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読売新聞からの記事盗用疑惑 (English version)


上杉隆 氏は、2011年9月22日付のダイヤモンドオンライン記事で、福島原発事故のあとにおきた各国による自国民の退避措置を、大手メディアは殆ど報じてこなかったと批判している。そして当時メルマガで各国の退避措置のリストを配信したところ「デマ扱い」されたと述べている。

しかし上杉氏が配信したこのリストは、数日前に読売オンラインに掲載されたリストとまったく同一であり、リストにおける国の並び順、記号、言葉遣いの一字一句まで一致している。こうした点と日付の先後関係から、上杉氏の記事は読売オンラインからコピー&ペーストされたものである疑いが強い。

また同時に、読売新聞が当時このリストによって各国の退避措置を報じていた事で、上杉氏による「大手メディアは報じていなかった」という指摘が事実に反していることも明らかとなった。さらに、他の全国紙も各国の退避措置を当時そのつど報じていた事が確認されている

上杉氏は盗用の事実を否定し、この件について報告書を公にすることを公言したが実行されなかった。また上杉氏は、盗用疑惑への反論のなかで、問題のリストは読売新聞の発売前に入手したと主張したが、後にこの件が裁判になると、リストの入手は読売の発売後だったと逆のことを訴状のなかで述べるようになる。

問題の上杉氏の記事は、以下の、2011年9月22日のオンライン記事およびこれを所収した『国家の恥 一億総洗脳化の真実』188-189頁である。

<以下、囲みは引用>
こんなにあった!
海外政府による日本からの退避勧告

【3月23日現在、原発事故への各国政府の対応。
▽米国
福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告
チャーター機で約100人が台湾へ退避
外交官らの家族約600人に退避許可
軍人の家族2万人の国外退去を支援

▽英国
福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告
チャーター機を香港まで運航

▽フランス
出国または東京以南への移動求める
政府機で241人がソウルへ退避
エールフランスに増便を指示

▽イタリア
出国または東京とその以北からの退避勧告
特別航空便の運航を検討

▽スイス
被災地と東京・横浜からの一時退避勧告
チャーター機の運航を検討

▽オーストリア
出国または東京・横浜からの退避勧告

▽スペイン
福島第一原発から120キロ圏外への退避勧告
チャーター機を運航

▽ロシア
輸送機を派遣

▽ベルギー
軍用機を派遣

▽チェコ
軍用機で106人が帰国

▽クロアチア
出国または南部への退避勧告

▽オーストラリア
福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告

▽ニュージーランド
福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告

▽韓国
福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告

▽シンガポール
福島第一原発から100キロ圏外への退避勧告

▽フィンランド
東京とその以北からの退避勧告

▽セルビア
出国を勧告

▽イスラエル  
東京周辺から西日本などへの退避勧告

▽ドイツ
出国または東京・横浜からの退避勧告

▽台湾 
高齢者、子供、女性に出国検討求める】

諸外国の動きを 報じただけで「デマ扱い」

これは、3月の原発事故発生直後、筆者が自らのメルマガで配信した世界各国の避難勧告の様子である。
日付は3月23日現在とあるが、実際は3月15日にはほとんどの国がこうした勧告を出していたのである。
ところが、当時の日本では、世界のこうした動きを報じるだけで「デマ扱い」され、非難の集中砲火を浴びたものだ。

(中略)

さらに大きな問題は 今なお、こうした事実が公表されず、どのメディアも報じない ことにある。

ダイヤモンドオンライン・週刊上杉隆「今なお続く大手メディアの“不誠実”な報道に対する不信」(2011年9月22日)(1頁2頁3頁4頁5頁
『国家の恥 一億総洗脳化の真実』(188-189頁


