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**雪景色の国 (side:ノゼライ) 「……奴等は、間もなく私達の国へ訪れる。」 「チッ、残った時間は僅かって事か……で、俺らはどうするんだ?」 「俺達は奴等を食い止め、住民が避難する時間を稼ぐ。」 「まぁ、そう来るよな……」 「……これが、私の願いの結末なのね……」 気がついた時、私は雪景色が綺麗な場所にいた。 サザロスと住んでいる場所とは違って、道に並ぶ家は小さい。 でも……何だか懐かしい感じがする、そんな素敵な家だった。 そんな建物が並ぶ、この一本の大通りの向こう側。 そこでは、三人の大人が悲しげに話し合っていた。 「俺達が生き残る事は難しい……死の覚悟が必要だ」 一人目、渋い表情をした男の人。首にスカーフを巻いている。 「なぁに、俺はこの可愛い女王様を守る事しか考えてないさ」 二人目、ちょっと軽い性格っぽい男の人。髷にした髪が特徴かな。 そして三人目…… 「可愛い……昔の私なら、そう言われて嬉しく思ったと思う……けど」 三人目は、会った事が無い筈なのに、何処かで見た顔をした女の人。 そして彼女は、傍の二人から女王と呼ばれていた。 「けど……今の冷めた私では、嬉しいと思う事が全く出来ない。 凍ってしまった私の心には、その言葉は届く事すら出来ないの……」 「「……オーロラ様……」」 『オーロラ様』と呼ばれていた女の人は、目を虚ろにして嘆いた。 ……でも、どうしてあの人は嬉しいって思わなかったんだろう。 心が凍っているって言っていたけど、どうしたのかな。 「……最近、私はあの日を思い出していた。あの地獄の日を……」 「地獄の日、とは?」 「……あの奴等が来て、私から全てを奪っていった最悪の日…… 家も友達も失って、それ以来ずっと独りぼっちだったわ……」 その話を聞いた途端、私の脳裏には何かが映った。 頭に浮かんだのは、辺り一面が雪に覆われた風景。 そして、その瞬間に沸き上がったのは理由の分からない寂しさ…… 「……ぬむぅ……ふわあぁ~」 あ、夢だったんだ。良かった…… リアルな夢だったから、ちょっと怖かったなぁ。 外は……もう明るいみたい。きっと昼が近くなってる頃だね。 閉められたカーテンから漏れている太陽の光が、それを教えてくれた。 「えーと、サザロスは……なぁんだ、まだ寝てる……」 こんな時間なのに、サザロスはまだ熟睡している。 寝坊なんていけないよね、起こしてあげなきゃ。 ……クスクスッ。 **真っ白な世界 (side:サザロス) 「……ハッ!?」 しまった、また寝てしまった。 ……って、寝て正解か。 「やぁサザロス。こんな所で会うなんて奇遇だね。」 「あ、アンタはあの少年……って、奇遇にも程があるだろ」 俺の勘が正しければ、この真っ白な場所は『夢』だ。 夢の中で会うなんて、奇遇どころの問題ではない気がする。 「フフッ、まぁそんな事は気にしないで」 普通は気にすると思う。 「実は、今回は君に伝えたい事があってね。」 「伝えたい事か。何だ?」 「RPG風に言うとね……この世界を危機から救って欲しい!」 「何!?なんかスケールが超絶だったけど!」 『世界を危機から救って欲しい』発言を素直に受け入れる なんて出来るわけないだろう。 「第一、アンタ何者なんだ?俺専属のスパイか?」 「まっさかぁ、何が悲しくて君をストーキングしなきゃいけないの?」 微妙に酷い。俺はこの世の罵倒には耐えられない。 「僕はね、君のためだけに活動してるって訳じゃないんだよ。 皆を救うためであり、自分のための罪滅ぼしでもある。 それが今の僕が行っているプロジェクトさ。」 「皆を救う……罪滅ぼし?」 「そう。かつて僕が成した罪……それを償うチャンスなんだ」 彼は、いつもの穏やかな表情のまま呟いた。 でも、彼のその目は悲しみを思わせるように力無かった。 目の前に広がる真っ白な空間に佇む彼の姿は、寂しそうでならない。 一体、彼の目的は何なのだろう…… 「とりあえず、アンタの名前を教えて欲しいんだけど……」 「僕の名前?……あはは、そんなの知ってどうしたいのかな。」 うーん……可笑しそうに笑う姿にも、かなり違和感がある。 笑顔らしくない笑顔、それは見るからに愛想笑いだった。 「まぁ良いけどね……僕の名前はティブル。よろし」 ドスッ &big(){「ぐはっ!!?」} **スレイド家 1F寝室 「サザロス、おはよーっ」 「ガアアッ……ク、ルシィ……!!」 夢から覚めたと思えば、俺の上にノゼライが座っていた。 きっと俺を起こすために乗しかかったんだろう。 「起こしてくれてありがとう」と言いたい所だけど……超絶苦しいから今は無理だな、うん。 「……そろそろ降りてくれないか?」 「え?……あ、ゴメン」 焦ったような様子を見せて、急いで俺から降りるノゼライ。 ちなみに、彼女の慌てる様子は愛らしさに満ちていた。 年頃の女の子ってやつですね。これゃ微笑ましいぜ、ワッハッハ。 さて……目も覚めた事だし、今日もヘブンシティで楽しむぞ! ……あれ?どうして俺は此処に来たんだっけか。 観光だっけ、旅行だっけ、休暇だっけ…… ー続くー
