悪魔達の侵略15(20130104)

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炎に焼かれ、空から落ちるティピードはそれでも必死にもがいていた。 声を出すことなく、燃え続けながら着地しようと態勢を整えようとする。 まずは着地して、燃え尽きる前に目の前にいる憎き赤魔女をどう攻撃しようかと考えを巡らせていた。 だが、既にゲブラーはティピードから興味をなくし、炎を上げるそれから目を逸らす。 そのまま、離れた位置にいるティファレットを呼んだ。 「ティファレットォ、あとは任せるよ」 ゲブラーの声に、ティファレットが頷く。 ティピードはようやく両足で着地して、気付いた。 地に下ろした足は、既に何かに拘束されている。 それを草の根だとした判断した瞬間、ティピードの下半身を大量の植物の根が固定した。 根は燃える炎を臆することなく、上から火を押し消すように、何重にも覆い重なる。 胸部と頭部を残して、ティピードは身体の自由を奪われ、根が止まったと認識した時、その根が緑の魔女の仕業であることを理解した。 「ありがとう、ネツァク。ビナーもお願い」 ティファレットが拘束されて動けないティピードを確認し、同じく魔術によって捕らえていたビービーを見てビナーに声をかける。 「…………」 だが、ビナーは何かを考えているのか、ティファレットの声に反応しない。 「ビナー、だめよ。すぐにその悪魔をこっちに移動させて」 そんなビナーを見て声をかけたのはケセドだった。 「その子は敵。連れて帰ってはいけないの」 「……わかった」 ケセドの声を聞き、ビービーを魔術によって拘束していたビナーは、渋々と言われたとおりにする。 ビナーがそっと動かないビービーを指差すと、悪魔はぎこちなく足を動かして進んだ。 ティファレットの目の前に、拘束された悪魔二人が並ぶ。 「さて、そろそろいいかしら」 ティピードとビービーを嘲笑う様にティファレットが言う。 「次はもっと準備してから出てくることね」 そう言って、左手を上げて構え 「レフコクリソス・アストラピ――」 静かに唱えたその一言で、ティピードとビービーは眩い光に包まれる。 輝きは徐々に弱まると、そこにいた二人の悪魔の身体が消え、地面には影となった二人の残骸が散乱していた。 影はムカデの形と蜂の形をしている。 ティファレットはそれに近づき、容赦なく片足で踏み潰して言った。 「随分と期待されていたみたいだけど……それに答えられたかしら?」

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