悪魔達の侵略3(20130104)

「見えた! あの辺りだ!」
三人がテンペストに乗って飛び立ち、すぐにクレイルが襲われた現場に到着する。
テンペストの成長と、その魔力量の復活は三人にとって非常に助かるものだった。
傷ついたレオルスとテンペストが来た距離を、ほんの僅かな時間で戻ってみせる。
「何、あの薔薇!?」
「あれがクレイターローズ、魔獣の本体だ! クレイル頼む、無事でいてくれ……!」
三人が同じ願いで入り口に近づき、その状況を見て驚愕する。
動かないクレイル。
捕らわれているだけではなく、周辺が全て石にされている。
「お兄ちゃん!!」
「バカ! だめだ離れろ!」
フラメルが思わず飛び降りそうになるが、気付いたテンペストが上昇し、すぐにそこから距離を置くことになった。
魔力を感じ取った蔦が、入り口から飛び出し、そこにいたものを捕獲しようとする。
咄嗟に跳んだテンペストのお陰で、全員無事のまま再び空へと昇った。

「そんな、どうしよう……お兄ちゃんあれじゃ……」
「姉さん、きっと大丈夫。母さんの力が助けてくれるわ」
「だめだ近づけない。一度あの赤い霧の届いていない場所に降りよう。テンペスト、あそこに降りてくれ!」
レオルスがテンペストの首を叩きながら、森から離れた位置を指差す。
再び地上に降りた三人は森を前にして焦燥する。
「くそっ! 蔦と根の量が多すぎる……! これじゃクレイルに近づく前に俺たちもやられるぞ……!」
「でも、このままじゃどんどん広がっちゃうよ……。ねぇ、テンちゃんの攻撃でも吹き飛ばせない?」
それを聞いて、レオルスはクレイルが使用したコンポジションウェポンの結果を思い出す。
魔力による攻撃は吸収されてしまうため、直接触れた部分以外には効果が無い。
「たぶん……一瞬だけ部分的に消す事は可能なはずだ。だけど、結局その魔力の攻撃はあの蔦と根に吸収される」
「どうすれば……」
テンペストの攻撃で隙を作り、羽根を手にした腕一本がクレイルまで届けば可能性はあるかもしれない。
レオルスが覚悟を決め、テンペストを見て言う。
「わかった。テンペストの攻撃で一瞬蔦と根が消えてくれればいい。俺がやってやる!」
「ダメだよ! それじゃレオ君が危ないじゃない!」
「じゃあどうすりゃ――」
救えない苛立ちから、思わず声を荒げたレオルスの声に紛れて、空から何かが近づいてくる。
それは、魔界の門と負の魔力が充満するその場に似つかわしくない、ヘリコプターの飛行する音だった。
最終更新:2013年02月07日 11:53
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