秘境の魔女28(20121109)

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「お兄ちゃん! レオ君!」 フラメルが戻ってきた二人に声をかける。 「ただいま。パピメルは?」 レオルスは無言のままテンペストから降り、先に降りたクレイルはしまっていた水筒を取り出す。 「ううん、まだ一度も目を覚ましてないよ……」 いつもは笑顔を振りまくフラメルの表情がこんなにも暗い。 クレイルは、もう少しだけ我慢して欲しいと思い、心の中で謝りながら、玄関へ向かうすれ違い様にフラメルの頭に掌を乗せて言う。 「大丈夫、必ず治してみせるよ。約束する」 「うん……」 しょんぼりと頷く妹の頭をそっと撫でる。 「パピメルを救うための秘薬を作る。僕とレオルスはもう一度だけ出かけなければならない。でも次で素材集めは終りだ。戻ってきたら薬が完成するよ」 うん、ともう一度フラメルが頷くと、クレイルは手にしていた水筒をフラメルに渡した。 「これが材料?」 「あぁ、でもまだ開けない様に。危険なものが入っているから」 「うん。わかった」 「あと、これも一緒に置いておいてくれ」 クレイルは次に、秘境で叔母のティファレットから受け取った<グラトンポット>をフラメルに渡す。 フラメルは何も言わずにクレイルからそれを受け取った。 「レオルス、森へ向かう前に準備を――」 クレイルがテンペストのそばにいるレオルスへ振り返ったその時 「おーい!」 と、遠くで手を振りながら声をかける人物の姿が見えた。

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