悪魔達の侵略10(20130104)


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まずはテンペストを開放しなければ――
クレイルはテンペストを援護するために、正面にいたティピードから獣たちへ狙いを変える。
しかし、ティピードがそれを許さなかった。
「ハハハ、やってみろよ!」
ティピードは地を蹴り、一瞬でクレイルの元へ飛びかかった。
だが、クレイルにとってその動きは想定の範囲内。
左手に持って見せていた薬品武器はフェイクであり、それ以上に魔力を注いだもう一つの武器をティピードの死角となる様に側面から突き出した。
「チッ!」
飛びかかるティピードがそれを左手で受け止めようとするが、刃ではなく、槍の様に先端を尖らせたクレイルの薬品武器がティピードの掌を真っ直ぐに貫く。
その程度でティピードが怯む事は無く、右手の鋭い爪がクレイルへと振り下ろされる。
クレイルは左手に残した武器でそれを受け止め、破壊される試験管より先に後方へ身を翻した。

尚もテンペストは地上の五匹の獣と、周囲を自動追尾してくる赤い槍に苦しめられている。
テンペストだけを狙い続ける槍の動きの謎に気付いたのはレオルスだった。
クレイルを助けようと動こうとし、だが全くその場を動かないビービーを警戒して対峙していたレオルスが、ビービーの尻尾の動きに連動してその槍が動いている事に気付く。
「こっちは任せろ!」
レオルスがビービーを直視したまま、クレイルに言う。
「あら、舐められたものね。別に構わないけど」
ビービーのその言葉を聞き終わる前に、レオルスは地を蹴った。
武器が本体から離れている今、せめて操作しているその尻尾を切り落とせれば――
と、考えた動いたレオルスが薬品武器を手に、斬りかかろうとした瞬間、ビービーは尻尾を動かし続けたまま、今度は真っ赤な杖を繰り出して手にした。
「ッ――!」
それを目にしたレオルスだが、引くことなくその杖に向かって腕を振る。
斬撃の瞬間、ビービーの手にしたその杖に漆黒の波動が纏った。
振り下ろしたレオルスの薬品武器がその波動とぶつかり合う。
斬りおとす様な手ごたえはなく、杖はレオルスの攻撃を完全に受け止めていた。
「くっ……!」
ビービーが停止したレオルスを見て
「ねぇもしかして、あの槍を一つ出しているから、私に攻撃を防ぐ手段が無いとでも思った?」
と、馬鹿にするように笑って言う。
「門が開いていれば私たちは道具の出し入れが自由にできる。それに……」
レオルスは触れている杖から距離を取ろうとするが、漆黒の波動が薬品武器と腕を固定する。
「何、そのちっぽけな魔力。その程度で私に触れないで」
レオルスを受け止めたまま、杖を持つその腕を軽く横に振る。
女性らしいその小柄の姿からは想像できない力が、レオルスの身体を突き飛ばした。
「――!」
声を出す間もなく、レオルスは背中から地面に落ちる。
「レオ君!」
フラメルとパピメルが倒れたレオルスの元へ寄る。
「二人とも動くな!」
「バカ! こっち来るな!」
ティピードと攻防を続けるクレイルと、身体を起こしたレオルスが背後から来る姉妹を止めようと叫ぶ。
そして、レオルスがもう一度目の前のビービーを目にして、その尻尾の動きを目にした。
捻(ひね)る様にして動いた尻尾。
「まさか」
レオルスが目を向けると、テンペストの上空にあった槍はレオルスの背後を狙っている。
「いいじゃない、後でも先でも……結果は同じよ!」
と、言い放ったビービーの言葉で、テンペストの上空から真っ直ぐにフラメルとパピメルへ向けて槍が落とされた。
ビービーがその一言で、クレイルが気付き、動こうとするが
「おい、気を逸らすなよ」
目の前のティピードがそれを許可しない。
「やめろッ!!」
身体を起こしたレオルスが叫び、走るが、届かない。

フラメルもクレイルとレオルスの声でそれに気付いていた。
が、真っ直ぐに発射された槍を避けることはできない。
自分を狙っているのか、それとも隣のパピメルを狙っているのか。
どちらにしてもフラメルには関係なかった。
パピメルを守るため、フラメルは腕を大きく広げて背中のパピメルを庇い、槍から視線を逸らした。
フラメルの頭上から槍が直進して迫ったその時――
「クルス!」
凛とした声がその場の全員の耳に届いた。
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