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「第十四話 夢」(2012/07/15 (日) 14:12:53) の最新版変更点
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**雪景色の国
(side:ノゼライ)
「……奴等は、間もなく私達の国へ訪れる。」
「チッ、残った時間は僅かって事か……で、俺らはどうするんだ?」
「俺達は奴等を食い止め、住民が避難する時間を稼ぐ。」
「まぁ、そう来るよな……」
「……これが、私の願いの結末なのね……」
気がついた時、私は雪景色が綺麗な場所にいた。
サザロスと住んでいる場所とは違って、道に並ぶ家は小さい。
でも……何だか懐かしい感じがする、そんな素敵な家だった。
そんな建物が並ぶ、この一本の大通りの向こう側。
そこでは、三人の大人が悲しげに話し合っていた。
「俺達が生き残る事は難しい……死の覚悟が必要だ」
一人目、渋い表情をした男の人。首にスカーフを巻いている。
「なぁに、俺はこの可愛い女王様を守る事しか考えてないさ」
二人目、ちょっと軽い性格っぽい男の人。髷にした髪が特徴かな。
そして三人目……
「可愛い……昔の私なら、そう言われて嬉しく思ったと思う……けど」
三人目は、会った事が無い筈なのに、何処かで見た顔をした女の人。
そして彼女は、傍の二人から女王と呼ばれていた。
「けど……今の冷めた私では、嬉しいと思う事が全く出来ない。
凍ってしまった私の心には、その言葉は届く事すら出来ないの……」
「「……オーロラ様……」」
『オーロラ様』と呼ばれていた女の人は、目を虚ろにして嘆いた。
……でも、どうしてあの人は嬉しいって思わなかったんだろう。
心が凍っているって言っていたけど、どうしたのかな。
「……最近、私はあの日を思い出していた。あの地獄の日を……」
「地獄の日、とは?」
「……あの奴等が来て、私から全てを奪っていった最悪の日……
家も友達も失って、それ以来ずっと独りぼっちだったわ……」
その話を聞いた途端、私の脳裏には何かが映った。
頭に浮かんだのは、辺り一面が雪に覆われた風景。
そして、その瞬間に沸き上がったのは理由の分からない寂しさ……
「……ぬむぅ……ふわあぁ~」
あ、夢だったんだ。良かった……
リアルな夢だったから、ちょっと怖かったなぁ。
外は……もう明るいみたい。きっと昼が近くなってる頃だね。
閉められたカーテンから漏れている太陽の光が、それを教えてくれた。
「えーと、サザロスは……なぁんだ、まだ寝てる……」
こんな時間なのに、サザロスはまだ熟睡している。
寝坊なんていけないよね、起こしてあげなきゃ。
……クスクスッ。
**真っ白な世界
(side:サザロス)
「……ハッ!?」
しまった、また寝てしまった。
……って、寝て正解か。
「やぁサザロス。こんな所で会うなんて奇遇だね。」
「あ、アンタはあの少年……って、奇遇にも程があるだろ」
俺の勘が正しければ、この真っ白な場所は『夢』だ。
夢の中で会うなんて、奇遇どころの問題ではない気がする。
「フフッ、まぁそんな事は気にしないで」
普通は気にすると思う。
「実は、今回は君に伝えたい事があってね。」
「伝えたい事か。何だ?」
「RPG風に言うとね……この世界を危機から救って欲しい!」
「何!?なんかスケールが超絶だったけど!」
『世界を危機から救って欲しい』発言を素直に受け入れる
なんて出来るわけないだろう。
「第一、アンタ何者なんだ?俺専属のスパイか?」
「まっさかぁ、何が悲しくて君をストーキングしなきゃいけないの?」
微妙に酷い。俺はこの世の罵倒には耐えられない。
「僕はね、君のためだけに活動してるって訳じゃないんだよ。
皆を救うためであり、自分のための罪滅ぼしでもある。
それが今の僕が行っているプロジェクトさ。」
「皆を救う……罪滅ぼし?」
「そう。かつて僕が成した罪……それを償うチャンスなんだ」
彼は、いつもの穏やかな表情のまま呟いた。
でも、彼のその目は悲しみを思わせるように力無かった。
目の前に広がる真っ白な空間に佇む彼の姿は、寂しそうでならない。
一体、彼の目的は何なのだろう……
「とりあえず、アンタの名前を教えて欲しいんだけど……」
「僕の名前?……あはは、そんなの知ってどうしたいのかな。」
うーん……可笑しそうに笑う姿にも、かなり違和感がある。
笑顔らしくない笑顔、それは見るからに愛想笑いだった。
「まぁ良いけどね……僕の名前はティブル。よろし」
ドスッ
&big(){「ぐはっ!!?」}
**スレイド家 1F寝室
「サザロス、おはよーっ」
「ガアアッ……ク、ルシィ……!!」
夢から覚めたと思えば、俺の上にノゼライが座っていた。
きっと俺を起こすために乗しかかったんだろう。
「起こしてくれてありがとう」と言いたい所だけど……超絶苦しいから今は無理だな、うん。
「……そろそろ降りてくれないか?」
「え?……あ、ゴメン」
焦ったような様子を見せて、急いで俺から降りるノゼライ。
ちなみに、彼女の慌てる様子は愛らしさに満ちていた。
年頃の女の子ってやつですね。これゃ微笑ましいぜ、ワッハッハ。
さて……目も覚めた事だし、今日もヘブンシティで楽しむぞ!
