秘境の魔女8(20121109)

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「お二人に依頼があります」 ローズとフェインのもとへ到着したクレイルがテンペストを魔道書に収め、放った第一声がそれだった。 「クレイルと、青いのはレオルス? だっけ?」 ローズに向かってレオルスが頷く。 「何か探し物でも? ……って雰囲気じゃないわよね」 不穏な気配を察してか、ローズの声のトーンが落ちる。 普段のクレイルを知っている人物であればなおさら、目の前のクレイルの余裕の無さは何かが起きていることを予測させるだろう。 「レオルス、ミミックを出してくれるかい」 「あぁ」 レオルスがティファレットから受け取った強欲のミミックを取り出す。 ミミックは既に箱の状態になっていた。 「? 初めて見る箱だわ。フェイン、どう?」 窓際にやってきたフェインも、レオルスの手の上にある箱を見る。 「でしょうね、これは特殊な箱です。見ていてください、今からこの箱を開けてみます」 クレイルがレオルスに鍵を一本手渡す。 レオルスはそれを箱に近づけた瞬間、箱は鍵を吸い込んだ。 「なっ!? 箱が生きてる!?」 ぎょっとしたフェインが思わず声を上げる。 フェインとローズの前で、ミミックは大きく宝箱本体を開いてゆく。 そこには<ガーネットハーブ>が複数枚入っていた。 真っ赤な葉を持つこのハーブは少量では全く効果を発揮しない。 枚数が多ければ多いほど、他の素材と混ぜ合わせた時の効果を増加させる。 「ガーネットハーブ、確かに本物っぽいな」 「えぇ、間違いないでしょう。だが、これではまだまだ足りません」 ハーブを見る4人の前で、開いた箱がさらに変化を起こす。 小さく振動したミミックがもとの姿に変わり、二つに分裂してレオルスの手に収まった。 今度は他人の手に渡る前、箱から舌を出している小さな魔物の状態である。 「ワーオ、何? 何かのマジック?」 「い、生きた箱なのか……?」 フェインが恐る恐る、箱を凝視する。 「今お見せしたのは、<強欲のミミック>と言う、率直に言えば生きた箱です」 クレイルが説明する間に、レオルスがローズとフェインに一つずつミミックを手渡した。 瞬間、二人の手の上で箱の姿が変わる。 「箱が変化した……なになに、今度は違う鍵が必要?」 ローズが手の上にある箱をつついて言う。 「それが強欲のミミック。箱の欲を満たせば、代わりに報酬を授けてくれるのです」 レオルスの手にしたハーブをクレイルが受け取る。 「その箱から必ず出現するこのハーブが、大量に必要なんです。パピメルを救うために……」 その言葉に、フェインとローズが改めてクレイルを見る。 「あんた、妹に何かあったの?」 ローズの問いにクレイルが頷きながら言う。 「えぇ、病に倒れました。これから秘薬を作るために素材を集めにあちこち飛び回ります。その間に、お二人に何とかガーネットハーブを増産しておいていただけないかと……」 クレイルの言葉にローズとフェインが目線を合わせる。 が、何を悩むこともなく二人の返答は同じだった。 「大丈夫、任せてください」 「困ったときはお互い様。それに可愛い女の子が苦しんでいるなら、助けないわけにはいかないわ」 笑顔で返答する二人に、クレイルが頭を下げる。 「ありがとうございます、助かります」 よかった、とそれを見ていたレオルスも一安心した。 クレイルが再びテンペストを召喚する。 すぐにクレイルとレオルスがそれに飛び乗る。 「よろしくお願いします」 最後に一言そう言い残し、クレイルとレオルスを乗せたテンペストは全速力で空高く飛び立つ。 二人を見送ったフェインとローズは早速準備に取り掛かるのだった。

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