秘境の魔女12(20121109)

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「ママのおともだちっていつくるの?」 「そうね、もう少ししたら着くんじゃないかしら」 それを聞いたクレイルが、立ち上がって母に言う。 「母さん、それまで僕は森の中を見てきます」 「わかったわ。気をつけるのよ」 「はい、いってきます」 少年は楽しそうに、駆け足で森の中へ消えていく。 静まり返った森の中は冷ややかな空気が流れていた。 クレイルが森に入って少し歩いた時、その異変は起きた。 森の奥深くから響いてきた、ガラスのようなものが割れる音。 「?」 次の瞬間、クレイルの頭上、森の木々の上を何かの影が通過して森の入り口方面へと飛んでいく。 それを目で追えなかったクレイルだが、彼の直感が進行方向から何かが襲ってくるのを感じていた。 同時に彼を身の毛もよだつ恐怖と不安が襲う。 クレイルは歩いて来た方向、森の入り口へと全力で走り出した。 彼の背後から襲ってきているのは彼が感じたことのない、負の魔力。 当然、生まれてから今まで一度もその魔力に遭遇したことはない。 襲い来る未知なる力は、少年に更なる恐怖を与えていた。 (入り口が見えた!) 背中からの魔力が進行する速度は、初めに彼が感じた速度より遅くなっている。 追いつかれるかと思っていたほど大量に流れていた魔力の量も、いつのまにか減少して消えかけている。 ここまで来ればもう追いつかれることもない。 クレイルは森の入り口を勢いよく飛び出して、一刻も早く母の元へ戻ろうとした。 「母さん! ……?」 母を呼んだ少年の目の前に広がるその光景は、あまりにも悲惨だった。 「え……?」 目の前の光景を理解できないクレイルから声が漏れる。 唖然と立ち尽くした息子が目を釘付けにする中、母はフラメルへ声を上げた。 「離れてっ……フラメル、……ッ! 早く!」 クレイルはまだ、目にしているものが信じられなかった。 母を貫通する翠色の巨大な刃、普段聞いたことのない声で妹へ向けて叫ぶ母親。 母の背後から刃と化した片腕を突き刺しているのは、クレイルが初めて見る<獣>だった

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