ドリーム&メモリーズ9(20121211)


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ラウロスがマグナとクレイルを視界に捉え、その場に到着した時、もはやそれは手遅れと言うしかない状態だった。
親友であるマグナの身体の半分は、魔界とこちらの世界を繋ぐ<次元>の隙間に捕らわれており、こちら側に出てくることはどう考えても不可能である。
腕の一本程度であれば、それを犠牲にして引きずり出せばまだ可能はあっただろう。
だが、半分近く身体が埋まっている状態で引きずり出しても、失った部位を瞬時に再生できる様な力がなければこちら側で生命を維持することは出来ない。
(結局、僕が行っても助けられなかった……)
「父さん……どうして……」
泣き出しそうな震える声を出し、涙を耐える幼い自分を見てクレイルは落胆する。
(…………変わらない。母さんも父さんも救えない。戻ったら、僕はパピメルを救えるのか……?)
「マグナ……!」
直ぐ後ろから、ラウロスが駆け寄る。
「ハハ……すまん、失敗した。イヴの魔力の痕跡を消すとこまではうまくいったんだがな……」
マグナがグリーンブレイドを直ぐに消し去りたかった理由は、イヴの魔力の痕跡を持ち帰らせない為であった。
イヴの魔術で消し去れなかった魔獣グリーンブレイドが、受けた攻撃を記憶して魔界で生き延びた場合、再生を終えた後にその魔術に対して抵抗力を持つ可能性がある。
強力な魔術で消し去れなかった魔獣がそれに抵抗力を持ってしまえば、更に力をつけた状態でこちら側に出現し、襲撃してくるだろう。
そしてその時標的になりやすいのは、匂いや魔力を覚えている存在……つまり、あの時その場にいたフラメルやクレイルである。
「それではお前が……!」
「大丈夫だ、俺の痕跡も残さない……クレイル、ラウロス、頼みがある」
マグナが見えている片手でクレイルを呼ぶ。
「父さん……そんな、嫌だ……」
ゆっくりと前へ進む幼いクレイル。
耐えていたはずの涙は、本人が知らぬ間に目から溢れ、頬を伝っている。
「クレイル……すまん、<お前の知る俺>とはこれでお別れだ」
(父さん……? 一体どう言う意味で――)
ちょうど幼いクレイルの頭に手が届き、マグナは息子をそっと撫でる。
触れて、そしてクレイルにもラウロスにも聞き取れない何かを唱えた。
「…………」
「父さ――」
そこで、父を呼ぶクレイルの動きが、静止した。
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