検証結果:上杉氏の記事・著作は読売新聞記事からの盗用である疑いが強い

  • 上杉氏は、2011年9月22日のダイヤモンド・オンラインの記事およびそれを収めた著作に、2011年3月の原発事故後の、各国による退避措置のリストを掲載している。これはメルマガ記載の 3月23日 (配信は24日)の情報からの転載としているが、 内容は並び順から言葉遣いに至るまで 3月19日 付の読売新聞に掲載されたリストと同一 である。
  • 上杉氏はこのリストについてメルマガでは「知己のD氏より提供」としているが、著書では「 著者調べ 」としている。
  • 上杉氏は上記引用の前文で、読売新聞の名前を挙げて、大手メディアは海外政府による退避措置を殆ど報じてこなかったと非難している。そのうえで、それら大手メディアが意図的に報道しなかった情報を暴露するという形で、当の読売が報じた記事と同一のものを、自前の情報として公表している。
  • 上杉氏は、この情報をメルマガに掲載した際に「『デマ扱い』され、非難の集中砲火を浴びた」と主張するが、すでに新聞で広く報じられていた情報と同一のものをそのまま公表してデマ扱いされたという話はナンセンスであり、また実際にそうした「非難の集中砲火」にあたる言説もどこにも見あたらない。


下の画像は、左が読売オンライン2011年3月19日記事、右が上杉氏のダイヤモンドオンライン2011年9月22日記事である。二つを並べて比較すると、リストの並び順から言葉遣いまで同一であり、各国の頭にある ▽の記号まで同じであることがわかる。違いは、読売の記事では数字が全角で、上杉氏の記事では数字が半角、また上杉氏のリストが部分的に改行されている点のみである。

さらに、読売の記事ではイスラエル、ドイツ、台湾の3つの国名だけなぜか後ろに全角スペースがあるが、上杉氏の記事でも同じくその3箇所だけ後ろに全角スペースがあるHTMLソースの比較)。すなわち、時系列的に後に公表されている上杉氏の記事が、読売オンラインの記事をコピー&ペーストしたあと加工されたものである疑いが濃厚である。


読売オンライン 2011年3月19日
上杉隆・ダイヤモンドオンライン記事 2011年9月22日


上杉氏の記事は、著書『国家の恥』に収められている。この著書では、リストの出典は「著者調べ」となっている。以下の右が上杉氏の著書である。左のリストは、対比をわかりやすくするために読売新聞3月19日記事の紙面版から抜粋した。



・記事の時系列
・上杉氏は、2011年9月22日のダイヤモンド・オンラインの記事およびそれを収めた著作『国家の恥』において、昨年3月の原発事故後の各国による退避措置のリストを掲載している。これはメルマガ記載の 3月23日 (配信は24日)の情報からの転載としているが、内容は並び順から言葉遣いに至るまで 3月19日 付の読売新聞に掲載されたリストと同一である。

・上杉氏はこのリストについて左図のように、メルマガでは「知己のD氏より提供」としているが著書『国家の恥』では「 著者調べ 」としている。



●参考



更新
2012.10.10 参考へのリンクを追加。説明文を一部変更。
2012.10.11 文字色など微修正
2012.10.12 「3つの国名の後ろのスペース」のHTMLソース画像
2012.10.14 メルマガについて「3月23日配信」としていたが、「配信は24日」との指摘を受け修正
2012.10.15 上杉氏記事からの引用を一文追加
2012.10.17 英語版へのリンク
2012.10.20 レイアウトなど微修正
2012.10.22 ダイヤモンドオンライン記事が閲覧できなくなったため、魚拓にリンク
2012.10.22 上杉隆氏・読売オンラインコピペ盗用疑惑の流れへのリンク
2012.10.28 参考へのリンクを追加
2012.10.30 記事時系列の図を追加
2012.11.17 リード文を追加
2015. 3.26 追記 : 本検証では、問題の表について上杉氏が著書で「著者調べ」としている事に着目し、又これと別に記事の時系列(上掲図)において、メルマガで「知己のD氏より提供」とされている事を示していました。しかし、上杉氏と池田信夫氏の裁判においてこの「D氏」が大きく取りあげられるに至り、本検証の本文でも「D氏」に言及しないのは読者に誤解を与えうるという指摘がありました。これを受け本文と図註釈文との二箇所に、メルマガに「知己のD氏より提供」とある事を追記いたしました。