……あれ?どうして俺は此処に来たんだっけか。
観光だっけ、旅行だっけ、休暇だっけ……
ー続くー
**雪景色の国
(side:ノゼライ)
「……奴等は、間もなく私達の国へ訪れる。」
「チッ、残った時間は僅かって事か……で、俺らはどうするんだ?」
「俺達は奴等を食い止め、住民が避難する時間を稼ぐ。」
「まぁ、そう来るよな……」
「……これが、私の願いの結末なのね……」
気がついた時、私は雪景色が綺麗な場所にいた。
サザロスと住んでいる場所とは違って、道に並ぶ家は小さい。
でも……何だか懐かしい感じがする、そんな素敵な家だった。
そんな建物が並ぶ、この一本の大通りの向こう側。
そこでは、三人の大人が悲しげに話し合っていた。
「俺達が生き残る事は難しい……死の覚悟が必要だ」
一人目、渋い表情をした男の人。首にスカーフを巻いている。
「なぁに、俺はこの可愛い女王様を守る事しか考えてないさ」
二人目、ちょっと軽い性格っぽい男の人。髷にした髪が特徴かな。
そして三人目……
「可愛い……昔の私なら、そう言われて嬉しく思ったと思う……けど」
三人目は、会った事が無い筈なのに、何処かで見た顔をした女の人。
そして彼女は、傍の二人から女王と呼ばれていた。
「けど……今の冷めた私では、嬉しいと思う事が全く出来ない。
凍ってしまった私の心には、その言葉は届く事すら出来ないの……」
「「……オーロラ様……」」
『オーロラ様』と呼ばれていた女の人は、目を虚ろにして嘆いた。
……でも、どうしてあの人は嬉しいって思わなかったんだろう。
心が凍っているって言っていたけど、どうしたのかな。
「……最近、私はあの日を思い出していた。あの地獄の日を……」
「地獄の日、とは?」
「……あの奴等が来て、私から全てを奪っていった最悪の日……
家も友達も失って、それ以来ずっと独りぼっちだったわ……」
その話を聞いた途端、私の脳裏には何かが映った。
頭に浮かんだのは、辺り一面が雪に覆われた風景。
そして、その瞬間に沸き上がったのは理由の分からない寂しさ……
**スレイド家 1F寝室
「……ぬむぅ……ふわあぁ~」
あ、夢だったんだ。良かった……
リアルな夢だったから、ちょっと怖かったなぁ。
外は……もう明るいみたい。きっと昼が近くなってる頃だね。
閉められたカーテンから漏れている太陽の光が、それを教えてくれた。
「えーと、サザロスは……なぁんだ、まだ寝てる……」
こんな時間なのに、サザロスはまだ熟睡している。
寝坊なんていけないよね、起こしてあげなきゃ。
……クスクスッ。
**真っ白な世界
(side:サザロス)
「……ハッ!?」
しまった、また寝てしまった。
……って、寝て正解か。
「やぁサザロス。こんな所で会うなんて奇遇だね。」
「あ、アンタはあの少年……って、奇遇にも程があるだろ」
俺の勘が正しければ、この真っ白な場所は『夢』だ。
夢の中で会うなんて、奇遇どころの問題ではない気がする。
「フフッ、まぁそんな事は気にしないで」
普通は気にすると思う。
「実は、今回は君に伝えたい事があってね。」
「伝えたい事か。何だ?」
「RPG風に言うとね……この世界を危機から救って欲しい!」
「何!?なんかスケールが超絶だったけど!」
『世界を危機から救って欲しい』発言を素直に受け入れる
なんて出来るわけないだろう。
「第一、アンタ何者なんだ?俺専属のスパイか?」
「まっさかぁ、何が悲しくて君をストーキングしなきゃいけないの?」
微妙に酷い。俺はこの世の罵倒には耐えられない。
「僕はね、君のためだけに活動してるって訳じゃないんだよ。
皆を救うためであり、自分のための罪滅ぼしでもある。
それが今の僕が行っているプロジェクトさ。」
「皆を救う……罪滅ぼし?」
「そう。かつて僕が成した罪……それを償うチャンスなんだ」
彼は、いつもの穏やかな表情のまま呟いた。
でも、彼のその目は悲しみを思わせるように力無かった。
目の前に広がる真っ白な空間に佇む彼の姿は、寂しそうでならない。
一体、彼の目的は何なのだろう……
「とりあえず、アンタの名前を教えて欲しいんだけど……」
「僕の名前?……あはは、そんなの知ってどうしたいのかな。」
うーん……可笑しそうに笑う姿にも、かなり違和感がある。
笑顔らしくない笑顔、それは見るからに愛想笑いだった。
「まぁ良いけどね……僕の名前はティブル。よろし」
ドスッ
&big(){「ぐはっ!!?」}
**スレイド家 1F寝室
「サザロス、おはよーっ」
「ガアアッ……ク、ルシィ……!!」
夢から覚めたと思えば、俺の上にノゼライが座っていた。
きっと俺を起こすために乗しかかったんだろう。
「起こしてくれてありがとう」と言いたい所だけど……超絶苦しいから今は無理だな、うん。
「……そろそろ降りてくれないか?」
「え?……あ、ゴメン」
焦ったような様子を見せて、急いで俺から降りるノゼライ。
ちなみに、彼女の慌てる様子は愛らしさに満ちていた。
年頃の女の子ってやつですね。こりゃ微笑ましいぜ、ワッハッハ。
さて……目も覚めた事だし、今日もヘブンシティで楽しむぞ!
……あれ?どうして俺は此処に来たんだっけか。
観光だっけ、旅行だっけ、休暇だっけ……
ー続くー