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木曜日の、夜。

「……」

なでなで。

「か、神戸さん?」
「…………」

なでなでなで。

「ど、どうしたんですか」
「………………」

なでなでなでなで。
手洗いから戻ると、ソファーに一人座っていた神戸さんに手招きされた。
何か用でもあるのかと近寄ったら、あれよあれよという間に手を引かれ膝の上に乗せられ、それからただひたすら頭を撫でられ続けている。
かれこれ5分ほど、ずっと……何が起こったのか、全く解らない。
その間、ただひたすら無言で神戸さんは私の頭を撫でている。
こちらの問いに答えるどころか反応すらしてくれないし、私は背中から抱かれるような形で膝に乗せられているから、彼の表情を伺うことすら出来ず、
何ら自分が置かれている立場の情報は増えないままだ。
ただ部屋の中に自分の問いかけの声と神戸さんの掌が私の髪をさらさら鳴らす音だけが在る状況に、ただただ頭の混乱は加速するばかり。
膝の上に乗せられて頭を撫でられているのは何だか子供扱いされているようで三十路過ぎた身にはむず痒い気恥ずかしさを強く覚えざるを得ないし、
勿論立派に成人女性の体躯をしている自分はその体重も例に漏れず平均的な成人女性のそれの分くらいはしっかりあるわけで

いくら相手が武道の心得があるといえども彼の膝にかかっているだろうそれなりの重量が気掛かりでもあるし、
そうは言っても恋しい人とこうして肌を密着させて時間を過ごせることに幸福感を覚えないでいられるほど堅物というわけでもないし、
かと言ってこの状況を把握したいという欲求が消えてしまうかといえばそうでもなく。

「か、神戸さーん??」
「……」

私の頭は困惑という大きな定義の言葉で片付けないと収拾がつかないほどぐちゃぐちゃになっていた。
なでなでなでなでなで。

「……???」



柔らかくしなやかな黒髪の感覚が、掌を通して伝わる様が心地好い。
大量の疑問符を頭上に浮かべ、羞恥と心配と幸福感とその他様々な感情に目を白黒させながら頬を赤く染めているふみ子さんの様子を彼女の死角から観察しながら、
本当に可愛らしいひとだと一人満足する。
あくまでも表面上はポーカーフェースを保っているつもりだけども、そろそろ堪えられそうにない。胸の内で破顔一笑している俺に彼女が気付くのもそう遠くないだろう。
……。

\神ふみが、夜が更けていくことをお知らせします/

ピッ

ピッ

ピッ


\神ふみ!/
プッ クククク……
「!  神戸さんッ!! もーっ!!!」