秘境の魔女5(20121109)


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「何もそこまでしなくても! この子は魔女じゃないのよ!?」
「お黙り、ティファレット」
今は娘の言葉なぞ知らん、とばかりに、ティファレットを一言で黙らせる。
「魔女には魔女のルールがある」
相変わらずクレイルたちの方に顔を向けることさえせず、セフィラが続ける。
「言ったとおりだ、お前がまだ魔女の血を強く残す孫だからこその条件だよ。さぁ、どうするね?」
再度クレイルへ問いかけるセフィラ。
だが、クレイルの中で既に答えは決まっていた。
「構いません。僕の一年で事足りるなら……妹のために、大事な家族のために、喜んで差し上げますよ」
「クレイルお前……!」
レオルスが止めようとするも、こうなると恐らくクレイルは聞く耳を持たないだろうと瞬時に理解し、言葉を押し殺して小さく舌打ちをする。
「いい答えだ。それでこそ私の孫だよ」
そう言うと、椅子に座ったままのセフィラが左腕をそっと上げ、クレイルとレオルスが聞き取れない程の小さな声で呪文を唱えた。
瞬間、クレイルの身体には潜在していた魔力が表へ可視化されてしまう。
体を纏うように揺れ動く魔力。
そしてそれは吸い上げられるようにしてセフィラの左手の中に集まった。
「ぐっ!?」
クレイルは不意打ちによって思わず声を上げ、体制を崩してしゃがみこむ。
一瞬でそれは球体の塊となり、集まりきったところで、それはセフィラの左手の中に吸い込まれていった。
「おい、大丈夫かよ?」
「……この程度じゃ僕は死なない。所詮何十年のうちの一年ですから」
体制を崩していたクレイルは立ち上がり、寿命を奪った魔女を睨み付ける。
レオルスには、それがただの強がりには見えなかった。
一刻も早く妹を救わなければ……クレイルを駆り立てるその理由が、逆に彼を追い込んでいるようにも見えた。
「どうやら僕の性格は、あなたから引き継いでいる部分もあるようだ」
普段から何かしら一方的に優位に立っているクレイルが、これほどまでに翻弄されたことはない。
嫌味と賛美をこめて、祖母にそう伝える。
「フフ……自分が踊らされる側になったことはなかったか? さて、じゃあまずは魔術を授けようか」
「魔術って、傷を治す方法じゃないのかよ?」
「どちらにしろ必要なものだ。貴様にもくれてやろう」
セフィラがレオルスに向けてそう言うと、今度は右手を上げ、一言詠唱を行った。
「エクサクノシス・エニスキシス」
クレイルと今度はレオルスの身体も一緒に、魔力の波動を帯びる。
「な、なにすんだよ!」
「これは……強化魔術?」
二人の足元に魔方陣が出現し目の前を魔術の詠唱が文字となって飛び交う。
高速に移動する文字は常人には読みきれるはずもなく、次々に消え去って消費されていく。
だが、それは余すことなく二人の脳へと直接飛び込み、記憶として焼きついた。
同時に魔力の増強もされた二人は、身体が浮くような錯覚に囚われる。
「まずは下準備だよ。魔刃の傷なんてそう簡単には治せやしない。これから必要なものを揃える為の準備さ」
静かに腕を上げてセフィラが言う。
「ティファレット、道具をくれておやり。それから、端の書の中に傷の治癒についての本があるはずだ」
「えぇ、すぐに。二人とも、一緒に地下へ来て」
ティファレットが母の言葉にそう言い、クレイルとレオルスを地下の倉庫へと案内した。
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