イグニッション

理想兵器というコンセプトで作成された万能武器の一つ。
正式名は多目的可変型大矛槍D-001MX-乙種、理想兵器試作改定品一号。

他の兵器……例えば高周波ナイフのような至近戦特化でもなければ、
バズーカのような中距離用武器でもない、全局面対応型という謳い文句で作られた。

超接近格闘戦においては矛刃と棒部分とが分離し、長物としての不利を防ぐ。
それより少し間合いの離れた至近戦では本来の形状である大矛槍として機能し、
少しでも離れれば石突が分離、それと矛とをつなぐ単分子ワイヤーで相手を裂く。
そしてそれよりも離れれば今度は矛先の形状を変化させ、強力なレーザーを放つ。
また矛先は吾亦紅の大盾と脱着が可能であり、手甲剣として使うことも可能である。

これらのデータでは器用貧乏と囚われがちではあるが、実際は自分の得意とする間合いで
戦うためのサポート機能がついているといった方が正しく、
近距離での矛槍戦が一番の持ち味だとも言える。
事実隠し技として持っている切り札も近距離戦用である。

この矛槍はコイルガンに酷似した機能を搭載しながらも銃口はレーザー砲のみである。
一見して無駄としか思えないが、実はそのコイルガンが電磁投射させるのは槍本体、
すなわちイグニッションそのものを内部から加速させることが出来る。

同じ電磁射出装置であるレールガンとは異なり、こちらは最小限の電力でありながらも
起動が可能であり、しかもごく一瞬の時間で発動が可能である。
故に突然急加速した矛先があたかも伸びたかのように前方に突出し、
相手の不意をついて一撃で粉砕する事ができる。

これは矛槍を引いてる時でも発動すれば前方に必ず向かうため、
文字通り予測不可能な攻撃にしか見えない。
また直線的な攻撃だけでもなく、大きく弧を描くように振りながら発動すれば、
弧が大きく伸びて相手をなぎ払うこともでき、他にも
地に斜めに刺しながら発動すれば過剰な力で刃が跳ね上がり、
相手の(人間で言えば)胸部から喉部付近を刺し貫くこともできる。

以上のことから、結論としては中近戦寄りにカスタマイズされた万能兵器、
と評論づけたほうが正しい武器だろう。
が、もちろん遠距離が決して弱いという事でもなく、
結果としてはどの距離でも厄介な武器と認識されている。

単純な威力自体は先に考案されたアグレッシヴ・リボルブレードのほうが高いものの、
高い命中率や応用性、機体の汎用性から言ってこちらのほうがより優れた武器である。
むしろあちらは至近に存在する味方にまで被害が及ぶ事もあるので、
やはりこちらのほうが使い手が多いのが事実である。

しかし武器としての価値は高いが、それ以上に製造費も高額なため、
余り多くは製造されていないのが事実である。
もし仮にイグニッションだけで構成された部隊があったとすれば、
まさに「理想部隊」とも呼べる、かもしれない。

なお、以後このイグニッションを皮切りに、幾多の理想兵器が大量に考えられるものの
そのほとんどが失敗作として闇に埋もれていく事となる。



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