ドリーム&メモリーズ13(20121211)


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二人はすぐに、その樹にまとわり付く植物に注目する。
根元から続き、茎、花弁までの全てが紅に染まった植物。
パピメルを救うための秘薬に必要な素材の一つであり、魔界の植物である「ブラッドローズ」がそこにあった。
「これだな」
「気をつけてください。まだ見当たらないとは言え、その樹木はかなり魔界の魔力の影響を受けている」
クレイルがそう言ったのは、周りの木々の異変にも気付いたからであった。
ブラッドローズの茎と蔦は、周辺の上下左右へ自由に広がり、触れた他の植物へその赤色が侵食し始めている。
根元の苔、雑草、落ち葉に到るまで全てが赤い。
ブラッドローズは二人がそうして見ている間にも、森を変化させ続けていた。
「早く済ませてここを出ようぜ、目的は門の封印じゃない」
不気味な雰囲気の中、レオルスが言う。
「そうですね。魔界の門は、開かれる前に魔女たちが塞いでくれるでしょうから」
クレイルがブラッドローズの花を一つ切ろうと近づいた、その時だった。
根元の落ち葉や巨大な根の隙間から真っ黒の<何か>が地面を走り回った。
「おっ、こいつだな!」
二人が一目見て分かるその生き物こそ、秘薬の最後の素材である<シャドウリザード>だった。
「ちょうどいい、シャドウリザードの尻尾をお願いします」
「任せろ! って、結構早いな!」
二人の気配を感じてか、シャドウリザードたちは逃げようとして必死に地を駆けていく。
レオルスが地面を走るシャドウリザードに苦戦する中、クレイルは樹木の正面に立って、薬品武器を取り出すと、最小限の魔力を込めてそれをナイフに変え、ブラッドローズを三つほど切り落とした。
クレイルがそれを持参してきたケースの中に収め、しっかりと蓋をする。
すると突然、持ち運んでいたテンペストの魔導書が一瞬だけ動いた。
(テンペスト?)
だが動いたのは一回だけで、それ以降は変化がない。
不思議に思いながらもクレイルは樹を離れ、レオルスの様子をうかがう。
素早い動きに翻弄され、少々動きが荒くなっているが、振り下ろした右手が、ついに一匹を捕捉した。
「よっしゃ!」
掴んだシャドウリザードを高々と掲げてクレイルに見せる。
「レオルス、今すぐ尻尾の先端を――」
と、クレイルが注意しようと声をかけた時にはもう遅かった。
シャドウリザードは自らの尻尾を噛みちぎり、レオルスが掴んでいた尻尾がその手の中で暴れ出す。
トカゲは本体から敵の目を逸らすために、自ら尻尾を切断し、動き続ける尻尾に敵の意識が向いている間に本体が姿をくらますと言う逃走方法を持っている。
レオルスの手から逃れたシャドウリザードの本体は、地に落ちると即座に尻尾を再生させながら木の陰に姿を消した。
「すげぇ事するんだなお前! って、尻尾ならこれで――」
驚きを隠せないレオルスだったが、手に尻尾を持って、もしかして目的は果たせたのでは、とそれを見るレオルスに、クレイルが言う。
「すぐに<先端を>切ってください。ほら」
クレイルがレオルスの持つシャドウリザードの尻尾を指差すと、なんとその尻尾から黒い煙が出現し、身体、頭を生成する。
それは先ほどと同じく、生きたままのシャドウリザードの形の戻ったのである。
レオルスの手に捕獲されたままの本体は、再び逃げようとして手の中で暴れる。
「尻尾から再生した!?」
レオルスは尻尾を噛ませないように、シャドウリザードの頭と尻尾を両手で抑えた。
身動きの取れないシャドウリザードはそれでも必死に抵抗する。
「その再生力が、シャドウリザードの特性ですね。本当に先端部分だけを切り落とさないと、尻尾から本体が生えてきます」
「だから、先に言えって」
「フフ……まぁ、とにかく今度こそ最後です。森を出ましょう」
レオルスが怪訝な顔をしながらシャドウリザードの尻尾の先端をつまむ。
ごめんな、と一言呟き、軽く力を込めて引っ張ると、難なく尻尾の切断に成功した。
切りたての先端は、レオルスの摘む指の隙間で必死に動いている。
「じゃーな」
レオルスがそう言いながら、シャドウリザードの本体を放り投げる。
既に尻尾の先端は再生し終わり、着地してすぐにシャドウリザードは樹の根元へと姿を消した。
(念のためもう一匹分入れとくか)
そう思い、ケースの蓋を開けて尻尾を中に入れた、その時だった。
「レオルス!」
クレイルの叫び声がレオルス耳に届いた瞬間、レオルスは猛烈な力で横から殴打され、そばに立っていた木の根元に叩きつけられた。
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