**雪景色の国 (side:ノゼライ) 「……奴等は、間もなく私達の国へ訪れる。」 「チッ、残った時間は僅かって事か……で、俺らはどうするんだ?」 「俺達は奴等を食い止め、住民が避難する時間を稼ぐ。」 「まぁ、そう来るよな……」 「……これが、私の願いの結末なのね……」 気がついた時、私は雪景色が綺麗な場所にいた。 サザロスと住んでいる場所とは違って、道に並ぶ家は小さい。 でも……何だか懐かしい感じがする、そんな素敵な家だった。 そんな建物が並ぶ、この一本の大通りの向こう側。 そこでは、三人の大人が悲しげに話し合っていた。 「俺達が生き残る事は難しい……死の覚悟が必要だ」 一人目、渋い表情をした男の人。首にスカーフを巻いている。 「なぁに、俺はこの可愛い女王様を守る事しか考えてないさ」 二人目、ちょっと軽い性格っぽい男の人。髷にした髪が特徴かな。 そして三人目…… 「可愛い……昔の私なら、そう言われて嬉しく思ったと思う……けど」 三人目は、会った事が無い筈なのに、何処かで見た顔をした女の人。 そして彼女は、傍の二人から女王と呼ばれていた。 「けど……今の冷めた私では、嬉しいと思う事が全く出来ない。 凍ってしまった私の心には、その言葉は届く事すら出来ないの……」 「「……オーロラ様……」」 『オーロラ様』と呼ばれていた女の人は、目を虚ろにして嘆いた。 ……でも、どうしてあの人は嬉しいって思わなかったんだろう。 心が凍っているって言っていたけど、どうしたのかな。 「……最近、私はあの日を思い出していた。あの地獄の日を……」 「地獄の日、とは?」 「……あの奴等が来て、私から全てを奪っていった最悪の日…… 家も友達も失って、それ以来ずっと独りぼっちだったわ……」 その話を聞いた途端、私の脳裏には何かが映った。 頭に浮かんだのは、辺り一面が雪に覆われた風景。 そして、その瞬間に沸き上がったのは理由の分からない寂しさ…… **スレイド家 1F寝室 「……ぬむぅ……ふわあぁ~」 あ、夢だったんだ。良かった…… リアルな夢だったから、ちょっと怖かったなぁ。 外は……もう明るいみたい。きっと昼が近くなってる頃だね。 閉められたカーテンから漏れている太陽の光が、それを教えてくれた。 「えーと、サザロスは……なぁんだ、まだ寝てる……」 こんな時間なのに、サザロスはまだ熟睡している。 寝坊なんていけないよね、起こしてあげなきゃ。 ……クスクスッ。 **真っ白な世界 (side:サザロス) 「……ハッ!?」 しまった、また寝てしまった。 ……って、寝て正解か。 「やぁサザロス。こんな所で会うなんて奇遇だね。」 「あ、アンタはあの少年……って、奇遇にも程があるだろ」 俺の勘が正しければ、この真っ白な場所は『夢』だ。 夢の中で会うなんて、奇遇どころの問題ではない気がする。 「フフッ、まぁそんな事は気にしないで」 普通は気にすると思う。 「実は、今回は君に伝えたい事があってね。」 「伝えたい事か。何だ?」 「RPG風に言うとね……この世界を危機から救って欲しい!」 「何!?なんかスケールが超絶だったけど!」 『世界を危機から救って欲しい』発言を素直に受け入れる なんて出来るわけないだろう。 「第一、アンタ何者なんだ?俺専属のスパイか?」 「まっさかぁ、何が悲しくて君をストーキングしなきゃいけないの?」 微妙に酷い。俺はこの世の罵倒には耐えられない。 「僕はね、君のためだけに活動してるって訳じゃないんだよ。 皆を救うためであり、自分のための罪滅ぼしでもある。 それが今の僕が行っているプロジェクトさ。」 「皆を救う……罪滅ぼし?」 「そう。かつて僕が成した罪……それを償うチャンスなんだ」 彼は、いつもの穏やかな表情のまま呟いた。 でも、彼のその目は悲しみを思わせるように力無かった。 目の前に広がる真っ白な空間に佇む彼の姿は、寂しそうでならない。 一体、彼の目的は何なのだろう…… 「とりあえず、アンタの名前を教えて欲しいんだけど……」 「僕の名前?……あはは、そんなの知ってどうしたいのかな。」 うーん……可笑しそうに笑う姿にも、かなり違和感がある。 笑顔らしくない笑顔、それは見るからに愛想笑いだった。 「まぁ良いけどね……僕の名前はティブル。よろし」 ドスッ &big(){「ぐはっ!!?」} **スレイド家 1F寝室 「サザロス、おはよーっ」 「ガアアッ……ク、ルシィ……!!」 夢から覚めたと思えば、俺の上にノゼライが座っていた。 きっと俺を起こすために乗しかかったんだろう。 「起こしてくれてありがとう」と言いたい所だけど……超絶苦しいから今は無理だな、うん。 「……そろそろ降りてくれないか?」 「え?……あ、ゴメン」 焦ったような様子を見せて、急いで俺から降りるノゼライ。 ちなみに、彼女の慌てる様子は愛らしさに満ちていた。 年頃の女の子ってやつですね。こりゃ微笑ましいぜ、ワッハッハ。 さて……目も覚めた事だし、今日もヘブンシティで楽しむぞ! ……あれ?どうして俺は此処に来たんだっけか。 観光だっけ、旅行だっけ、休暇だっけ…… ー続くー

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