西の魔女
イーラという名前は憤怒を意味する
TOPより
こんな美しい風景でさえも
目に見えない悪意に毒されているなんてね…。
発言集
- あなたがこの島で生きていくことを決めたなら、私が作る霊薬が不可欠。この霊薬がなければ あなたの体はひと月と保たないでしょう。これからよろしくお願いね
- その身体にすぐに慣れるのは難しいでしょう。けれど過去を懐かしんではならない。過去には、何もない。世界には、未来しかないのだから
- ここに来る前の記憶はある?どこに住み、どんな暮らしをしていたか。そして、誰があなたの隣 にいたか。忘れているのなら、無理に思いだす必要はないけれど…
- なかなかの戦いぶりね。褒めてあげるわ。あの戦いも、その傷も、私のため、か…。聞き飽きたお世辞と分かっていても、悪い気はしないわね。
- この島の夜が明けなくなったのは一年前。だけどそれはすなわち必然。歪みを起こせば、その歪みは肥大化する。当然の帰結よね。
- 失われた太陽、か…。あの4つの月は、失われた太陽の代わりのつもりかしら?錬金術の奥義を記したエメラルド碑文に、気になる記述があるけれど…。
- その昔、彼の地では魔女狩りが隆盛を極めてい たことを知ってる?一部の権力者が、罪のない女たちを拷問にかけ、その心と身体を壊し、彼女達のすべてを、略奪したの。すべてを、ね。
- 権力者の理不尽な振り撒いを自由と呼ぶのな ら、いつかそのルールが破られることを権力者は容認するべきではないかしら。私は、それを容認 しているわ。
- 魔女狩りで有罪とされた女たちの多くは、火あぶりにされたわ。そしてごく稀に首をはねられてから、火刑に処される者もいたの。
- それは偽物か、それとも本物かの違い。時折、本当にいたのよ?本物の魔女が。この私のようにね。
- その身体にも幾分慣れてきたようね。だけど、 その身体にはまだまだ目覚めていない力が眠っているわ。やがて、あなたもその力を手にするのでしょうね…。
- ねえ。私はあなたを信頼しているし、あなたは私を慕ってくれている。そうでしょ?そう遠くない将来、私を愚弄する噂を聞くかもしれない。あなたは、私を裏切ることはしないわよね?
- 孤独であることは、人間がもっとも恐れることのひとつ。孤独になることを恐れながら、個として屹立しようとするの。
- 独りになることを恐れるのは、本質的に人間が孤独だから。私は、それがどのような感情だったのかも、忘れてしまったけれど。
- 中央にある塔の最上階に眠る少女の噂は、あなたも耳にしているでしょう?あなたは、その少女のもとに辿り着かなければならない。私のためにも、あなた自身の未来のためにも。
- あの少女は、誰かを、あるいは、何かを待ち続けているでしょうね。夢を見ながら。
- 魔術と錬金術、その二つは似て非なるものと思うでしょう?だけど、人々の願望を実現する、という点では同じ。ただ、それに至るまでのアプローチが異なるだけで。
- 私が彼女達を許せないのは、結果として罪のない人々を犠牲にしてまで自分の研究を押し進めたこと。人の手による完全さほど、滑稽なものはない。でも、私は求めるしかなかった。滑稽と分かっていても、その完全さを。
- あなたは様々な言説を耳にするでしょう。だけど、ある者にとっては真実でも、別の者にとっては真実ではない。強い意志を持ちなさい。そして、信じるものを貫く覚悟を。
- 分かりやすい答えを求めてはだめ。迷いなき気付きに価値はないし、決断なき意志に答えはないのだから。あなたは私のために傷付きながらも、 戦ってくれている。だけど、もう少し待ってくれる?
- あなたには、私の秘密を打ち明けてもいいかもしれない。その時がくれば、打ち明けるから。
- 人はなぜ、その昔、悪魔を使役しようと考えたのかしら?それは、自然を支配しようとする欲望。やがてその支配は悪魔ではなく、科学が可能にした、ように思われた。
- 例えば人を遠くに移動させる能力を持つ悪魔がいる。かって、人はその悪魔を呼び出し、手なずけ、遠方への移動を実現した。
- だけど、時代が変われば、その役割を自動車や飛行機といった科学の産物が担うことになる。
- 悪魔は人間に必要とされなければ、その力を発揮することはできない。他者に必要とされて、はじめて存在を許されるの。では、人間はどうかしら?人間は、自立して存在できるほど優性かし ら?
