ドリーム&メモリーズ8(20121211)


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クレイルが森の中に入り、突然気を失ってから何分くらい経っただろう。
その場に立ち、周囲を警戒していたレオルスがふと、木の根元でうな垂れて座るクレイルを見る。
(…………)
突然の出来事にレオルスは驚いたものの、クレイルのそれは、どこか頭の片隅で思っていた彼の「父親の記憶」に関してではないかと考え、しばらく様子を見ることにしたのである。
レオルスも、改めて自分が見た当時の記憶を振り返ってみることにした。
クレイルが話した内容は、レオルスがラウロスと共に現れ、その場にいたクレイル本人と妹のフラメル、パピメルを守ったと言う話だったが、レオルスの記憶ではその場にクレイルはいなかった。
レオルスは、森に飛び込んだクレイルを追ったラウロスの指示で、その場に残ったフラメルとパピメルを守っていたのである。

「友達に会いに行く」と、父のラウロスと共に出かけ、目的地まであとわずかと言う所で、レオルスは突然その場で待機するように言われて身を潜める。
ラウロスが勢いよく、その場から遠くの目標に飛び掛かると、おぞましい何かがすぐ近くの森の中へ消え、誰かがそれ追っていった。
ラウロスがその場で何かをしようとした瞬間、隣にいた白い髪の少年が動く。
「――!」
叫び、止めようとしたが、森の中へその少年が飛び込んでいったのがはっきり見えた。
父の背後には、白い衣服の女性が倒れており、自分と同い年くらいに見える桃色の髪の少女と、その子に抱かれる浅葱色をした髪の少女が見える。
倒れているのは母親だろうか、出血しているが大丈夫なのか、と考えていた所でラウロスからの合図が目に入った。
遠くで、すぐに来いと言わんばかりに手招きしている。
レオルスは身を潜めるために屈んでいた体を起こし、急いで父の所へ駆け寄った。

現場はあまりにも悲惨な状態で、レオルスは生まれて初めて、<その場に残った空気>が恐ろしいと感じた。
レオルスが見た事のない大きな何かの存在が残していった爪痕は、まだその場にこびり付いて残っている。
「この人たちが……父ちゃんの友達?」
恐る恐る父にそう言うと、父は無言で頷いた。
そして直ぐに
「あぁそうだ。いいか、よく聞け。今からお前を中心にして結界を展開する。この場から一歩も動くな。わかったか?」
焦っているのか、怒りを感じているのか、真剣な眼差しでレオルスを見る父にも、また少し恐怖を感じ、レオルスはただただ無言で頷いた。
ラウロスがレオルスの頭に手を乗せ、何かを唱えてそっと手を離した。
すると次の瞬間、レオルスの頭上から青い光が射出され、それは膜となって広がった。
水面のように広がったそれが、その場に立つレオルスを中心に、全員を保護する蓋の様に、ドーム状になって覆う。
「俺が戻るまでここに立っていろ。この中は安全だ。その子たちと一緒にいてやれ」
そう言うとラウロスは森へ目を向ける。
「わかった」
もう一度、レオルスがそう言いながら頷くと、それを合図にラウロスは森の中へ飛び込んだ。

ラウロスが張った青い防護膜は外への魔力の漏洩を防ぐもので、一見もろく見えるが、薄い壁の様に外部からの接触を防いでくれていた。
時折吹いている草を揺らす程度の風なら、表面が揺れるだけでこの結界の中には届かない。
父の言葉通り、レオルスはその場から動かないようにしっかりと立っていた。
が、すぐ後から聞こえる泣き声がレオルスを不安にさせる。
無理もない。
母親が目の前で倒れて、さらに自分の妹も気絶してしまっている様だ。
考えて、何か声をかけようと悩み、動かない浅葱色の髪の少女、パピメルを見て泣き続けていたフラメルに言った。
「おい、泣くな」
必死に、ただ泣き続けていた少女が、自分に声をかけられた事に気づいて顔を上げる。
「だって……だって……ママが……パピちゃんが……」
耐えようとしているが、それでも涙は止まらず、少女の頬は涙のせいで乾かない。
「わかってる、でも泣くなって」
レオルスがもう一度言うと
「ごめん……なさい……」
今度は小さな声でレオルスに謝り、少しずつ声を抑えていく。
だが、レオルスはそれを聞いてもう一度言った。
「泣くな。……俺が気になってるからじゃない。それとお前のためでもない」
「……?」
「妹、なんだろその子」
レオルスがパピメルを指差す。
「そう、だけど……」
「お前がその子の姉ちゃんなんだろ。だったら泣くな。その子が目を覚ました時に姉ちゃんが泣いてたらどう思う? 怖くなるだろ。だから泣くな。姉ちゃんならな」
それを聞いたフラメルの涙が静かに止まり、やがて泣き止むと、声も落ち着きを取り戻す。
「……うん、そうだよね……」
そう言って、涙をごまかすためか、手のひらで顔をこする様にして拭いた。
泣き止んだフラメルが、レオルスを見て言う。
「ねぇ、あなたのなまえは?」
涙が消えたフラメルの目を見て、レオルスは言った。
「俺はレオルス。レオルス=オリジナ」
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