが睨み付ける。 (因みに、セレンの考案で僕の席はセレンとエレナの間になった) 何席か離れた所で悪い事でも企むように笑顔を見せる彼は、 このハイクラスに入った数日前から何度となく見てきた。 そしてその度に、学級委員のエレナとセレンが叱りにかかる。 学級委員とは言え、きりのない作業を繰り返すのは大変だろう。 「(いつも頑張ってる二人に、何かしてあげたいな……)」 数日間ハイクラスで彼女達を見てきた僕には、そんな心が芽生えた。 ~~~~ **エデン学園 家庭科室 「そろそろ授業も終わりだ。皆、ケーキは上手に出来たか?」 「出来ました」「まあまあです」「出来た!」「焦げたぜ……」 更に数日が経ち、僕達は家庭科の実習でケーキを焼いていた。 勉強や運動は苦手な僕だけど、調理実習は得意だ。 僕はオーブンから特製ショートケーキ(フルーツ割増)を取り出した。 開いたオーブンからは香ばしい匂いが流れ出して、 中から出てきたケーキは甘い香りを周囲に広げた。僕のも完成だ。 でも僕は、まだ完成とは言えないんだよね。 此方と彼方のオーブンも確認しないと…… 「さて、もう5時だ。帰る奴は帰って、残る奴は自由にしてろー」 授業の終わりを示す、先生の掛け声。 ……この学園には、普通の生徒と孤児の二人が居る。 親や家がある普通の生徒は帰れば良い話なんだけど、 それらが無い孤児は此処で一日を過ごす事になっている。 入浴用に男湯と女湯もあるし(此処は温泉施設じゃないよ)、 学園内の部屋を一人一室借りる事も出来る(此処は宿屋じゃないよ)。 そして、週に何度か授業が無い日があり、孤児はお小遣いが貰える。 ……時々思うけど、この街の経済って良すぎるんじゃないかな。 「「ねぇ、アル(ッ!?どうして貴方/アンタまで此処に……!)」」 わっ、吃驚した…… 上手い位に声をハモらせてやって来たのは、エレナとセレンだ。 ……何故か、互いに目を合わせて火花を散らしているけど何だろう。 「アルに試食させてあげようと思って、ケーキを持ってきたわ!」 「え、僕にくれるの?ありがとー」 「(ぐっ、セレンもかぁ……)」 セレンは、一欠片のチョコレートケーキを乗せた皿を差し出した。 艶やかなチョコを頭に被ったスポンジも軟らかそうだ……美味しそう。 「わ、私もアルに食べて貰うために持ってきたの!」 「えっ、エレナもくれるの?嬉しいよ!」 「(フンッ、アンタもそう来たのね…… でも、立派な学級委員だとアルに認めて貰うのは私よ……!)」 「(何を……でも、私だって負けないから!)」 エレナがくれたのも、一欠片のチョコレートケーキだった。 セレンのケーキと比べると、全体的にしっとりしてそうだ。 どっちのケーキも個性が有るし、何より美味しそう。 この二つは、僕の部屋に帰ってからゆっくり戴きます。 「……で、アルはまだ部屋に戻らないの?」 「そうよ、そのケーキ貴方のでしょ?完成人は解散で良い筈だけど」 「あぁ、僕はまだ……残らなきゃいけないんだ。」

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