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クレイルとレオルスが初めて相見えたその日は、両者にとって忘れることの出来ない<事故>が起きた。
<魔人グリーンブレイド>
全身翠色で片腕が刃と化したその魔人は、<魔界の門>の開通を待つことなく、自らの刃で門を引き裂き、抉(こ)じ開けてこちらの世界へ飛び込んできた。
通常、数百年に一度開かれると言われている魔界の門は、予兆の発生から魔女達に監視されている。
それ故に、余程のことがなければ大規模な被害は起きず、世界が脅威に晒されることはない。
だが、その翠の魔人は誰にも感知されることなく、突如現れた。
そしてその時、偶然近くにいた強力な魔力を持つ存在……兄妹の母親である魔女のイヴは、子供たちと一緒に狙われたのだった。
それは事故と呼ばれても仕方ない程、偶然が重なり合って起きてしまった悲劇。
秘境の魔女たちにも予測できなかった事故として、彼女たちの記録にも残されることになる。
クレイルの母親が息を引き取ってからすぐに、現場には五人の魔女が音も無く現れた。
母親と同じ白い衣装の魔女が先頭に立って倒れ伏したイヴに触れる。
目の前で、母に近い魔力を出すその者たちにクレイルには淡い期待を抱く。
もしかして、助けに来てくれたのでは、と。
だが、母に触れる白い魔女は何もすることなくそのまま立ち上がる。
そしてそれ以外の四人の魔女がその死は運命だと言った。
受け入れろと、魔女たちが当然の様にその息子に伝える。
まだ幼い少年が、突然に訪れた親の別れが運命などと言われて受け入れられる訳がない。
怒りに震えるクレイルを静止する様に、青い髪の男が前に出る。
男が魔女達に事態を伝えると、魔女はイヴを囲み、倒れていたイヴは魔女達の力で光に包まれ、輝きながら消えていった。
その後、魔人への復讐に走ろうとするクレイルを何度も止めたのは、レオルスの父であるラウロスだった。
ラウロスはクレイルたちの親代わりとなり兄妹を受け入れ、元々持っていた魔力や合成の技術をさらに成長させるために、師として彼らを指導した。
クレイルは合成師としての技術を学び、もう二度と家族を失わない為に、妹たちを守る為に強く成長した。
フラメルとパピメルも、ただ兄の後ろで守られていた訳ではない。
受け継いだ力を余すことなく発揮し、兄妹は見事に合成師としての成長を遂げたのであった。