秘境の魔女32(20121109)


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クレイルとレオルスがテンペストで飛行して数分。
最後の目的地である森を眼下に捉えた。
森から横へ視線を移していくと、その先にはセルフィタウンが見える。
セルフィタウンから徒歩圏内にあり、ローズから聞いた通り、アルはただ散歩に出かけただけなのに偶然この森へ着いてしまったのだろう。
「レオルス、魔界の魔力がテンペストに及ぼす影響がまだ不明確な状況です。少し離れた位置に下りますよ」
「あぁ、わかった」
クレイルがテンペストの身体を叩き、森から距離を置いて着地させた。

「……アル君の言っていた空気が赤いと言うのは、間違いではないですね」
「この森、どうなってんだ?」
森に近づけば近づくほど、<魔界の門>が開通しようとしているその空間の異様さがはっきりと確認できた。
森の中で広範囲に発生している霧は赤く、奥深くは日差しも僅かしか通っていないのか、夜とは異なる不気味な暗黒に染まっている。
手前には、魔女たちの結界とは異なる、人の侵入を拒む様な空気の流れがあり、クレイルとレオルスを止めようとする。
だが二人が引き返す訳も無く、レオルスが先に森に入り、クレイルも足を踏み入れようとしたその時
(…………?)
森を目前にしたクレイルが急に足を止める。
次の瞬間、
(何だ――ッ!?)
何の前触れもなく、クレイルの頭部が激しい痛みを起こした。
咄嗟に片手で頭部を抑えるが、頭の中を何かが蠢(うごめ)く不可解な感覚は一瞬でクレイルの思考を支配した。
聞き取れない複数の音声や、同時に発せられる不快な物音は、まるで脳内を直接刺激するかのように、クレイルを襲う。
目の前に広がっていた風景が霞み、森が歪んで形を変えていく。
視界に広がる現象にから思わず目を逸らすと
「おい、クレイル?」
振り返り、急に立ち止まったクレイルを目にしたレオルスが、心配そうに声をかけた。
その刹那、クレイルは取り囲んでいた奇妙な感覚から開放され、発生していた痛みや雑音は嘘の様に消え去った。
(今のは一体……)
顔を上げると、森の中を数メートル進んだレオルスの姿がある。
改めて周囲を警戒したが、立ち並ぶ樹木以外の他には何も見当たらない。
「大丈夫かよ?」
「……いえ、何でもありません。急ぎましょう」
自分でも理解しきれなかった謎の現象の説明を省き、クレイルも森の中へと足を進める。
二人はパピメルを救うための最後の素材を求め、森の奥深くを目指した。


そしてこの後、クレイルは己の過去について真実を知ることになる。
彼が生まれ持った運命は今、自らを変える為の宿命となり、再びその姿を晒すのだった。


2章へ続く

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