悪魔達の侵略9(20130104)


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その声は森の奥から全員に届いていた。
やがて獣がゆっくりと後ろへ下がっていく。
警戒を解かず、テンペストが獣を睨む。
(来る――!)
横に立ったクレイルが森の奥、木々の隙間を縫って飛んでくる人影を目にする。
猛スピードで森を抜けた二つの影が、全員の目前に姿を現した。
背中から生える真紅の翼が音を立てて羽ばたき、やがて二人は地面に降り立った。
一人は赤い髪で、左目に眼帯を付けた男。
もう一人は長い金髪、ヘッドドレスとフリルのワンピースを着た女。
その二人の背から生えていたのは翼だけではない。
長く、しなやかな尻尾がクレイルたちを指差すようにうねっている。
いつの間にかテンペストを襲った獣はぴったりとその男のそばに寄り添っていた。

やがて、眼帯を付けた男の悪魔がクレイルを見て言った。
「ザメザ……?」
再び、その場にいる合成師たちが聞き取れない言葉で話すティピードに向かって、ビービーが笑いながら言う。
「ダメよティピード。言語をあわせないと」
「ラ?」
気付かされたティピードは、黒い爪の生えた手を喉に当てて
「ラァ……アー。ンン。こうか」
何度か唸る様な声を出し、睨みつけるクレイルの眼を見て、怪しく笑んで言った。
「お前……魔女か?」
「…………」
「違うか。そんな弱い魔力の魔女もいるのかと思った」
クレイルはティピードの言葉を無視して、どうにかしてこの場を持たせながら耐えなければいけないと、考えていた。
魔女が到着する前に自分以外の全員が逃げられる様にしなければいけない。
「ビービー、魔力を感じるのに魔女とは違う。何だこいつら?」
「さぁ? でも、ただのヒトみたいだけど。あの樹を破壊したのが彼らであれば……魔女同様、邪魔者に変わりはないわ」
「それと、あれ、翠色のデカい剣のアイツ、再生できたのか?」
「わからないわ。大きな魔力は感じないし、消された可能性はあるわね」
「ふん。俺たちだけで十分だろ。じゃー、まずは手始めにこいつらからって事で!」
会話を終えた、ティピードの翼が大きく広がる。
やるしかない、と覚悟を決めてクレイルが左手に持った薬品武器に魔力を注ぐと、それを見たレオルスも両手の試験管にそれぞれ魔力を注いだ。
現状、全魔力を駆使して戦えるのはテンペストである。
テンペストの最大攻撃を、ティピードとビービーに直接与えて消し去る。
勝機があるとすればその手段が一番だった。
前方にある森の木々を吹き飛ばす可能性もあるが、最早気にしている場合ではない。
「テンペスト! 手加減しなくていい! サポートを――」
クレイルがテンペストへと指示したその時、いつの間に現れたのか、最初に森から現れたあの獣が四匹もテンペストへ飛び掛っていた。
前方と左右から襲撃したその獣の攻撃を、テンペストは再び防御壁を張って防ぐ。
ティピードの命令によって、彼のそばに待機していた一匹もテンペストへの攻撃に加わった。
「テンちゃん!」
その光景に、フラメルが思わず声を上げる。
獣たちがテンペストの防御壁を突破しようと、魔力を帯びた牙で壁を削り取る。
五匹の獣とテンペストが攻防を繰り広げる中、先に動いたのはビービーだった。
「ウフフ……」
手にしたのは真っ赤に染まった一本の槍。
テンペストが一度空へ逃げようとした瞬間に、その槍がビービーの手から離れて自動的にテンペストへ直進した。
飛来した槍を何とか空中で避け、体制を崩して再び地面へ着地する。
再び五匹の獣が、空へ逃げる事を封じられたテンペストに襲いかかった。
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