悪魔達の侵略14(20130104)

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落ちた武器は全て歪(いびつ)な形に壊れている。 良く見れば、武器とその周囲には大量の水滴が付着していた。 「まさか、水で破壊を……!?」 ビービーがケセドを睨みつける。 「まぁね。攻撃が一直線だから落とすのは簡単よ。それより――」 「!? しまっ――」 「もっと足元にも注意しておくべきね」 ビービーがケセドに気を取られていた瞬間、ビナーが放った黒い塊は、地面を這ってビービーの足に届いていた。 ビービーがそれに気づいたが時は既に遅く、両足を黒い液体が侵食し、その時点でビービーの足の主導権はビナーのものになっていた。 やがて液体は胴を伝い、ビービーの両手と翼を侵食する。 「ビナー、そのままその子を捕まえておいて」 「うん」 ケセドの言葉でビナーはビービーの頭部以外の侵食を済ませ、その場に停止させた。 ゲブラーがネツァクから一歩離れ、二人で作っていたシールドが弱まる。 ティピードはそれを好機に思い、ネツァクのシールドへ両手を突き刺した。 鋭い爪が、シールドを貫き、ネツァクが思わず後退する。 ティピードはそのままシールドを中央から左右に引き裂くと、ついにシールドは完全に破壊され、ゲブラーとネツァクの目の前に到達した。 「おい、これで終わりか? 次は防がなくていいのか?」 「…………」 荒れ狂ったティピードは興奮状態のまま、一歩一歩二人の魔女に近づく。 「お前らを消してもまだあと三人残ってる。次はそっちだ」 そう言って、ティピードの爪がネツァクに迫った瞬間―― 「ヒヒ」 火の玉が一つ、ティピードへ向かった。 ティピードはそれを軽く弾いて、ゲブラーを見る。 するとゲブラーが笑いながら 「遮るものが無くなったのはお前もだ。耐えてみろよ」 そう言って左手を上げた。 危険を察知して、ティピードが空へ飛ぼうと身構えたその時、ティピードの周囲が突如爆発する。 爆発と共に発生した炎が、一瞬でティピードを包み込んだ。 「たかが炎程度……!」 ティピードは全身に炎を浴びながらも、直前で飛び立ち、炎から抜け出す。 「決めた。先に、お前からだ!」 空から飛来し一直線にゲブラーへ向かって空中を蹴った。 だが、 「燃え咲いて枯れろ! メガロプレペス・ピュール!」 次の詠唱で炎はティピードの身体の中心から発生した。 「がッ!? いつの間に――」 蕾から花弁が大きく外へ花開く様に、灼熱の炎がティピードの中心から外側へと開いていく。 ティピードはゲブラーへ到達することなく、炎をまといながら落下する。 「そのまま消えろ。ヒヒヒ……」 ネツァクとゲブラーが静かにそれを眺めていた。

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