秘境の魔女18(20121109)


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「ふぅ……」
レオルスが透き通る冷水を飲み、ゆっくりと深呼吸をする。
美しい木々の中に小鳥のさえずりが響く。
大地が魔力を持つこの空間は、魔力を持つ者たちの癒しの場所でもある。
冷水の入った水筒を傍に置き、クレイルが両手で冷水を一口だけ飲んで言った。
「次は<レッドホットレモン>ですね。門番の魔女の話によればこの山のどこかにも存在しているらしいのですが……」
「たしか、発熱する赤いレモンだよな? 赤い実なら結構目立つんじゃねーか?」
レオルスの言葉に、クレイルが首を振る。
「いいえ、一度だけ実物を見たことがありますが、一般的な黄色いレモンよりも実が小さく、木の身長も低いのです。こんなに立派な樹木が生い茂る山の中で見つけるのはなかなか困難ですよ」
クレイルの言葉に、森を見渡すレオルスが、思いついた様に声を上げた。
「……よし! 勝負しようぜ!」
「はい?」
先を急ぐこの状況で一体何を、と疑問符を浮かべるクレイルに対し、レオルスが催促する。
「勝負だよ、勝負! 先に見つけたほうが勝ちだ。それに、二手に分かれて探した方がはえーだろ?」
それは確かに、とクレイルは手を顎(あご)に当てて考える。
どう考えてみてもこの勝負は勝とうが負けようが失うものもない。
レオルスの言うとおり、二手に分かれたほうが効率的だ。
クレイルが頷いて言う。
「いいでしょう。時間も無いですし手っ取り早く済ませます。何か危険があっても自己責任で」
「言うじゃねーか。いくぞっ!」
レオルスがそう言い返し、ティアラレイクの岸を走り出す。
その背後で
「スピンテール・トレケイン」
静かに一言唱えた詠唱と共に、クレイルは地を蹴り、跳んだ先の木の幹を蹴り、瞬く間に風を切って森の中へ消えていった。
「あ…………ッテメェ! いきなり使いやがったな!」
レオルスの声が虚しく無人の森に響く。
レオルスはクレイルと離れてから、魔術で移動速度を上げるつもりだった。
が、相手はあのクレイルだ。
既にお見通しだったのだろう。
いくらセフィラの強化魔術で魔力を補充されているとは言え、消耗戦になれば魔力量でクレイルに劣る。
すぐにでも速度を上げて、自分が早く見つけるしかない。
「スピンテール・トレケイン!」
クレイルと同様の詠唱を唱える。
レオルスが一歩、足を踏み込んだ瞬間に唱えた魔術の力が発揮される。
足を踏み込む度に弾ける様な反動がレオルスの足を押し返し、術者の跳躍力を強化する。
先ほどのクレイル同様に地を蹴り、跳んだ身体で木の枝に捕まり、さらに連続して木の幹を蹴りながら山の頂上へ向かっていった。
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