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「っとっと、あっぶねぇ……」
レオルスの勘は正しかった。
直撃と感電、そのどちらをも避けるためにレオルスは空中へ跳んだ。
<カイロス・リグマ>
レオルスが唱えたその魔術は脚力に作用して瞬間的な跳躍を得る術だった。
本来であればその超速で垂直に飛んで高い壁の上に登ったり、正面に対する敵との距離を一瞬で縮めたりするために使用する。
レオルスは飛び跳ねる瞬間、角度を調整して斜めに跳躍した。
周りを囲う木々より低く、かつ地を伝う稲妻に触れない様に数秒間空中へ滞在できる高さを保つ。
レオルスは直感で魔術を操り、見事に落雷を回避してみせたのだった。
着地してすぐ、レオルスは「今のは完璧だろう」と、自分で自分を褒めたい気分になっていた。
次の落雷に備えなければと、再度脚に力を入れて立とうとしたその時――
「いっ!?」
レオルスの脚を鋭い痛みが襲った。
落雷の速度と同等の超高速を生み出せる力を使って地を蹴り、自分の全ての体重を空中に滞空させたのだ。
一瞬で多量の魔力を消費し、酷使してしまった脚部からは反動が痛みとなって使用者の部位に襲いかかる。
「いででで……って、マズイ!」
痛む足を押さえ、なんとか立ったまま、できる限り近くの木の根からも距離をおく。
身に降りかかる雨や雹は大した問題ではない。
濡れるより心配しなければならないのは再度落雷に襲われることである。
レオルスが構え、祈る様にして空を見上げた。
「ん?」
見上げてすぐに、レオルスは安堵する。
予想に反して空の状態は穏やかであり、雨が弱まり、雲がゆっくりと風に流されて薄れ、やがて消えていった。