ドリーム&メモリーズ22(20121211)


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母の指が優しくパピメルの頬に触れる。
気付けばパピメルは幼い頃の思い出も、少しずつ思い出していた。
「私は……私は姉さんと同じ、ママの子なの?」
「心配しないで大丈夫。あなたは私の大事な子。クレイルとフラメルと同じ、家族よ」
抱きしめられ、ようやく落ち着きを取り戻したパピメルにイヴは真実を伝えた。
生まれてからあの日まで、フラメルとおそろいの髪と瞳を持っていたこと。
魔獣に家族全員が襲われたあの事故と、父親であるマグナの存在。
そしてそれを今まで隠し続けたクレイルとフラメル、さらにレオルスとラウロスを恨まないで欲しいと、そう告げた。
「ねぇ、ママ……私はここにいちゃいけないのかな? このまま一緒に……」
「それはダメよ。パピメル」
「どうして? せっかく会えたのに……」
すると、イヴが小さく微笑んで言った。
「ママと同じ様に、あなたを助けたいと思っている人がたくさんいるのよ。ほら……」
イヴが空間の天井を指差す。
パピメルが顔を上げると、そこには涙ぐみながらパピメルへ薬を飲ませているフラメルの姿があった。
「姉さん……」
「だから、ね? もうそろそろ戻ってあげて」
パピメルは一瞬、首の後ろに何かを感じて、手で触れる。
「傷は消えたわ。今、フラメルがくれた薬のおかげよ」
もう一度上を見ると、フラメルの隣にレオルスの姿もあった。
だがクレイルが何処にも見当たらない。
「ね、お願いがあるの」
「お願いって?」
イヴが頷いて言う。
「クレイルが危ないの。あなたを助けようとして、相当無茶をしたみたい」
パピメルはようやく、今自分の身体を助けようとしてくれている現場に、クレイルがいない事を理解する。
「そんな……」
「だから、今度はあなたが助けてあげて。フラメルと、レオルス君と一緒に」
イヴがパピメルの手を取り、その手にそっと白い羽根を乗せる。
「これは?」
「それを使ってあげて。ママの力を少しだけでも届けてあげたい」
パピメルの手の上で、ただの白い羽根に見えるそれは、まるで生きていると錯覚するほど心地よい温もりを持っていた。
「それと、フラメルが今、二冊の本を持っているの。魔導書と絵本。それも一緒に持っていって」
「絵本って……やっぱりママが私に読んでくれたんだよね?」
「覚えている?」
「うん」
頷いたパピメルを見て、イヴが続ける。
「父さんがクレイルの所にいるわ。だけど、あなたと同じ様に外からの助けも必要なの」
「父さんが兄さんの所に……?」
「えぇ、急いで行ってあげて。もう時間がないわ……」
「わかった」
そう言って、パピメルはもう一度イヴに抱きついた。
「ねぇ、ママ。また会えるかな?」
目を閉じ、顔を埋めたままそう言うパピメルの頭を撫でながら
「きっとまた会えるわ。今度はクレイルもフラメルも、父さんも一緒に……家族全員でね」
イヴは頷き、そう答えた。
「うん。またね」
髪を撫でる母の暖かい手を感じながら、パピメルはゆっくりと目を開いていく。
既にそこに母の姿はなく、気付けば見慣れた天井が広がっていた。

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