ドリーム&メモリーズ1(20121211)


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『昔々、小さな森の中に魔女が一人住んでいました』
(……その始まり方、覚えてる)
何処からか語りかけるように聞こえる声。
その内容はパピメルが知っている本の始まり方だった。
『森の動物たちは魔女が大好きでした。でも、魔女は動物に触れることが出来ません』
(私が昔持っていた絵本と同じ内容……)
『魔女を悲しませたくない動物たちは、一緒に遊べる方法を考えました』
(ねぇ、あなたは誰?)
聞こえる声にパピメルが問いかけるが、返事は返ってこない。
『そこで、動物たちは魔女に頼んで、体をおもちゃにしてもらいました』
(……そう、次のページで動物が飛び出して――)
「…………」
そこで、パピメルはゆっくりと瞼(まぶた)を開けた。
視界には見たこともない星空が広がっていて、思わず声を漏らしてしまう。
「え……?」
慌てて体を起こそうとして、初めて自分が雲の上で寝ていたことを知った。
体を預けていた柔軟な雲のすぐ隣には、大きな三日月が爛々と光を放っている。
(ここは……?)
周囲を見回しても一帯が雲の壁に塞がれている。
目に見えて歩けそうな道は、正面に続いている一本道だけだった。
パピメルは朝の出来事を思い出す。
(いつも通り、姉さんより先に目を覚まして、その後だっけ……)
自分でも初めて経験した目のくらみと頭痛で、再びベッドに腰をかけてしまい、後から目を覚ましたフラメルが、パピメルより先に部屋を出て薬を取りにいった。
(姉さんが戻ってくる前に私は……ううん、やっぱりもう一度寝ちゃって、ここにいるのかな……)
パピメルは、これは自分の見ている夢だと判断した。
服装もいつの間にか、寝ている時に着るパジャマではなく、合成所で着ている服に着替えている。
いつか覚めるはず、そう考えて雲の一本道を真っ直ぐに歩いてみることにした。

少し進むとすぐに雲の切れ目が見え、たどり着いた次の道もまた一直線になっている。
その道には雲がなく、真っ直ぐ続く左右の黒い壁に、絵の入っていない額縁が並んだ、不気味な雰囲気の暗い道。
パピメルは雲の道から一歩だけ、そこに足を踏み入れてみた。
額縁のほかに、壁に沿って配置された篭の中には、何故かワンピースを着用したトルソーが入っている。
動く気配はないが、部屋の暗さがその不気味さを助長していた。
ふと足元に目をやると、いつの間にか小さなシルクハットが落ちている。
「?」
パピメルがそれに触ろうとすると、シルクハットは小さな足を二本生やして、短い歩幅で真っ直ぐに歩く。
自分以外に動いているものを見て、パピメルは何気なしにそれに着いていくと、突然勢いよくドアを開け閉めする音が頭上に響いた。
「え!?」
雲の道に比べ、不安をかき立てる雰囲気の空間で突然起きた音に驚いてパピメルが咄嗟に顔を上げる。
するとそこには、大きな扉をひたすら出入りする二足歩行の猫の姿があった。
扉に入ったと思ったら、次の瞬間別の位置の扉から飛び出してくる。
猫がまた違う扉に入ってしばらくすると、また異なる位置の扉から勢いよく飛び出してきた。
「?」
何をしているんだろうと、パピメルが向けていた顔を戻して正面を見ると
「「はじめまして、パピメル」」
誰もいなかったはずの一本道に立つ、一組の男女がパピメルを見てそう言った。
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