- 近代以降、悪魔が世界から姿を消したのは、人間の科学が発展したことが理由。人間は、知らず知らずのうちに悪魔の力を手にいれていたの。あるいは、それは力だけではないもしれないけど。
- 今では、私にとってこの身体はただの容れ物。古くなったら、新しいものに変えるわ。本当の姿など、とうに忘れてしまったし…。
- 私は代用品ではない。私の心は私の心であって、彼女のものではない。ましてや、見知らぬ誰かのものでは決してない。
- 贖罪の塔…。忌ま忌ましい名前。この世界は、どこに辿り着くのかしらね…。
- 昔の話をしましょう。私の住んでる町の外れには、森があったの。暗い、大きな森。決して入ってはいけないと、両親から強く言い含められていた森が。
- あれは夏祭りの夜のこと。町の中央の広場では音楽が奏でられ、人々は陽気に踊っていたわ。私は、リンゴの蜂蜜漬けを買ってもらって、はしゃ いでいた。そして、両親とはぐれてしまった。いえ…、今にして思えば、私はそこに行きたかったのかもしれないわね。
- 13歳。私は、まだ子供だった。子供でありつつも、禁を犯すことの悦楽に憧れていたの。
- 気付いたとき、私は森の入り口にいた。森の奥からは、甘い匂いが漂っていた。お腹の奥が、じんわりと熱くなるような、甘い匂い。自分の身体が火照ってるのが分かった。そして微かな声と、 禁忌な気配。
- 森に入ってはいけない。森の奥には、恐ろしい悪魔がいて、女の子を串刺しにして食べてしまうから。母親の言葉を思い出す。それは随分と直喩的な話だった。
- 遠くで、太鼓の音が響いていたわ。そして、私の目の前に闇があった。温かで優しそうで、けれど恐ろしくて、だけど抗えない闇が。
- 誰かが、私の手を掴んで森の奥へと引っ張った。瞬間、私は恐怖に襲われた。たくさんの、夜の悪魔がこちらを凝視していたから。
- 闇の中、至るところで「現実」が壊れていた。なぜこんなところでそんなことをしているのか。私には何もわからなかった。
- 蒼白い光が、人のかたちとなり、私をそっと包み込んだ。私は「それに」に抱きすくめられながら、恐怖と同時に、期待を感じていた。
- 「それは」私にこう言った。「生き残る唯一の方法は、思考を停止することだ」と。私は、その通りにした。
- 私はもう、少女ではなくなっていた。
- 半年後、私は魔女の疑いをかけられ、贖罪の塔へと投獄された。父も母も、私とは目を合わせようとしなかった。ただ、冷たい目で私の腹を眺めていた。
- 私は自白を強要されることはなかった。つまり、魔女である明らかな根拠があったから。悪魔と交わることは
- 父親の分からない子供は、悪魔による妊娠。悪魔と交わることは、魔女の動かぬ証拠と言われていた。人の所業ではないでしょう。
- そこで何が行われたかは、言いたくないわ。想像されることすら忌まわしい。本当の悪魔は、人間たちよ。
- 思えば、その時、既に私は人ではなくなっていたのでしょうね…。私の中で死んだ子供が、私を狂わしたのかしら。それとも、私が生まれたのかもしれないわね。私自身から。
- 干し草の匂いがする風が吹いていた。処刑台からは、ずっと遠くのほうまで、見渡すことができたわ。
- とても空気が澄んでいて、その中にいろんな悪意が混じってるなんて信じられないくらい。
- こんな美しい風景も、目に見えない人間の悪意に毒されている、だなんて。
- そうして私は首をはねられた。世界が回転して、静止する。
- 私の瞳は人間達を見ていた。私の処刑を見せ物でも眺めるように集まった人間達の、狂気に満ちた風景を。
- どこかで、人間たちは不幸を望んでいるのよ。自分以外の「誰か」のね。
- 私の子供は、もう一度産まれなければならない。生まれることを待ちわびて、身体を失くしてしまったのだから。いずれにしても、そのためには人間の女の身体が必要。
- 塔の最上階で眠る少女、アリスはこの島で唯一 の人間。その意味が、もうあなたならわかるで しょう。
- 私は多くの子供を生んだ。産んだ、ではなく、 生んだ。新たな子を生み出すたびに、母親になるとは、こういうものだろうかと、想像してみる の。実際のところは、もう分からないけど。
- 私の言葉のすべてを信じる必要はないわ。無条件に正しいことなんて、どこにもありはしないのだから。
- 悪魔の力を最大限に引き出し、どんな願いでも叶えるところに人間の価値がある。そう、たとえそれがどんな願いでも。
- 石というのは、不思議なもの。至るとこに存在し、そのすべてが原初の記憶とともに、悠久の時を過ごしている。凝縮された、宇宙みたいなものだから。
- 悪魔にとって、あなたたちは救世主のようなものかもしれないわね。自分たちの存在に気付き、 それに形を与えてくれるのだから。
- 夜は嫌い?私は好きよ。陽の光は眩しすぎて、見られたくない姿まで、見せてしまうから。だから、今のこの島はとても居心地が良いわ。
- 眠っている少女は、ホントに眠っているのかしら。眠っているように死んでいる、のではなくて?
- 大切なのは、想像力。自分が正しいと信じることを見つけるのよ。
- あなたはもう、あなただけの力を手にしている。その力をどう使うかが、あなたの未来を決めるのでしょう。
- あなただけの未来ではないわ。あなたが誰かの未来に関わるように、他の誰かもあなたの未来に関わるのだから。
最終更新:2013年04月28日 14:06