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「……どちら様ですか?」
不意に声をかけられ、驚きながらも警戒して二人に問いかけるパピメル。
「僕はティーチ。君の夢の案内人。」
「私はエール。あなたの夢の案内人。」
「「どうぞ、よろしく」」
男と女はそれぞれ名乗り、パピメルに向かって頭を下げた。
ティーチと名乗った男の頭には、汚れのない真っ白なハットが乗っている。
ハットの装飾には大きな青いリボン、半分だけの仮面が付いており、顔の右側はそれで隠されていた。
白を中心とした衣装を身にまとい、ハットを押さえながら頭を下げると、左右非対称のロングコートがなびく。
振る舞いだけでなく、その立ち姿までが完璧に整っている。
エールと名乗った少女は、薄い桃色に紫が混ざった不思議な髪色をしていた。
身につけているワンピースは髪と同じ配色で、裾のフリルに付いた星の装飾はエールが動くたびに小さく揺れる。
ティーチ同様、その丁寧なお辞儀は大きな屋敷で暮らす淑女の様であり、顔を上げ、パピメルに笑顔を向けるまでの動作の流れは完璧に決まっていた。
「夢の案内人……? やはり、私は夢の中で活動しているのですか?」
他人に対するパピメルの丁寧な口調は夢の中でも変わらない。
そんなパピメルの問いを聞いたティーチが小さく首を横に振って言った。
「そんな硬くならずに。もっと気軽にお話いただいて結構ですよ」
「この場所はあなたの夢。だからここでは貴女がオーナーですよ。パピメル」
エールもティーチに続きそう言いながら、パピメルの手を取り優しく握る。
「……わかった、ティーチ、エール。よろしく。」
「「こちらこそ」」
二人の笑顔を見て、パピメルが改めて質問をする。
「この夢は、一体何なの?」
すぐにティーチが答える。
「あなたは自分では気付かず、何か探してここに来たのでは?」
「いいえ、特に何も……この場所にある物は、見たことがないものばかりだわ」
雲のベッド、動いていたシルクハット、暗闇の道に並ぶ額縁に、扉を行き来する猫。
そして目の前にいるティーチとエール……パピメルは、ここで目を覚ましてから全く記憶にないものばかりを目にしている。
すると、今度はエールがその大きな瞳でパピメルをじっと見ながら言った。
「なら、ここはあなたの知らない<記憶>の夢?」
その言葉で、パピメルは最初に聞いた絵本の声を思い出す。
「知らない記憶、あの絵本の声も……?」
「では、探しに行きましょう!」
間髪いれずに、ティーチが笑顔で声を上げる。
「えぇ。あなたの、パピメルの幼少期の記憶を!」
エールも笑顔でそう言う。
一番驚いたのはそれを聞いたパピメルだった。
「私の、幼少期……?」
パピメルは自分の母親の姿、幼少期の自分を覚えていない。
兄妹がまだ幼い頃に父は姿を消し、母が事故で亡くなったという事は、もちろん兄と姉から聞いている。
だが、少なくともそれはパピメルが生まれてきてからの話だ。
いくら幼少期の頃だからと言って、自分の母親の姿、子供の頃の出来事を全く一つも覚えていないなんて有り得るのだろうか。
両親について兄妹で話をしないのは不思議に思っていたが、何か事情があっての事だろうと自分から深くは追求していない。
「あの絵本を読んでいたのが私の母親なら……」
「そう焦らずに、ゆっくり進んでみましょう」
パピメルが悩み始める前に、ティーチが道の先に手を向ける。
「そうよ、パピメル。この先にはきっとあなたの記憶があるわ」
パピメルを挟むようにして、エールも通路に手を向ける。
「うん……ありがとう」
そう言って、パピメルはティーチとエールに先導されながら、真っ黒の道を歩き始めた。
「……どちら様ですか?」
不意に声をかけられ、驚きながらも警戒して二人に問いかけるパピメル。
「僕はティーチ。君の夢の案内人。」
「私はエール。あなたの夢の案内人。」
「「どうぞ、よろしく」」
男と女はそれぞれ名乗り、パピメルに向かって頭を下げた。
ティーチと名乗った男の頭には、汚れのない真っ白なハットが乗っている。
ハットの装飾には大きな青いリボン、半分だけの仮面が付いており、顔の右側はそれで隠されていた。
白を中心とした衣装を身にまとい、ハットを押さえながら頭を下げると、左右非対称のロングコートがなびく。
振る舞いだけでなく、その立ち姿までが完璧に整っている。
エールと名乗った少女は、薄い桃色に紫が混ざった不思議な髪色をしていた。
身につけているワンピースは髪と同じ配色で、裾のフリルに付いた星の装飾はエールが動くたびに小さく揺れる。
ティーチ同様、その丁寧なお辞儀は大きな屋敷で暮らす淑女の様であり、顔を上げ、パピメルに笑顔を向けるまでの動作の流れは完璧に決まっていた。
「夢の案内人……? やはり、私は夢の中で活動しているのですか?」
他人に対するパピメルの丁寧な口調は夢の中でも変わらない。
そんなパピメルの問いを聞いたティーチが小さく首を横に振って言った。
「そんな硬くならずに。もっと気軽にお話いただいて結構ですよ」
「この場所はあなたの夢。だからここでは貴女がオーナーですよ。パピメル」
エールもティーチに続きそう言いながら、パピメルの手を取り優しく握る。
「……わかった、ティーチ、エール。よろしく。」
「「こちらこそ」」
二人の笑顔を見て、パピメルが改めて質問をする。
「この夢は、一体何なの?」
すぐにティーチが答える。
「あなたは自分では気付かず、何か探してここに来たのでは?」
「いいえ、特に何も……この場所にある物は、見たことがないものばかりだわ」
雲のベッド、動いていたシルクハット、暗闇の道に並ぶ額縁に、扉を行き来する猫。
そして目の前にいるティーチとエール……パピメルは、ここで目を覚ましてから全く記憶にないものばかりを目にしている。
すると、今度はエールがその大きな瞳でパピメルをじっと見ながら言った。
「なら、ここはあなたの知らない<記憶>の夢?」
その言葉で、パピメルは最初に聞いた絵本の声を思い出す。
「知らない記憶、あの絵本の声も……?」
「では、探しに行きましょう!」
間髪いれずに、ティーチが笑顔で声を上げる。
「えぇ。あなたの、パピメルの幼少期の記憶を!」
エールも笑顔でそう言う。
一番驚いたのはそれを聞いたパピメルだった。
「私の、幼少期……?」
パピメルは自分の母親の姿、幼少期の自分を覚えていない。
兄妹がまだ幼い頃に父は姿を消し、母が事故で亡くなったという事は、もちろん兄と姉から聞いている。
だが、少なくともそれはパピメルが生まれてきてからの話だ。
いくら幼少期の頃だからと言って、自分の母親の姿、子供の頃の出来事を全く一つも覚えていないなんて有り得るのだろうか。
両親について兄妹で話をしないのは不思議に思っていたが、何か事情があっての事だろうと自分から深くは追求していない。
「あの絵本を読んでいたのが私の母親なら……」
「そう焦らずに、ゆっくり進んでみましょう」
パピメルが悩み始める前に、ティーチが道の先に手を向ける。
「そうよ、パピメル。この先にはきっとあなたの記憶があるわ」
パピメルを挟むようにして、エールも通路に手を向ける。
「うん……ありがとう」
そう言って、パピメルはティーチとエールに先導されながら、真っ黒の道を歩き始めた。
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